転生人語 #008 ― 便利(いらないものが増えすぎた世界)―
便利な世の中になった。わたしは便利なツールを使いこなすのに一苦労だが、使いこなす現代人は現代人で、また別の悩みを抱えるようになったらしい。
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世の中は本当に便利になったと思う。
調べ物はネットで充分。図書館も新聞もいらない。
最近はお題を言えば、AIが情報を集めてくれる。
ネットでたいていの病気の治し方は分かる。病院に行かない。
ペイペイがあれば現金いらない。
ナビがあれば地図いらない。
エアコンがあれば夏服も冬服もいらない。
洗濯機は乾燥までしてくれる。物干しいらない。
コンビニに行けば何でも手に入る。大きな冷蔵庫いらない。
シャワーがあればお風呂いらない。
ネットがあれば世界の様子は分かる。出かける必要はない。
アマゾンがあれば買い物に行かない。
オンラインで勉強できる。学校に行かない。
LINEで簡単に連絡が取れる。電話もメールもいらない。
スマホがあればすぐ会える。待ち合わせ時間なんて決めない。
スマホがあれば、記憶力なんていらない。
電子レンジがあれば、料理なんてしない。
お金さえあれば、旦那いらない。
——すると、スマホとネットさえあれば、あたしはいらないのか?
スマホとネットのない世界は想像できない。
いや、ない方が幸せなのかもしれない。
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そもそも、手間を省くために便利なものが発明されてきたのだが、旦那や妻まで“いらない”と言い出すのは本末転倒だ。
昔も今も、人には心の支えが必要で、いつも横にいてくれる友やパートナーが欠かせない。
便利さが進んだ次の百年先、人々はどんな生活をしているか見てみたい。
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