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SIREN-裏社会の警告者-  作者: ルゥナ
第二案件 人身売買組織

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重戦車による制圧

 敵がやってくる。

 化物がやってくる。

 災害がやってくる。


 今の組員達にとってはどれも、本当の表現だ。


 マシンガンすら難なく受け切った怪物。そんな相手に、どうやって戦えと言うのか。組員達は完全に、怯えてしまっていた。


「く、来るな!!来るなぁぁぁぁぁ!!」


 狂乱した組員が、手に持った拳銃の引き金を何回も引く。その度に、大口径の弾が発射された。


 だが、当たらない。いや、銃弾の軌道を見切り、最小限の動きで避けている。


「…軌道が丸見えだ。そんなんじゃあ、俺という大きな的にすら当てられねぇよ」


 そう言いながら、どんどん距離を詰めてくる。だが、それを止めることなど、もはや誰にもできなかった。


「…一つだけ聞かせろ。なぜテメェらは、表の人間を売り捌くような真似をした」


 組員達の目と鼻の先にまで接近した朴本は、サングラス越しに組員達を見下ろす。その目には、強い嫌悪が滲んでいた。


 だが、組員達は答えようとはしない。黙秘しようとしてるのか、はたまた恐怖で口が動かないのか。


 ーーー朴本にとって、どちらであってもどうでもよかった。朴本は近くにあった客用の椅子を、思い切り殴りつけた。

 プラスチックでできていたであろう頑丈な椅子が、まるでジェンガの如くガラガラという音を立てて崩れ去る。その光景を見て、組員達は益々青くなった。


「…人が質問をしているのが聞こえねぇのか。なぜ表の人間さらっての人身売買なんざやったのか、と聞いている」


 朴本が再度、苛つきを隠しきれない様子で問いかける。その様子に、ようやく組員の一人が口を開いた。


「へ、平和ボケした表の人間なら、誘拐もしやすいし、壊しやすい、からです…!!」


 ーーーその答えは、控えめに言っても反吐が出そうな、ふざけた答えだった。こみ上げる怒りを抑えるかのように、朴本は大きくため息をついた。


「…そうか。じゃあテメェらは、最初から本人の意志なんぞ見てねぇってことか」


 朴本の表情が、険しくなる。


 ーーーこのままでは、殺される。

 そう直感した組員達の恐怖は、頂点に達した。


 助かる道は、ただ一つ。ここでやられる前にやるしかない。組員達全員が、その思想に至ってしまった。


「こ、殺してやる…!!殺してやる!!」


 それまで怯えていた組員達が、再び武器を手に取り、朴本へと襲いかかる。だが、それはもはや敵意ではなく、恐怖で狂ったことによる凶行だった。


「…警鐘を無視すりゃあ、災害に巻き込まれる。再三の警告を無視すりゃ、ろくな目には遭わねぇ。その上での、『選択』だ。テメェらには、その末路まで含めて、受け取ってもらうぜ」


 朴本はそう言うと、一人の組員の受け止める。そして、その組員が何か言うより前に、その組員をまるでハンマー投げのごとく振り回し始めた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 その回転の勢いは、凄まじい。振り回しているだけで、巻き込まれた組員達が次々に、紙のように吹き飛ばされていく。


「ぶっ飛べ」


 朴本はそのまま、一人の組員を投げ飛ばす。ハンマー投げならば、かなりの飛距離が出たかもしれない。だが、今回は正面、組員達が屯している場所に向けてぶん投げたため、飛距離としては短い。


 しかし、その破壊力は異常だった。砲弾のごとく人間を群衆の中にぶち込んだため、恐ろしい衝撃が組員達を襲ったことだろう。


「…さて、まだかかってくる輩はいるか?」


 朴本は冷徹にそう言い放つ。だが、その質問に対する回答は、返ってこなかった。


 だが、周りを見てみると、死んでこそいないが、先程まで朴本に襲いかかろうとしていた組員達がズタボロになって倒れているのが見える。その中で立っている者は、一人もいなかった。


「チッ…つまらねぇな」


 ここからさらに暴れようかと思ったのに、若干の不完全燃焼感がある。だが、SIRENの目的は殺戮ではない。あくまでも、組織の動きを停止させ、被害者の自由意志を取り戻させること。それだけだ。


「…そういや、売り物にされてる連中がどこに囚われてるのか、聞くのを忘れてたな…」


 朴本は頭をポリポリと掻いた。激情に駆られてしまい、敵に聞くべきことを失念してしまっていた。


 ーーーまぁ最も、この施設の構造上、どこにいるかなどというのは、概ね見当はつく。朴本は面倒事が増えた、と言わんばかりにため息をつくと、会場の裏側に向けて歩き出した。

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