357話 氾濫鎮圧 8
不定期投稿~。
旗艦空中戦艦《黄泉》艦橋
「偵察隊384を魔導動甲冑部隊3個小隊が支援し百足型を引き離すことに成功しました。地中貫通爆弾搭載艦が攻撃を開始、地中の巣道を一時的に崩落させ足を止めます」
「空中巡洋艦112より入電。地中貫通爆弾2発を発射し巣の道の崩落を確認したということです」
「偵察隊384、崩落地点より2km以上の離脱を確認しました。主砲の攻撃影響範囲の最低許容値です」
「観測艦より崩落を蟲が這い出るのは時間の問題との報告です」
次々と広くとられた艦橋のオペレーター席の兵から各部署からの報告が上がって来る。空中戦艦黄泉の主砲発射の為の前段階がクリアされていく。
「陛下、そろそろ?」
「そうだな」
黄泉の艦長が最高司令官であるマコトに決断を促す。本来であれば諸々の手順が有るのだろうがヤマト公国の公王の権限はそれだけ強大になっている。
「偵察隊より送られて来た情報で巣の道順も大まかに推測出来る筈だ。それをなぞるようにして主砲で凪払う。攻撃開始の判断は艦長に一任する」
「攻撃権限頂きました。各班報告せよ」
「攻撃影響範囲内に味方の反応無し」
「攻撃予定範囲の設定完了しました。主砲三制射で全ての範囲が収まります」
「砲撃部門より主砲砲撃準備完了とのこと」
「安全管理規程により本艦周囲の艦艇が距離をとり、不測の事態に備えています」
「周辺空域に攻撃に影響を与える存在認められず」
艦長が続く報告を聞き取り、頷く。
「砲撃を開始する。攻撃認証資格者は認証の準備を」
これは日本で様々な映画、アニメに影響を受けたマコトが『強力なマップ兵器って複数の認証が要るんじゃねえ?』と考えて一定値以上の破壊力を有する兵器に持たせた安全装置である。
幹部クラスの将兵に攻撃の承認機能を持たせた安全装置を所持させて、一定数の装置が認証の信号を受信すると兵器が発動するというものだ。
ちなみにその権限を誰が有するのかを知るのは当人と、その場の最高指揮官(多くは艦長、将軍)と公王親衛隊の幹部のみだ。その承認に何人の同意が必要か、何人が権限を持っているかは兵器の級による。
極端な話し、通常砲撃ならば艦長1人の権限で良いし、MOAB等も艦長ともう1人ぐらいで良いとされているがそれ以上の兵器については多くが極秘となっている。
この制度にも問題点は多いが基本的に公国軍は設立間も無く、公王への忠誠心も異常なまでのもので有るので今のところは問題点は表面化していないが制度の改訂は絶え間なく考察されている。
権限を秘密裏にでも持たされた将兵の士気は異常なまでに高くなり、士気高揚の一助となっている。勿論、他人に教えれば即権限剥奪なのは機密保全上言うまでも無い。
前置きはさておき、艦長が命令を下す。
「攻撃目標を捕捉、攻撃認証を開始・・・・、攻撃への承認権限数の充足を確認した・・・・」
その発言と同時に旗艦空中戦艦《黄泉》の主砲が発射された。
先の制度にはまだ利点が有った。《誰が引き金を曳いたのか分からないのだ》
資格者は勿論分かっているが承認したのは自分だけでは無い、と思える。極端な話し、日本の都市伝説に有る死刑の絞首刑の足元の板が開くボタンが複数有り誰のボタンで執行されたのか分からない物に近い。
今は対象が魔物であるが、将来は人口密集地に兵器が向けられるかもしれない。その際に攻撃をする将兵のメンタルに配慮した制度でも有るのだ。
そうした制度により承認された砲撃は地下の巣穴をことごとく粉砕した。
今回が今年最後の投稿となります。来年も宜しくお願いします。




