第89話:メジャーリーグ6年目シーズン終盤 再びセットアッパーへ
ヤンキースとの3連戦で、対戦したバッター10人全員から三振を奪い、サヨナラヒットまで打ち、新たな伝説を作った、ドジャースの左のアンダースロー橘周。代理のクローザーとして獅子奮迅の活躍(表現が古いw)。
正規のクローザーであるヘイグ投手は、故障者リスト入りしていたが、そろそろ復帰しそうだ。ヘイグ投手がマイナーリーグで調整登板したその日、橘周は、監督・投手コーチにさらっと伝えた。
「ヘイグが上がってきたら、喜んでセットアッパーに戻りますよ」
という言葉。
絶対的クローザーとはいえ、年齢も実績も橘周が上だし、何よりヤンキース戦での新たな伝説を含めて、もはや長いメジャーリーグで最も印象的なスター選手の1人になっている橘周に、セットアッパーに戻る様に伝えるのは気が引ける。そんな気を遣わせたくないから、自分から伝えたのだ。
「そう言ってもらって助かるよ」
「当然のことです。後、今の調子が続く限り、6回でも7回でも8回でも好き
に使ってください。ヘイグが3連投を避ける場合は、私がいつでもクロー
ザーしますし」
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橘周は、高校の時に調子に乗って野球人生を棒に振った父親から、ずっと言われ続けていた。それは「調整に乗るな」「常に体調を整えておけ」というものだが、最近は少し増えた。それは
「どんなに実績積んでも、偉そうな態度だけは取るな」と
「どんなにモテても女性蔑視な行動を取ったら、メジャーリーガーを
クビにさせるからな」
ということ等だ。スーパースターこそ謙虚であれということだ。だから、何があっても明るく振舞っても、調子に乗らない、尊大な態度を取らない・・・が実践できていたのだ。
さて、終盤戦は、戻って来たクローザー)ヘイグを含めてチームの団結力が一層高まり、前半戦の3位から一気に1位に躍進した。橘周は、6回や7回のピンチの場面でもマウンドに上がり、ほぼ全ての試合でバッターを抑え込んだ。
シーズンが終了し、4勝2敗19セーブ防御率1.68と再び輝きを取り戻したシーズンとなった。




