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地上10センチから世界を征する 剛腕の左のアンダースロー  作者: 伊藤ライリー
Returned to the Dodgers!!!伝説の男が戻ってきた!
268/273

第268話:史上最高の注目試合 ドジャース vs ヤンキース inヤンキースタジアム 始まる

兄の橘周の今シーズンのフォームは、若干サイドスローに近いスリークォーター。

子供の頃から大学卒業間近まではスリークォーターだったから、馴染みが無いわけではない。その大学までは、スリークォーターではどうしてもスピードが出なくてアンダースローに転向したわけだけど、ようやくしっくりきてスピードが出るスリークォーターのフォームに出会えた。

また、長年の希望だった「メジャーで腕を上げて、スプリットやナックルを投げる」を42歳シーズンでやっと叶えた。飽き性の性格を逆手に取って?試行錯誤した結果である。


対して弟の橘壮太郎のフォームは、昔から変わりなく、斜め45度付近のスリークォーター。

時々腕を上げたり下げたりはあるが、兄と違って一貫性がある(笑)。先にプロに入った兄のアドバイスはかなり受けはているが、基本は高校からプロ入り後3年間で、じっくりと固めてきたフォームである。


世紀の兄弟先発対決の当日。試合前に兄弟で30秒間だけ会話を交わした。

普通はしないが、メディアの取材をかねて、公開の場での会話だ。

去年も橘周は、オープナーとしてヤンキース戦に先発して2イニング限定で投げたが、今年は先発ローテーション入りした中での兄弟同時先発だから、インパクトが遥かに大きい。


周「投手戦にしたいな」

壮太郎「それより、今日ピッチャーで4番打つなんて聞いて無いぞ。しかも200勝をかけて登板するなんて、完全に周が主役みてーじゃねーか(笑)」

周「正義のヒーローだからなあ。しゃあないさ(笑)」

壮太郎「じゃあ俺は悪役だから、ぶつけてしまうかもしれんな(笑)」


今日のドジャースの打順は、2番松村祐、3番ライダー・ゴールド、4番橘周だ。また5番には、新進気鋭の右打ちキャッチャー:ミハエル・シュミットが抜擢された。松村祐と橘周はスイッチヒッターなので、サウスポーのスーパーエース)橘壮太郎をかなり意識した打順である。


ヤンキースの3番は、3年目を迎えた桜井淳がいる。プロ野球ではジャイアンツのチームメイトでもあった。プロ野球史上初の四冠王)桜井淳と史上初の四割バッター松村祐の対決にもかなり注目が集まっている。


試合開始。先発の橘壮太郎がマウンドに上がる。

初球のナックルカーブの後、2球目160キロストレートでセカンドゴロ。


次に2番松村祐が、橘壮太郎との初対決!

初球161キロのストレートでストライク。

2球目は、今年使っている、スラッター(カットボールとスライダーの中間で20~30cm鋭く曲がる)で外角ボールからのバックドアでストライク。

松村祐は、驚いた。「手元であんなに急に曲がって、ストライクゾーンに入ってくるのはやっかいだなあ」

若干集中力をかいたまま3球目の162キロ高めストレートで三球三振に斬って取られた。

「やっぱ、世界一のピッチャーは凄まじい。でも次の打席では・・・」


3番打者は、チーム1の強打者ライダー・ゴールド。

壮太郎は、ここでもスラッターで押す。

外角スラッター、ナックルカーブ、内角スラッターで連続の三球三振!!


ヤンキースタジアムが大歓声に包まれる。


橘周「壮のヤツ、バリバリ気合入ってるやん。スピードでは歯が立たないから、冷静に冷静に」

と言って、1回裏のマウンドに向かう。


この日の登場曲は、特別に選んだ。インディー・ジョーンズのテーマ曲で有名な「Raiders March」だ。

数年前は、ヤンキースで史上最高のクローザーだった橘周が、その時のアンダースローとも昨年のサイドスローとも異なる姿で、ヤンキースタジアムに戻って来たのだ。そのヒーローがインディー・ジョーンズのテーマ曲で登場したのだから、超満員の観客が興奮しないわけがない。


バックネット裏等には、有名人も群がっている。

この試合、最高額で500万円超えの席まで出現した。


「盛り上げ過ぎだろ。この変則ピッチャーに(笑)」とちょっぴり照れ臭かった。


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