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転生人語  作者: 岩田 ヒロ


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転生人語 #022 ― 紹介では燃えない理由 ―

 昔はお見合い結婚が主流で、恋愛結婚は珍しかった。

下手に惚れたりはったりすると、駆け落ちなんてことになり、大事件だった。ここにも、そんな出会いがあったようだ。


***


 僕は何度か、友人たちの彼女の“友達”を紹介されて、ダブルデートをしたことがある。かなりの回数をこなした記憶がある。


 いつもパターンは同じだった。


「彼女の友達で彼氏がいない子がいるんだけど、とっても可愛いのに出会いがないらしいんだ。今度、四人で会ってみない?」

「お前、その子に会ったことあるの?」

「いや、ない」

「……それ、危ないパターンじゃない?」


 女の子たちの友達の褒め言葉、

「とっても可愛くて、性格もいいの」

そんな二つを持った子が彼氏いないなんて、どう考えても怪しい。


 念のため友人に聞く。


「僕のこと、どう紹介したの?」

「彼女が『彼氏の友達に彼女がいない子がいるんだけど、とってもカッコいいのに出会いがないらしいのよ』って言ったらしい」

 毎回、お互いさまだと思った。


 それでも僕にも彼女がいなかったし、怖いもの見たさもあって、しぶしぶ……いや、実際は喜んで行った気もする。


 ハンバーガー・ショップで食事をしたり、居酒屋で飲んだり、ディズニーランドに行ったこともあった。会った女の子たちは、それなりに可愛かった。でも、全員性格が違った。


 そのうちの一人とは、友人の強い誘いで一泊二日の旅行に行くことになった。四人で車に乗り、近場の湖へ。ホテルに泊まった。


 当然、部屋は二つ。友人カップルは二人で泊まりたかったのだろうが、僕とその彼女は二度目の顔合わせ。僕は遠慮して、男女別々の部屋をお願いした。


 ところが夜になって、友人の彼女が僕に耳打ちした。


「あの子、君のこと気に入ってるから、もっと仲良くなりなよ」

 そして突然、

「あたしたち、こっちの部屋で寝るから、あなたたちはそっちね」

と言って、僕の荷物を部屋から放り出し、鍵を閉めてしまった。


 廊下に取り残された僕と彼女は、やられたなという顔をして、もう一つの部屋に入った。


「あいつら、最初からこうするつもりだったよな」

「まだまだラブラブっぽいしね」


 気まずい空気の中、順番にシャワーを浴びた。

ツインのベッドに別々に入り、少し会話をして、そのまま眠った。


 正直に言うと、女の子と二人で同じ部屋に泊まり、何もなかったのは、これが最初で最後だった。


 翌朝、四人で朝食をとると、友人カップルがニヤニヤして聞いてきた。


「よく寝れた?」

「うん」と僕と彼女は曖昧に答えた。


 その後もしつこく聞かれたが、僕は「何もなかったよ」と言った。

「え、そんなに魅力なかったの?」

「そういうわけじゃないよ。だって、会って二度目だよ」

「えー、あたしたち会ったその日だったよ」


 もしかして僕は、あの彼女に失礼なことをしたのかもしれない。

その後、彼女と会うことはなかった。


 長くなったけれど、僕はこれまで紹介された子と付き合ったことが一度もない。どうしてか不思議だが、紹介はダメだった。可愛くて、性格もよかったのに。


 ただ、自分で探し出した出会いではないから、メラメラと闘志が湧かなかったのだと思う。運命の出会いとか、一目惚れとか、そっちの方が僕には向いていた。


***


 何とも贅沢な男だ。「据え膳食わぬは男の恥」という言葉を知らないのか。それとも草食系というやつなのか。


 しかし、積極的な人もいれば、受け身の人もいる。積極的ばかりではいざこざが増え、受け身ばかりでは何も進まない。偶然の組み合わせが、ドラマを作るのかもしれない。


 積極的にも、受け身にもなれる“二刀流”なんていうのも、悪くない。


読んで頂き、ありがとうございます。

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