#5. ボッチ、ニアミス
色んな星から吹き出す風にまかせて、あっちへこっちへ。さすがにおなかも減ってきた。
とはいえ、周りに都合よく思考するような存在もなし。
まあ、まだ消滅するわけでもないか。そう思った時だった。
ぴり。
僕に向かう思考。これは。
とうとう追手が来たか。
とりあえず、この思考もごはんに変わりはないので、ありがたくいただくとして。
逃げなきゃ!
まだ距離はありそうだけど、念のため、と身を潜めた手近な惑星には、見たことのないものがいた。
実体のある、自らの本能に基づき動く者たち。僕とは異なる形の生命。
ちょっとした気まぐれで、その中に入ってみた。
おおおおおー。
その個体に向けられた、闘争、恐怖、服従、、、、、量は少ないけれど、これは。
知らない味だ。ほかにはないかな?
食欲。え。
振り向いた瞬間、岩陰から別の個体が組み付いて、身体の一部をもぎ取っていった。
いっ、あああーーー!
もぎ取られた部分と一緒に千切れてしまった僕の一部を回収して、慌てて飛び出した。身体の一部を失うことが、どんな感覚をもたらすか知ってしまった。いい経験だったと思うことにしよう。
その後も、個体から個体へ渡り歩き、色々な味を堪能していく。数をこなせば、おなかも満足させられた。
そうして入り込んだ何百体目かの個体の中で、間近に思考を感じた。ーーヤッバ、追手!そこにいるじゃん!3つも!
コミュニティのやつら、わざわざ追いかける専用の端末を作ったのかー。手間かけてるなあ。
あせるな、あせるな。
思考が昂ぶったら、居場所が特定される。
まずは落ち着いて。
どうする?いま飛び出したら間違いなく囲まれる。
個体を渡り歩いたせいで、この辺には僕の気配がいっぱいだ。何とか誤魔化せるかな?
おっ、3手に別れた。
おなかも満足してるし、今なら行けそう。
思い切って個体から飛び出した。
それ、逃げろーーー!




