第271話:6回表のドジャースの攻撃で、ついに・・・
息詰まる兄弟対決。ドジャース0-1の投手戦だ。
メジャーを代表するスーパーエースの弟:壮太郎
vs
元メジャーを代表するスーパーエース&二刀流の兄:周
の対決は6回の攻防を迎える。
ドジャースは、1番ジャックス・ハーランから。
3球目のナックルカーブを、どうにかレフト前に運ぶシングルヒット。
2番松村祐。ファールで粘ってフォアボール。ノーアウト1塁2塁。
3番ライダー・ゴールド。ドジャース一筋の主砲でスーパースター。
「俺は脇役キャラじゃねーぞ」とばかりに、吠えてバッターボックスに入る。
しかし、ライダー・ゴールドは、橘壮太郎を苦手にしている。
ここで2日間特訓したことの成果を出す時だ。
同点タイムリーを期待される中、それは・・・送りバントだ!
3塁前にしっかり転がして、2塁3塁に。
「さあこれで、偉大な兄が仕留めろ」とつぶやきながら、
橘周にエールを送った。
ライダー・ゴールドでダブルプレーを取りたかった橘壮太郎は、ちょっと焦った。「くそ、おぜん立てができちまったか。周は俺がねじ伏せる!」
さあ、これが最後かもしれない、兄弟での真剣勝負。
初球は、外角153キロのツーシーム。見送ってボール。
2球目、真ん中高め162キロのストレート。ファール。
3球目、待っていたスライダーとカットボールの中間のスラッター。
内角よりのやや甘いコース。
腕をたたみ気味のバレルターンで振っていく。
高速で走るバットを、当たる瞬間に100キロ近い握力で押し込みながら振り抜いた。
完璧に捉えた打球は三塁の頭上を188キロの速度で通り過ぎ、あっと言う間にレフトのフェンスへ到達。角度がつかず、フェンスを超えなかったものの、ツーベース。
2塁ランナーの松村祐は、けっこうな全力でホームインした。
弾丸のような打球がフェンスまで届いたことで、球場は一瞬大人しくなったが、逆転のランナー松村祐がホームインすると、大歓声に変わった。
その後橘周は、容赦なく3塁までの盗塁を敢行する。
そして、5番ミハエル・シュミットまでもセンター前ヒット。
この回ドジャースは、見事に橘壮太郎を攻略し、3-1と逆転に成功した。
ヤンキースタジアムは、スーパーエース橘壮太郎が攻略されたこと、逆転打を
打ったのは、数年前までここでクローザーとして君臨していた男であることに、
複雑な心境のファンが多くいて、なんとも言えない雰囲気だ。
しかも、あのライダー・ゴールドが、綺麗に送りバントを決めたことで、
情報過多にも陥っていた。




