↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生人語 ー紫の語りー 紫式部は現世も見て物語を書いていたのかもしれない!?  作者: 岩田 ヒロ
光源氏(ひかるげんじ)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
76/100

評価されない僕

 仕事でつまずくと、人によっては恋愛でつまずくよりも深く傷つく。「自分は必要とされていない」と感じる瞬間、人は大きな絶望を味わう。でも、そんなときにだけ見える景色がある。


 ***


 仕事で失敗する瞬間は、いつも突然やってくる。予兆なんてない。むしろ「今日はうまくいきそうだ」と思った日に限って、足元をすくわれる。今日の僕がそうだった。


 朝から資料のチェックをして、質問されそうな箇所には補足資料をつけた。三日間、毎晩遅くまで残業した。「これならいける」と思っていた。会議室に入るまでは。「この資料、全然ダメだよ。お前、何を見て作ったの?」上司の声は静かだった。

 静かな声ほど、人を深く刺す。僕は言い訳を飲み込み、ただ頭を下げた。会議室の空気が一瞬で冷えた。


 同期の中野は、僕の隣で淡々とメモを取っている。今日の彼は完璧だった。上司に褒められ、社長にも気に入られ、次のプロジェクトリーダーにも選ばれた。


 僕はというと、「お前はサポートでいいから」その一言で片付けられた。サポート。

 便利な言葉だ。褒め言葉でもなければ、期待でもない。ただの脇役だ。


 会議が終わり、僕はトイレの鏡を見た。「俺、何やってんだろう」思わず声に出た。


 *


 帰り道、同期の中野からメッセージが来た。《今日はお疲れ。また飲みに行こうぜ》優しいやつだ。でも、その優しさがイラつく。僕は彼に嫉妬している。認めたくないけれど、心のどこかでずっと比べている。


 努力しても報われない。頑張っても評価されない。そんな日が続くと、自分の価値が分からなくなる。


 家に帰ると、机の上に置きっぱなしのノートが目に入った。日記とまでは言えないが、昔からうれしいことや嫌なことがあると、メモ程度に書き留めてきたノートだ。ペラペラとめくると、昔の僕が書いた言葉があった。《努力は報われるとは限らない。でも、努力しなかった日は必ず後悔する》


 いつ書いたのかは思い出せなかった。

 でも、今日の僕に向けられた言葉のように思えた。こんなことあるのかと、少し涙ぐんだ。僕はノートを閉じ、深く息を吸った。


 明日も評価されないかもしれない。「サポートでもしてろよ」と言われるかもしれない。それでも仕事に向き合うしかない。僕は僕のやり方で、僕のペースで、少しずつ前に進むしかないのだ。


 ***


 光の君にも、評価されない時期があった。

 どれだけ才気にあふれていても、どれだけ人に愛されても、政治の世界では思うようにいかない日々が続いた。努力が形にならない時期が、確かにあった。けれど、のちに気づく。評価されなかった日々こそが、自分を強くしたのだと。


 そもそも、人は順風満帆なときには成長しない。むしろ、誰にも見向きされなかった努力が、のちになって静かに効いてくる。「僕」の今日の挫折も、きっとどこかで報われる時が来る。


 光の君がそうだったように。


読んで頂き、ありがとうございます。

評価と応援よろしくお願いします!

ほぼ毎日更新しています。フォローして頂けるとうれしいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。