転生人語 #009 ― 悪口(指摘と誹謗の境界線)―
昔から、頭のいい人は嫌われ者になることが多い。しかし、そんな人のそばには必ず良き理解者がいて、結果として大きな成功をつかむこともある。ここにも、そんな上司に振り回されながら悩む若者がいる。
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僕の上司は、人前で平気で悪口を言う。お客さんだろうが、上司の上司だろうが、部下だろうが、嫌いな相手の欠点をズバッと言うのだ。
ただ、その悪口が妙に的を射ている。
僕自身、聞いていてスカッとすることがある。
けれど、あまりにしつこく繰り返されると、さすがにうんざりする。
僕以外の人は、ほとんどが彼を嫌っている。
「そのうちパワハラで内部告発されるよ」と言う人もいる。
それでも彼は長く組織の長として認められている。
理由は簡単で、頭がキレるのだ。
悪口も鋭く、改善すべき点を正確に突いてくる。
その指摘を反映すると、実際に業績が上がる。
悪口には二つある。
ただの陰口やねたみ。
そして、普通は言いたくても言えない欠点やミスの指摘。
彼は後者を、驚くほど適切に言う。
ただ、職場で大声で言うのは困ったものだ。
しかし最近は、それも一種の“パフォーマンス”なのだと思うようになった。
彼の言葉は社員の心に知らず知らず入り込み、
バイアスとなって職場の空気を変えていく。
そんなことを考えているうちに、
僕はいつの間にか彼の鋭い思考を尊敬するようになっていた。
けれど、僕は決して同じようには言えない。
嫌われたくないし、あれほど自信を持って指摘できないからだ。
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そもそも、世界の人々は昔から議論好きで、それによって社会は発展してきた。
日本人は空気を読む人種で、議論を避けがちだ。
鋭い人ばかりでも話はまとまらず、空気を読む人ばかりでも変化は生まれない。
昔から、そのバランスが大事なのだ。
とはいえ、昔から「壁に耳あり、障子に目あり」と言う。
悪口であれ指摘であれ、うまくコントロールできる人が必要なのだ。
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