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僕と先輩が中学生だった頃の思い出。
その記憶はどれもが輝いているような気がする。
これもその中の一つだ。
「――今回も僕の勝ちみたいですね」
「くっ」
「ああ・・・・・・」
ハラリの舞うカード。
グッと右手を握りしめる僕。
残ったカードを持って苦笑する先生。
むすーっと納得していない表情を浮かべる先輩。
普段ならば教室で授業に勤しんでいるべき時間、そのなかで僕達三人は何故かトランプで遊んでいた。
「あー、もー! 望くん強すぎ!」
「ああ、すごいね」
先輩と先生からそんな言葉を貰って、僕は少し嬉しくなる。
・・・・・・まあ大富豪で勝っただけだけど。
「いやまあ、それほどでも」
「む、謙遜するってことは私や先生が弱いと思ってるってこと?」
「い、いや、いやいや、そんなことないですよ」
なんて言いがかりだ。
「というか、僕達なんでトランプやってるんですか。授業中なのに」
「お? じゃあ、教室に行くか? 鈴原くん」
「え、あ、いや、それは」
先生の言葉に言い淀む。
教室で過ごすべきとは分かっているのだが、どうにもあの場所にはいたくなくて、こうして保健室に仮病を装って来ているのだ。
「冗談だよ」
先生は小さく笑って、
「無理強いするつもりはない。ただ私としてはね、鈴原くん」
「はい」
「できることなら学校というものを嫌ってほしくないだけだよ。一つの居場所としてね。集団生活しているんだから、色んな苦手があって当然。教室に行けなくても、ここには楽しいことがあるんだと思ってもらえればいいんだ」
「それでトランプ、ですか」
「そう。たまにやると盛り上がるだろ?」
そんな意味のあるゲームだったのか。
「・・・・・・でも、なんというか、正直、勉強しないとっていう罪悪感もあるんですよね。授業中なわけですし」
「それなら勉強するかい? といっても、私はそんなに教えてやれないけど。担当違うし」
「じゃあ、私が教えてあげるよ」
手を挙げたのは先輩だった。
「私、これでも成績優秀なんだよね」
それは知っている。こうしてサボっているのが噓のような人なのだ。
「いいんですか、僕、かなり馬鹿ですけど」
「もちろん。私、結構人に勉強教えるの上手いと思うんだよね」
「そうですか。じゃあ、その、よろしくお願いします」
そうして保健室での授業中勉強会が始まった。
嫌で嫌で仕方のなかった学校生活は、先輩のおかげでだんだんと好きになっていった。




