358話 第何次ともしれない改革 1
不定期で申し訳ありません。
ヤマト公国公都ノースガルド
「日本国やら古き森に遠征を行っている間に内政がいろいろと課題が山積してしまっているな」
マコトは、執務室の机の上に山と積まれた書類や記録媒体を目にしてうんざりとしていた。
「遠征前に其れなりの規模の案件は対策を講じていたいた筈なのだが?」
執務室の机の前にこれまたずらりと一列に並んだ内政、外交等の文官が目を光らせている。
「陛下、我がヤマト公国は成立して20年にも満たない振興国家なのです。強力な軍事力と並ぶものの無い経済力を有していても海千山千、想像力も働かない
ような骨董品国家も含めた周辺国からすれば叩けばおこぼれが貰えそうな存在に見えるのです。その見通しの甘さから滅んだ国家も有りますが」
列の先頭の文官が一同を代表するかのように発言すると他の者達もウンウンと頷く。
「まずは隣国との国境線の問題です。事前の協議で領境と定めた川まで道路建設を進めたところ建設現場が隣国を侵犯していると小競り合いが生じました」
「冒険者ギルドの各支部への常設依頼の報酬への国からの補助金ですが、一部でギルドより国への討伐数が実際よりも水増しされて過剰請求されている疑いが発生しております」
「国土全域を網羅する計画の公共バスの設置計画ですが、魔物の出現に対する対策に遅れが生じ、また現地の冒険者ギルドの雇用対策も相まって各地での対応が統一か出来ず・・・」
「国営の大規模農場ですが生産が順調で国内消費と備蓄分以上の余剰品を輸出に回していますが、海外産の作物よりも品質、価格等が公国産品が優れている為に各国よりの問題提起の連絡が参っております」
「国内消費の各種金属ですが、国内の鉱山の開発が進み鉱山都市ドリンドルの負担が減っていますが金属精錬の為の工場の建設が追い付かずやはり質の良いものはドリンドル製が良いと国内で金属価格の不均衡が発生しております」
「近年、さきに陛下もご覧になられたような魔物の氾濫が規模の大小は有りますが近隣各国で頻発しております。各国は冒険者ギルドに対応を依頼したり、近
隣国に援助を求めていますが、その結果は芳しく無い様子で何度大規模な氾濫を単独で鎮圧している我が国に支援を求めよう、という国も出始めています」
等々、百近い案件の報告が上がってくる。日本国への遠征前頃からマコトは極力に自らのスキルを使用せずに国内各地に建設した工場などでの各種物資の生産を開始していた。
いずれ自分が居なくなっても急にヤマト公国の文化レベルを剣と魔法の世界レベルに戻すことを危惧しての政策だったが、周辺国家が未だに剣と魔法の世界レベルの中で自分達だけ近代的社会を作り、維持していくのはやはりなかなかに無
理難題だったようだ。金属の精製にしても他国はまだ人手だけ、もしくは家畜や魔法を使用して鉱石を掘り出し、それから精製炉で諸々の手順を人力で行いやっと金属塊を造り出すがヤマト公国は数ヵ国が1ヶ月で造り出す量を
数日で生産してしまう。それだと充分のようだが、そこから、車輌やら兵器やら日常生活で使用する製品を製造するやらで幾ら有っても金属は足らないので有る。大量生産、大量消費の近代社会の問題とも言えよう。
他の食糧品やら工業製品もそうだ。造り出す技術は有っても国内の需要を満たすことが出来ない、若しくは余裕が有ってもその製品価値が他国とは差がありその事がまた問題を生み出す。
いうなれば、ヤマト公国が本当に自給自足の出来る近代国家へと成長する為の『産みの苦しみ』という時代を向かえているのかもしれなかった。
しかし、この困難な時期を乗り越えてしまえばヤマト公国は周辺地域国家で並び立つものの無い覇権国家となりうる。その事を朧気ながらも感じ取っている国家や個人がヤマト公国の足を引っ張ろうと難癖を付けていることも混乱を助長していた。
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