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転生人語  作者: 岩田 ヒロ


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転生人語#050 ーリモート恋愛―

 画面越しの恋などというものを、わたしはどうにも信用できない。触れられる距離にいながら、指一本伸ばす勇気もなく、ただ光る画面の前でため息をつく。便利になったはずの世の中で、恋だけはますます不器用になっていく。


 これは、そんな“不器用”に足を取られた「僕」の話。


 ***


 彼女と僕は毎晩オンラインで会話をする。仕事を終えて、ご飯を食べて、お風呂を出るとメッセージを送る。


「そろそろ話せる?」


 画面を開くと、彼女はいつもの角度で現れる。照明のせいか、今日のかのしの表情が少し明るく見える。「この照明、盛れるんだよね」と笑った。


 会おうと思えば会える。電車で二駅。それなのに、会わないまま季節が変わった。


「今週会おうよ」

 そう言いかけて、言葉が詰まる。会えば何かが変わる気がした。良い方かもしれないし、悪い方かもしれない。


 彼女は今日の出来事を話す。仕事のミス、上司の愚痴、ランチの話。そんな他愛もない話を聞いているだけで、僕はなぜか安心する。


 でも、通話を切ったあとの静けさが気分を暗くする。今日も「会おう」と言えなかった。


 ある夜、彼女は少し酔っていた。さっきまでオンライン飲み会だったらしい。


「ねぇ、会いたくならない?」

「なるよ」

「じゃあ、なんで会わないの?」


 珍しく、怒っているように見えた。


「会ったら、嫌われるかもしれないって」


「そんなこと思ってたの」


 彼女の声が少しだけ震えた。まずい、と思った瞬間、画面が消えた。


 次の日、僕はメッセージを送れなかった。通知が鳴るたびに期待したけれど、彼女からも連絡は来ない。


 終わったな、と思った。距離を作っていたのは、臆病な僕だった。


 三日後、彼女からメッセージが届いた。


「元気?」


 僕は深呼吸して返信した。


「会いたい。ちゃんと会おう」


 しばらくして返事が来た。


「いいよ」


 止まっていた時間が、静かに動きだした。


 ***


 隣にいる人にさえメッセージを送る時代だという。気遣いのつもりかもしれないが、相手の顔色や声色で分かり合えることはたくさんある。特に男女の関係は。画面越しでは拾えぬ気配が、会えば一瞬で分かる。そもそも、それを避けているうちは、距離など縮まるはずもない。


読んで頂き、ありがとうございます。

気に入って頂けたら、ブックマークや評価をもらえると嬉しいです。


#100まで続けます。

ようやく転生人のプロファイルを確定しました。

超有名人です!

#100までには明らかになるようにします。

みなさん、誰だか予想しながら、お付き合いください!

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