#8. ボッチ、食材の宝庫に出会う
結構な距離を旅してきた。
あれから、思考を補給できる生き物にはあまり出会えていなかった。生命って生まれ難いのね、と実感する。
本能すらないような生き物でも、見つけたら入り込むようにした。食事のためではなく、アイツらを呼ぶために。
今のところ、ものすごく遠くて薄まってはいるけれど、執念深く探しているだろうアイツらの思念が感じられた。これで、ごはんは確保できる。
ごはんの心配がないならと、思う存分ぶらぶらした。
その旅の果てに、この星と出会ったのだ。
初めはその美しさに目を奪われた。星の海に浮かぶ青い星。近づいて、大気を抜け、広大な水に飛び込んでまた驚く。
なんて、数の、生き物!
個の数だけではない。見た目も大きさもバラバラだ!
手近な大きい個体に入り込むと、思った通り、この個体を恐れる思考が、辺りに撒き散らされている。おっと、この個体でも捕食されるのか。あぶないあぶない。
めくるめく食味の変化。
ああ、ああ、すごい、すごいすごい!
これが、この個たちが思考を獲得したならば。一体どれほどの味が堪能できることだろう!
これは、手出しをしてはいけない。そう思った。
観察者に徹し、できたものを味わう。それこそが意外性の醍醐味。アイツらとの間にも距離があるし、当分はこの星を楽しませてもらおう!
そしてとうとう、待ちに待った思考できる生き物が誕生した。
ただ、空気振動を利用したコミュニケーションを中心に、物理的な方法で意思伝達する生態のせいで、大きな思考の漏れはない。そこだけが残念。
今まで通りに個体の中に入り込んでも良いけれど、精神体のまま語りかけても個体ごとに違う反応が楽しめる。その辺りの草むらでも揺らしてやれば、勝手に色々想像するのか、それだけでもいい表情をしてくれる。
思考が複雑になるほど、反応も多様になった。食う食われるの関係にとどまらない。血縁などで繋がった個体同士の、お互いを思い遣る気持ちが特にいい味わいだ。
気づけば、僕の体はすっかり大きくなり、気を抜くとこの星からはみ出すほどになってしまった。
あ、そうか、全部包んでしまえばいいのか。
そうすれば、この星の上から、好きな場所を見ていられるし、都合が良い。
見つかったって構わない。今の僕なら、アイツらに負ける気はしないしね。
僕は、この地球という星をすっぽり抱え込む様に、体を引き伸ばしたのだった。
「ボッチ」改め「かみさま」爆誕。




