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転生人語  作者: 岩田 ヒロ


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転生人語 #025 ― 同期が眩しすぎるとき―

 昔から出世や処世術というものは、物語の中で語り継がれてきた。武士の時代もそうだった。身の丈を気にしすぎて動けない者もいれば、出過ぎた真似をして叩かれる者もいる。今も同じことで悩む若者がいる。


 ***


 僕の同期には一人、いわゆる出世頭がいる。同期で最初に管理職になり、課長から部長へと駆け上がった。彼が手がけるプロジェクトは必ず成功し、いつの間にか会社の看板商品ばかり任されるようになった。


 彼と飲みに行くと、僕はいつも否定される。彼の意見に一理あるとは思うが、どうしても全面的には賛同できない。なぜ賛同できないのか、自分でも説明できないのだが。


 例えば、こうだ。


「お前のプレゼンは全然ダメ。あのプレゼンの“客”は誰か分かる? カスタマーじゃない。お前の上司だよ。上司が喜ぶプレゼンを考えたことある? どんなに商品が良くても、上司の承認がなければ開発はGOされないんだから」


 確かに正しいのかもしれない。でも、上司にゴマをするようで、どうしても合意できない。


 さらに、


「なんであの会議で発言しなかったの? お前の存在価値ゼロだよ」


 僕はまだ意見を言う立場ではないと思って遠慮しただけだ。彼のように堂々と発言するなんて、恥ずかしくてできない。


 最近では、


「お前、今の部署にいてもダメだよ。お前の上司がマーケティングできてない。社長にも相手にされてない。お前の部署は過去の一回の成功の惰性で存在してるだけ。早く社内応募で異動するか、転職した方がいい」


 社長の顔色を伺うとか、他部署の上司を批判するとか、転職を勧めるとか──僕の想像の外側のことを、彼は平気で言う。


 もしかすると、僕は彼に嫉妬しているのかもしれない。本当は素直に聞いた方がいいのかもしれない。


 そんな彼が来月、退社し、競合他社に転職するという。


「この会社にいても将来がないって分かった。あっちの社長と考え方が一致してるから転職する。給料も上がるしな」


 彼の行動力には恐れ入った。ロジカルで、決断が早い。僕は取り残されているような気がした。


 一年後、彼が後悔しているか、成功しているかは分からない。

 ただ、心のどこかで「後悔すればいいのに」と思ってしまう自分に、少し驚いている。


 やはり嫉妬しているのかもしれない。


 ***


 同期に存在感のある友人がいると、どうしても躊躇してしまう。

 それは嫉妬ではなく、彼とは違うやり方で成功できないかと考えるからではないか。


 そもそも人は、人に言われて動くことが嫌いだ。あまのじゃくという言葉があるくらいだ。


 大きな会社や組織の中で生きるというのは、昔からずっとストレスと隣り合わせなのだ。


読んで頂き、ありがとうございます。

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