表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生人語  作者: 岩田 ヒロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/29

転生人語 #019 ― 愛は自己満足なのか―

 昔から心理学には興味があった。深層心理とか二重人格とか。そういった本を読むことはあったが、誰かと議論することはなかった。


***


「募金とかなんでするか知ってる?」

「え? 世の中の役に立てばと思ってするんじゃないの?」

「違うよ。募金した自分が偉いなって、自己満足のためなんだよ」

「え、そうなの」

「そうだよ。募金したって見返りないでしょ。見返りのないことなんて、人間しないから」


 ちょっと待て。彼女はいきなり何を言っているんだ。


「見返りを求めない募金とか、奉仕とか、ボランティアとかあるよね」と僕は質問した。

「それって全部、自己満足のためなんだよ」


 んー、なんとなく言っていることは分かるけど、みんながそう考えているようには思えない。


「じゃあさ、あたしが君にプレゼントあげるでしょ」

「うん」

「君が喜ぶとするでしょ」

「うん」

「あたしは、喜ぶ君を見て自己満足して終わるの。あたしはね、あなたからのお返しなんて期待してないの。分かる? あなたを喜ばせた“あたし”に満足するの。やった、喜んでくれたって」


 んー、なんとなく言っていることは分かるけど、彼女は何を言いたいのだろうか。


「で、で。すると、僕たちは全て自己満足のために募金やプレゼントをするってこと?」

「そう。あたしたちの行動の根っこはね、自己満足を満たすことにあるの。だから、あたしが募金したら、あたしを褒めて。あたしがプレゼントしたら、喜んで。そして、そのプレゼントを選んで、あげたあたしを褒めて。それであたしはしあわせなの」


 自己満足を満たすために僕たちは行動しているのか?

そんな気はするが、それを堂々と僕に説明する彼女は、僕に何を求めているのだろうか。


「ごめんね、今の話、忘れて。あたし、この話を友達にすると嫌われるの分かっているから」


 彼女のことをもっと知りたくなったけど、行き着くところがちょっと怖くなった。


***


 わしは無性の愛とか、母の愛は海より深いとか、そういうものを信じているが、それらを突き詰めると自己満足にたどり着くというのは本当なのだろうか。


 そもそも彼女は、なぜ彼にこの話をしたのだろうか。友達にすると嫌われると分かっていながら、彼にだけ話した理由を知りたい。彼の代わりに聞いたら、彼女はなんて答えるのだろうか。


 ただし、聞かない方がいいこともある。


読んで頂き、ありがとうございます。

評価と応援よろしくお願いします!

ほぼ毎日更新しています。フォローして頂けると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ