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SIREN-裏社会の警告者-  作者: ルゥナ
第三案件 薬に支配された町

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20/25

ふざけた態度

 吹き飛ばされた扉が、音をたてて部屋の床を転がる。部屋の中を見ると、十数人の組員達が走り回っていたようだ。

 だが、扉を破壊された音で、一斉に停止し、こちらを見た。そして、少し遅れて状況を理解したようで、顔色が一気に変わった。


「うぇ!?い、伊東さん!?」

「な、何で本部の伊東さんがここに!?」


 組員達はどよめいている。抜き打ち検査ゆえ、この組織の首領にも事前に知らせていなかったので、当然のことであろう。


 伊東は動揺する組員達を特に気にすることなく、前に出る。


「…とある筋からタレコミがあった。貴様らの活動報告に関して、疑義がかかっておる。記録を確認させろ」

「え…!?」


 伊東は腹の底に響く声で、組員達を脅す。その様子を見て、浅平は安心したように微笑んだ。

 年老いてこそいるし、手紙では組員達を止めることができていない。だが、いざ対面させてみたら、きちんとした統治者である。


「…随分と、成長なされましたな。私の認識も、改めなければなりません」


 昔の認識のままだったのは、撤回しなければなるまい。浅平は伊東に聞こえぬよう、静かに呟いた。


「か、活動報告って…!」

「ヤクをばら撒いたことを問題視するつもりはない。しかし、依存のさせ方に問題がある。本部に出した活動報告の記録原本を見せろ」


 伊東が周りの組員を睨む。すでに還暦を越した伊東の圧に怯み、組員の一人がおずおずと、一台のパソコンを差し出してきた。


「こ、こここ、こちら、です…」

「ふむ」


 パソコンを受け取ると、伊東は慣れた手つきで操作していく。遠目には見えないし、覗く気もないが、様々な資料やデータが表示されているのは分かる。


 そして、それを見ていくにつれて、伊東の顔が目に見えて険しくなった。


「…ボスを呼べ」

「は?」

「桂を呼んでこいと言っている!!」

「は、はいぃぃっ!!」


 伊東は激昂した。その気迫に押され、周囲にいた組員達は脱兎のごとく、部屋を飛び出していった。


 桂。この二次団体のボスの名前だ。自分や月乃が調査した範囲では、かなりの野心家だと聞いている。噂程度の情報ではあったが、親組織の立場をも狙っている、というものすらあった。


 ーーーさて。鬼が出るか蛇が出るか。親組織の首領である伊東と、二次団体の首領である桂。

 二人の男が対峙する様子を想像し、浅平は静かに笑っていた。


 しばらく待っていると、部屋の方に複数の人の気配を感じる。振り向くと、そこには組員達十数人を率いる、気怠そうな様子の男がいた。


「何スか、伊東さん…。俺も忙しいんスけど」

「桂、貴様!!これはどういうことだ!!」

「はい?」


 伊東が憤慨しながら、パソコンの画面を桂に突きつける。普通ならば、親組織に知られてまずいことを知られてしまった、という状況であるため、桂が許しを乞う、という展開になるであろう。


 しかし、桂は面倒くさそうにため息を付いた。


「…儲かってるんですから、よくないっスか?こんなとこまでわざわざ来てまで止めに来るとか、ご苦労なこって…」


 そんなふざけたセリフを、あっけらかんと言い放ったのだった。

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