表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された悪役令嬢ですが、仕事を奪った王宮が先に崩れました  作者: 水城ルナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/100

第98話 届く声

 「……もう、見上げるだけでは、足りない」


 その言葉が、胸の中で残っている。


---


 広場は、静かだった。


---


 昨日の怒号はない。


 争いもない。


---


 だが、


---


 何かが決まったあとの空気がある。


---


 アルノーは立っていた。


---


 人が動いている。


---


 外へ出る者。


 残る者。


---


 完全に分かれた。


---


 混ざらない。


---


 それだけで、


---


 秩序が生まれている。


---


「……続いてる」


---


 小さく呟く。


---


「ええ」


---


 リリアーナは答える。


---


「崩れていません」


---


 完全ではない。


---


 だが、


---


 壊れてもいない。


---


 その時、


---


 声が上がる。


---


「これ、他でもやってるらしいぞ」


---


 アルノーが振り向く。


---


 若い男が話している。


---


「リュミアでも」


---


「同じように分けてるって」


---


 ざわめき。


---


「本当か?」


---


「さっき来たやつが言ってた」


---


 少しずつ、


---


 広がっている。


---


 アルノーの胸が強く鳴る。


---


 言葉ではない。


---


 命令でもない。


---


 ただ、


---


 “形”が伝わっている。


---


 その時、


---


 別の声がする。


---


「確認した」


---


 レオンハルトだった。


---


「三つの都市で同様の分離が発生」


---


 短く言う。


---


「意図的ではない」


---


「自然発生だ」


---


 アルノーの息が止まる。


---


 自然。


---


 つまり、


---


 誰かが命じたわけではない。


---


 だが、


---


 同じ答えに辿り着いている。


---


 リリアーナが小さく言う。


---


「繋がっていますね」


---


 アルノーは頷く。


---


 確かに。


---


 それは、


---


 繋がりだ。


---


 その時、


---


 ルシアが言う。


---


「神託も変わります」


---


 全員が見る。


---


「この形を前提にします」


---


 短い言葉。


---


 だが、


---


 大きい。


---


 神託が、


---


 “後追い”する。


---


 人の選択に。


---


 アルノーは思わず笑う。


---


「逆ですね」


---


 ルシアもわずかに笑う。


---


「ええ」


---


「逆です」


---


 その瞬間、


---


 空気が少しだけ軽くなる。


---


 だが、


---


 長くは続かない。


---


 遠くから、


---


 また足音が響く。


---


 速い。


---


 焦っている。


---


「報告!」


---


 使者が駆け込んでくる。


---


「中央神殿が」


---


 息が荒い。


---


「正式に通達を出しました!」


---


 空気が一気に張り詰める。


---


「異端への対応を強化」


---


「各都市に監察官を派遣」


---


 アルノーの背筋が冷える。


---


 来る。


---


 直接。


---


 ここに。


---


「……時間がない」


---


 思わず漏れる。


---


 レオンハルトが言う。


---


「そうだな」


---


 短い同意。


---


「ここからは」


---


 一拍。


---


「隠れられない」


---


 その言葉は重かった。


---


 今までは、


---


 まだ“外側”にいた。


---


 だがこれからは、


---


 完全に中に入る。


---


 対立の中へ。


---


 その時、


---


 リリアーナが言う。


---


「それでも」


---


 静かな声。


---


「形は止まりません」


---


 全員が彼女を見る。


---


「なぜなら」


---


 一瞬だけ間を置く。


---


「もう」


---


 周囲を見る。


---


「誰かのものではないからです」


---


 アルノーの胸が強く打つ。


---


 そうだ。


---


 これは、


---


 自分たちのものだ。


---


 命令ではない。


---


 神託でもない。


---


 だから、


---


 止められない。


---


 その時、


---


 遠くで、


---


 別の鐘が鳴る。


---


 違う音。


---


 低く、


---


 重い。


---


 レオンハルトが顔を上げる。


---


「……来たか」


---


 アルノーが問う。


---


「何がです」


---


 レオンハルトは答える。


---


「監察官だ」


---


 短い言葉。


---


 だが、


---


 すべてを変える言葉。


---


 アルノーの心臓が跳ねる。


---


 ついに来る。


---


 中央が、


---


 直接。


---


 この場に。

ここでついに「直接対立」に入ります。


今までは構造や間接的な衝突でしたが、

次からは“人対人”の明確な衝突になります。


物語としてはここから一段ギアが上がるポイントです。


面白いと感じていただけたら、ブックマークや評価で応援いただけると嬉しいです。

次話もぜひお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ