↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SIREN-裏社会の警告者-  作者: ルゥナ
第三案件 薬に支配された町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/25

舐め腐った選択

 桂の言葉に、伊東の顔が真っ赤に染まる。だが、そんな伊東の様子すらも意に介していないのか、桂は首を傾げていた。


「そもそも、ヤクの流通許可を出したのは伊東さんですよね?合理的に流通させて売り捌くための手法をとっただけなのに、何でそんなに止めに来るんですか?マジで意味分かんないっス」


 桂は心底不思議そうにしている。どうやら本気で、何が問題なのかを分かっていないらしい。

 舐めた態度をとる桂に、伊東はキレた。


「確かに流通の許可は出した!だが、堅気の生活を露骨に侵せなどとは一言も言っておらんし、ましてや飲水として飲ませて依存させろなど…!!しかも、その行為を本部の許可なしにやったことも言語道断だ!!」


 ひとしきり叫ぶと、伊東は肩を上下させながら桂を見つめる。だが、桂はそんな伊東を見て、鼻で笑った。


「何怒ってんスか?その分の儲けは還元しているから、本部としてもウィンウィンでしょう?」

「ならばなぜ、本部への報告を改竄したのだ…!」

「いちいちうるさいんスよ、あんたら本部は」

「…何だと?」


 伊東が驚きで唖然としていると、桂は自身のこめかみを抑えた。まるで、伊東のせいで自分が困ってます、とでも言いたげだ。


 本来ならば、口を挟むところだ。だが、今このフェーズは、伊東が担当しているものだ。浅平は口を挟みたくなる気持ちをゆっくり抑え、穏やかな表情のままやり取りを見守っていた。


 すると、桂は大きくため息をついた。


「前々から言いたかったんスけど、そういう人に気を遣うだとか、堅気を巻き込まないだとか、今時そんな甘い運営でやっていけると思ってるんスか?」

「…何?」

「目を覚ましてください伊東さん。綺麗事ばっか言ってたら、裏組織の運営なんてできやしませんよ」

「…ッ!!この…ッ!!」


 その言葉に、伊東の顔が再び赤く染まった。


 なるほど。桂の言うことも一理ある。裏社会に長年い続けている浅平は、綺麗事で済まないような人間の末路や事件を、腐るほど見てきている。さらに、金がなくて腐っていく組織もごまんと見てきた。それゆえ、同意できる部分もわずかながらにある。


 ーーーだが。それが他者の「意志」を、「選択する自由」を奪っていい理由にはならない。例えそれが、法に守られない裏社会であったとしても、無関係だ。


「…直ちにあの町のライフラインから手を引け…!でなければ、私はお前を、組織から切り離す!!」

「なぁんで俺の言ってることが分かんないんスか伊東さん…。でも、好都合っス」

「何?」


 怒りを抑えながら、伊東は組織としての判断を突きつける。やはり、許容範囲を逸脱していたらしい。


 だが、桂は伊東から絶縁を突きつけられてるような状態だと言うのに、むしろ嬉しそうだ。一体、なぜなのか。


 伊東と浅平が困惑していると、終始ヘラヘラしていた桂から、急に笑みが消えた。


「…近いうちに、アンタ諸共殺すつもりでしたからね。ずーっと俺のやり方に口出しばっかしてきやがって、いい加減ウザったいと思ってたところだったんスよ…!!」


 そのひと言を言うと同時に、桂の背後から武装した組員達がゾロゾロと出てくる。


 ーーー野心家で、本部の立場すら狙っているという眉唾物の情報は、強ち間違いではなかったらしい。浅平は、その情報の提供主に、心の中で礼を言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。