第299話:風雲急を告げる
ダブルヘッダーでの試合後、また代打出場が続く。
先発ローテーション入りは・・無い。
4月末の試合前のブルペンで、橘周が投球練習。
そろそろ今シーズン、ピッチャーとしてどうして
いくのか?監督も見極めたいところである。
しかし、力を入れてストレートを投げた際に、
肘にピリッと痛みが走った。
「うっ」ブルペンに声が響いた。
「これヤバイ気がする」
長年ピッチャーやっていると、肘や肩は多少の痛みや
違和感はあって当たり前だけど、今までと違う痛み。
即病院へ直行して検査。
結果は、「投手、野手で試合に出るなら肘の遊離体
(関節ネズミ)の軟骨除去手術が必要」
というものだった。
手術を回避してDHでバッターとしての出場は、可能と
言えば可能だが、
・さらに痛める可能性がある
・橘周がDH枠を独占することは、戦術的にあり得ない
では代打と代走だけでメジャーに残って戦力になるか?
は、勝負強い橘周なら可能と言えるが、巨大戦力の
ドジャースにとっては、お荷物になりかねないし、
やはりさらに痛める可能性は同じこと。
橘周は、首脳陣と相談の上、手術実施を決断した。
「橘周が手術で離脱」のニュースに対し、「まさか」
という反応と「ついに終わりの始まりか」
という反応が入り混じっていた。
すぐさま手術が行われた。
医師によると
・バッティング開始まで約2ヶ月
・スローイング開始まで約2.5ヵ月
・ピッチング開始まで約3ヶ月
というものだった。
これで8月頃までメジャーの試合に出られない。
いや、8月に試合に出られるほど甘い世界ではない。
43歳を迎える大ベテラン選手にとって、試練の時だ。
監督も橘周も今後のことについて、決断を迫られる
こととなった。
でも橘周は、慌てていなかった。
退院後は、数日自宅でゆっくりした。
前回の腰の手術の時と比べ、術後の生活は格段に楽だ。
この数日間は、妻のレイラ・ストームも家にいてくれた。
娘と3人で、まったりとした時間が流れた。




