第286話:プロ19年間の経験値を元にした、究極のピッチング!!
2回表のドジャースの攻撃。
橘周は、6番ピッチャーでバッターでも出場している。
相手チームのエースが厚い壁となって立ちふさがる。
ツーアウトから橘周。
バッターの登場曲は、これも歴史上最上位クラスの
スーパーヒット曲だ。
a-ha - Take On Me
攻撃では、敢えて軽めの曲を選んだ。
橘周は、低目のボールを捉えてライトへ。
しかしライトライナーに倒れる。
今度は2回裏のピッチング。
この回もスライダー、シンカー、ツーシームで
左右の動きが中心。
そこに、伸びのある高めと低目のストレートが
混ざって捉えにくい内容。
尚且つ、バッターはどこかナックルを待ってるから、
余計にキレのいい横の動きにはついていきにくい。
この回も内野ゴロ2つと三振1つで三者凡退。
3回裏のピッチング。
先頭バッターにスライダーを狙われて、レフト前ヒット。
次の8番バッターには、一転してストレートの後に
143キロのスプリット。
ボールの上を叩いてショートゴロダブルプレー。
続く9番バッターには、ツーシーム、スプリット、
ストレートと高速系の球種で追い込んだ後、
この日初の105キロのスローカーブで空振り三振!!
なんと、この日の球種は、10個目に達した。
並々ならぬ意気込みの表れである。
ブレーブスのバッター達は「なんでナックルを投げ
ないんだ?」と戸惑っていた。
味方である監督のバークシャーまで戸惑っていた。
「俺が最初から全力でいけと言ったから、ナックル
中心となるかと思ったが、最初の2球だけとは?」
そう橘周は1人で自身の作戦を実行していた。
監督もコーチも3,4回でいいというつもりでも、
橘周は密かに「7回まで1失点以内で抑える」ことを
自分自身に誓っていたのだ。
橘周の場合、投げる球はキャッチャーではなく、
自分で決めている。
だからこそ成り立つ配球である。
さらにこれは、長年のバッター目線とピッチャー目線の
経験値を合わせた、「究極の配球」でもあるのだ。
4回の表は、松村祐、ライダー・ゴールドの連続ヒット
はあったが、ダブルプレーで得点できなかった。
そして4回裏の橘周のピッチングに移る。
一転して、ナックルの連発だ。
時折、150キロ前後の高めストレートを挟む。
かつてナックルボーラーで、ここまでストレートが
伸びるピッチャーは存在していなかったかもしれない。
またシーズン初めこそ、ナックルとナックル以外の
球種ではフォームの癖から、なんとなく見分けが
付いていた弱点も克服していた。
時々、投げる前に指先をモゾモゾさせて、ナックル
のように見せかけて、ストレートを投げたりもする
ので、余計に分かりにくい。
常にバッターの予想や勘や、慣れまでも上回る
ピッチングをしているのだ。
4回は、12球のうち8球がナックル、4球がストレートで
押し通し、三者三振。
ここで、早くも観客のスタンディングオベーションが出る。
4回を終わって12人を1安打7奪三振。
10種類の球種を変幻自在に操る・・・・究極の
ピッチングが続いている。




