転生人語#047 ー夕顔のように消えた人―
女の涙に、男は昔から弱い。僕も例外じゃない。子どもの頃から、泣かれるとどうしていいかわからなくなる。そんな僕が、きつねにつままれたような夜を経験した。
***
会社の帰り道、電車を降りて改札に向かう途中、ベンチに座っている女の子に目がとまった。
すっごい美人だった。毎日この駅を使っているけれど、見たことのない顔だ。白いワンピースに、薄い紫のカーディガン。その姿を見ただけで、今日の疲れがふっと軽くなった。
前を通り過ぎる瞬間、彼女が泣いていることに気づいた。真っ直ぐ前を見ているのに、頬だけが濡れていた。
どうしようか迷った。見知らぬ人に声をかけるほど、僕はお節介じゃない。
でも、横目で見た彼女の涙が、なぜか胸に引っかかった。
通り過ぎたあと、彼女の視線が僕をとらえた。
ドキッとした。一瞬だけ目が合った。
数歩歩いて、僕は立ち止まった。少し躊躇してから、振り返り、彼女の前に戻った。
「大丈夫ですか?」
声をかけてしまった。彼女は僕を見上げ、静かに頷いた。
僕は隣に座った。しばらく何も喋らずに座っていた。電車が一本来て、乗客が降りて、また走り出した。
静かになったホームで、
「すいません、泣いていたから心配で」と言って立ち上がった。
「ありがとうございます。もう大丈夫です」彼女も立ち上がった。
二人で改札に向かった。コンビニの前に来たとき、
「あ、お礼にコーヒー奢ります。ちょっと待っててください」
そう言って、彼女は店に入っていった。
僕は入り口の前で待ちながら、これからの展開を想像した。もしかしたら仲良くなれるかもしれない。名前は? 家は? ご近所だったりして――。
そんな妄想をしていたが、いつまで経っても彼女が出てこない。
覗いてみると、彼女は……いなかった。
え……消えた?背中がじわっと冷えた。
店内を一周し、トイレも確認したが誰もいない。
僕がぼんやりしている間に、彼女はどこかへ消えてしまったのだ。
次の日、朝と夕の駅で彼女を探した。でも、あの日以来、一度も見かけていない。
それ以来、白いワンピースに薄紫のカーディガンを見ると、彼女を思い出す。
***
そもそも、泣いている女の子は、優しくされると少しだけ甘えたくなるものだ。けれど、我に返ると何事もなかったように去っていく。
昔から、そんなふうに多くの男が惑わされてきた。きっと僕も、白いワンピースの彼女を忘れられないだろう。
彼女は、僕のことなんて覚えていないのに。
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#100まで続けます。
ようやく転生人のプロファイルを確定しました。
超有名人です!
#100までには明らかになるようにします。
みなさん、誰だか予想しながら、お付き合いください!




