転生人語 #036 ―覚えてくれているという贈り物 ―
誕生日か。遥か昔には青臭い思い出がいくつかあったはずだ。プレゼント?何をあげた?何をもらった?……思い出そうとしても出てこない。歳をとり過ぎたからだろうか。
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これまで付き合ってきた女の子から、誕生日プレゼントをもらったことは確かにあった気がする。
なのに、何をもらったのかがまったく思い出せない。服?ネクタイ?チョコ?……いや、チョコはバレンタインだ。ケーキ?パンツ?
おかしい。どれも記憶にない。
逆に、僕が彼女たちにあげたプレゼントは鮮明に覚えている。ピアス、指輪、ネックレス、手袋、腕時計。そういえば花束を渡したこともあった。
なぜだろう。もらったものは忘れて、あげたものだけ覚えているなんて。
思い当たる理由がひとつある。
僕には、誕生日プレゼントで“どうしても欲しいもの”が特になかった。だから、何をもらっても「とても嬉しい」という強い記憶にならなかったのだ。
ふざけて「僕が欲しいものは君」なんて言ったことは何度もあるけれど。
あげるプレゼントについては、一緒に出かけたときに彼女が「これ欲しい」と言ったものを覚えておいて、誕生日に渡すようにしていた。
「えー、これ欲しいって言ってたの覚えてくれてたの?うれしい」
そう言われると、こちらまで満たされた気持ちになった。
そういえば、プレゼントではなくても、僕の誕生日を覚えてくれているだけで嬉しかった。その一言で、その子のことを特別に意識したこともある。
そうか。プレゼントそのものより、“覚えてくれていること”が、二人にとっての特別なハッピーになるのかもしれない。
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そもそも歳をとると、自分が何歳かなんて忘れる。数えるのも面倒になる。ましてやプレゼントをもらっても、若い頃のように心が跳ねたりはしない。誕生日をイベントとして祝うのは、若者の特権なのだろう。
最近では、自分の誕生日に両親の墓参りに行く。
「産んでくれてありがとう」と伝えに。
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