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転生人語  作者: 岩田 ヒロ


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4/10

転生人語 #004 ― 偶然 (元恋人との再会と揺れる心)―

 人は偶然を、後になって「奇跡のような出会いだった」と言う。

これも、ただの偶然だったのだ。


***


 休日に妻とデパートへ出かけた。大きな本屋に入り、途中で別れて好きな本を探すことにした。僕たちはたまにこうして本屋に入り、何冊も本やマンガを買って積読する。妻は早速マンガ売り場へ向かい、僕は文庫本の棚へ向かった。


 僕は村上春樹や村田沙耶香が好きで、新しく文庫化されたものを買って読むのが楽しみだ。単行本は最新作を読めるが、値段が高い。村上春樹の棚を眺めていると、隣の女性の横顔にふと見覚えがあった。少し考えて、ようやく思い出した。大学の時に付き合っていた順子に似ている。横目で確かめると、間違いない。向こうは気づいていないようだった。


 彼女とは大学卒業後、僕が今の妻と出会って別れた。あまりかっこいい別れ方ではなかったので、少し引け目がある。気づかれないうちに離れようとした。


 そっと反対方向へ歩き出した時——

「あれ、木村くん?」と声をかけられた。

 仕方なく振り返り、誰かと間違えたふりをした。

「えっと……」

「あたし、順子」

「あ、えっ。順子ちゃん?」

「そうそう」


 偶然の再会。昔と変わらず可愛かったので、少しドキッとした。しかし、ここに妻が来たら面倒なことになる。早く離れたいのに、なぜか彼女のペースで話し込んでしまう。


「今日はひとり?」

「いや、あっちに奥さんがいる」

「ああ、そうなんだ。じゃあ、またね。あ、あたしお花屋さんで働いてるの。よかったら来てね」


 名刺を渡され、彼女は去っていった。


ただの偶然だった。


 でもその後、妻が再会に気づいていないと分かると、僕は後日、彼女の花屋を訪ねてしまった。


***

 

 そもそも、偶然とは神の意思とか昔は言っていたものだ。そして、人はただの偶然を、勝手にドラマの始まりに変えてしまう。偶然は、物語の扉を開く鍵なのかもしれない。



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