転生人語#051 ー物価高の恋―
恋すると、人は自分の身の丈を越えようとしてしまう。昔は身分の差を越えようとしたものだ。
今は“身分”というより、収入を超えた付き合いをしようとする。好きな人の前では、少しでも格好よくありたいと見栄を張る。
ただし、育った環境で決まる生活レベルや価値観の差は、そう簡単に埋められるものではない。
そんな葛藤が、時としてかけがえのない関係、恋愛を生むこともある。
***
最近、デート代が重い。
ランチもディナーも値上がりして、気づけば財布の中身がさみしい。
彼女は「割り勘でいいよ」と優しく言う。
でも、そうもいかない。
男として格好つけたいし、彼女を喜ばせたい。
彼女がお嬢様育ちだということは分かっていた。そして僕は、それに見合う男になろうと思った。
ある日のデート。彼女は「ここ、前から来てみたかったんだ」と言って、お店を予約してくれた。メニューを開いた瞬間、心の中でため息が漏れた。僕の想像より少し高かった。
彼女はうれしそうにメニューを選ぶ。そんな彼女に「高いから別の店にしよう」なんて言えるわけがない。
会計の時、彼女が財布を出しながら言った。
「割り勘でいいよ?」
「ううん、平気だよ。僕が払うから」
彼女は小さい声で、
「いいよ、無理しないで」と言った。それでも僕は全額払った。
「ごちそうさま」彼女は申し訳なさそうに言った。
帰り道、彼女がぽつりと言った。
「ねぇ、無理してない?」
「してないよ」嘘だった。
彼女は外資系企業に勤め、僕より収入が高い。仕事も順調で、服も持ち物もブランド品だ。僕は彼女の世界に追いつきたかった。
「割り勘でいいのに」
「いや、出したいんだよ」
「どうして?」
「好きだから」
彼女はうれしそうに笑った。その笑顔のためなら、今の僕の身の丈をなんとか超えてやろうと思った。
最近の物価高は、僕にとって逆風だ。割り勘にしたり、奢ってもらえば助かる。でも、僕のプライドがそれを許さない。
ある夜、彼女からメッセージが来た。
「次のデート、わたしが出すね!」
胸が少し熱くなった。きっと彼女は、僕が無理していることを気にしてくれている。なんて優しいんだろう。
僕のプライドなんて置いておいて、少し甘えさせてもらうのもいいのかもしれない。まだ、きっと長く付き合うのだし。
「じゃあ、次はお願いするよ」送信したあと、少しだけ肩の力が抜けた。
次の日のデート。彼女はいつもより少しおしゃれをしていて、同い年なのに、少し年上に見えた。
「今日、わたしが出すから」
「ありがとう。じゃあ、次は僕が出すよ」
「うん、交代制だね」彼女は笑って言った。
これでいいのだ。どちらかが無理をし続けると、いつか壊れる。
年収の差や価値観の差なんて、お互いに寄り添うことができれば克服できるのかもしれない。
僕がそれを証明してみよう。
***
そもそも恋愛なんて、計算通りにはならない。収入の差や価値観の差がない時しか恋愛は成立しない。そんな法則はない。
割り勘か奢りかなんて、本当はどうでもいい。
ふたりでいろいろな困難を乗り越えていく姿は、ただただ愛おしく見える。
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#100まで続けます。
ようやく転生人のプロファイルを確定しました。
超有名人です!
#100までには明らかになるようにします。
みなさん、誰だか予想しながら、お付き合いください!




