転生人語 #020 ― なんでもいいよ、の温度 ―
あたしには、昔から変な癖がある。
「なんでもいいよ」と言われると、一瞬で冷める。
どんなに好きでも、魔法が解けるみたいに、すっと温度が下がる。
相手に悪気がないのは分かっている。
でも、あの言葉を聞くと、まるで急に現実に戻されたような気がしてしまう。
何も言わずにその場を離れ、電話もせず、電話にも出ず、
そのまま自然消滅させたこともあった。
きっと彼は、あたしが冷めた理由を最後まで知らなかったと思う。
「そんなの極端すぎるよ」と友達は言う。
自分でもそう思うけれど、どうしても直らない。
男友達に話すと、彼は笑いながら言った。
「たぶんさ、暗に“何か食べたいものある?”って聞いてるだけだよ」
「だったら最初から“食べたいものある?”って聞けばいいでしょ。
なんでもいいって、なんか……諦めてるみたいに聞こえるの」
そう。
“なんでもいいよ”って、投げやりで、無責任で、どこか失礼。
あたしは、あの言葉を平気で言う人が苦手だ。
あたしだけなのかな。
***
でも、逆に、女の子に「なんでもいいよ」と言われると、男の子はやる気が湧くこともある。
それは男心ってやつなのだろうか。
同じ言葉なのに、
言う側と受け取る側で、こんなにも意味が変わる。
レディー・ファーストという言葉があるけれど、
その“正解”が何なのか、いまだに私にも分からない。
たぶん、言葉じゃなくて、
その人の気持ちと相性次第なのだろう。
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