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地上10センチから世界を征する 剛腕の左のアンダースロー  作者: 伊藤ライリー
メジャーリーグ編
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59/304

第59話:今シーズンの伝説には続きがあった

数々の伝説にはまだ続きがあった!

左のアンダースロー橘周は、何故浮き上がるボールを投げられるのか?の振り返り。オーバーハンドで投げたら165キロでる凄まじい身体能力や肩の強さがあるのに、何故かオーバーハンドがしっくりいかずに、アンダースローだけがハマった・・それが橘周投手だ。


またアンダースローの投手は、威力があってもバッターに届く前に垂れてくる。それが宿命なのだが、橘周は、キャッチャーミットに収まるまで威力が衰えない世界で唯一のピッチャーだ。だから下から上への軌道の中で空気抵抗を受けて浮き上がるボールとなる・・・歴史上唯一の人物。


さて、メジャーリーグ1年目の今期、様々な衝撃的なプレーを全米に披露してきたが、まだ終わりでは無かった。8月最終日に20勝達成を目指してマウンドに上がった。


ここはメジャーリーグで最も高地にある、コロラド・ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールド。この日風が強く、しかもバックネットからピッチャー方面に吹く風。橘周にとっては向かい風の絶好の風。何故なら、高めはいつもより浮き上がり、落ちるボールはいつもより落差がある。


初回から、浮き上がる、落ちる、曲がるを巧みに織り交ぜて、バッタバッタと空振りを取って行く。各バッターは、なすすべ無しの感じが続いた。


終わって見れば、2安打完封で20奪三振!伝説のロジャー・クレメンスやランディ・ジョンソン等が記録したメジャーリーグ記録に並んだ。またこの試合ツーアウト3塁で打席に立ち、セイフティースクイズを決めて決勝点をもぎ取る活躍もした。


そして、翌々日にはライトで先発出場して、またしてもメジャーリーグ記録を塗り替えた。それはスリーベースの三塁到達記録というあまり派手さが無い記録(笑)。それまではStatcast(メジャーリーグのトラッキングシステム)が導入された2015年以降で10.83秒が最速だったが、10.77秒の最速記録をたたき出した。これで塁間を除き、現役メジャーリーガーで最も足が速い選手と認定されたのだ。


橘周の伝説は、まだ始まったばかりだ。


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