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Devil pluck the butterfly wings1

 街が静かなのは平和なのか、そうではないのか。

 考えれば考えるほど矛盾が生まれる。


 私と大佐がいなければ、この街はとっくに崩壊している。

 色んな奴に食い物にされて何にもなくなっちまったら、悪い奴らは去っていくだけだからな。

 でも、私達はこの街を住んでる連中のために守っているわけじゃない。


 単純で原始的なビジネスをしているだけだ。

 自分達が食うために勝手に動いている。

 この辺で何かあったら出向いて解決し、それなりの物を頂いて帰るわけだ。


 そんなことしてると、悪いことする奴らが私達の噂を聞いて寄りつかなくなる。

 結果として私と大佐のエゴにより街が平和になる。


 誰かに支配されることで街が平和になるが、誰かに脅えながら暮らす街にもなる。

 暴力に脅えながらも、暴力に支配されると平和がやってくるんだ。

 平和というのが何なのか、自由であるとは何なのか、私には言葉で説明できねえ。


 分かっているのはイライラする奴らは殺すに限るってことだけだ。


「大佐、平和だな。なんもねえよ」


 私と大佐は渋谷ベースを出て、のんびり2人でパトロールをしてるんだが本当に何もねえ。

 いつも通り私はジェットブースターを背負い、大佐はちゃらい服装でサブマシンガンを装備していた。

 温かくて気持ちいいし、このまま何もなく1日終わっちまいそうだ。


「ああ、そうだな」


 大佐はだるそうにそう返事した。


「おい大佐、さっき話しかけてきた売春婦にあんまつぎ込むよなよ。食うもんがなくなっちまうぜ」


 私がそう言うと、大佐は面倒そうな顔をした。


「ああ、分かったよ。付き合いだから仕方ねえだろ」

 

 まったく売春婦相手に付き合いも何もあるかよ。

 節約しねえとヤバいんじゃねえのか?


「おい、それより、さっきから気になってるんだけどよお。その腕につけてるのはなんだ?」


 大佐は私の右腕につけられている、チカちゃんからもらった花飾りを見ながらそう言った。


「ああ、これは私のフィアンセがプレゼントしてくれたんだ」

 

 私はふざけて花飾りを見せつけると大佐は笑い出した。


「ああ、そうか。フェザーもそういうことが気になる年齢だしな」


 大佐はからかうようにそう言うと、私は間髪いれず大佐の体を強く殴った。


 体だけは丈夫だからびくともしねえ。

 特に言うこともないから、そのまま私は何も言わず大佐から目線を外した。  

 大佐も分けわからねえこと言いやがって…


 たらたら歩いていると、チカちゃんが住んでるマンション付近にやってきた。

 一瞬、チカちゃんのことを思い出したが考えるのを止めた。


 何というか、住んでる空気が違うんだよな。

 チカちゃんが春めいた野原に住んでるとしたら、私は焼けつくような砂漠にいる。

 私は高く飛べるが、こっちに来たらチカちゃんの力じゃ燃え尽きて死んでしまう。


 お互いに近寄ってはいけないし、私はその楽しそうな世界を眺めてるだけさ。


「おい、フェザー、血の匂いがするぞ…」


 大佐が私の体をサブマシンガンの銃口で軽く叩くと、体を低くして身構えた。

 ちょっと油断していた私も、そう言われて周りの気配を探った。


 あ…本当だ…血だ…  


 私の中で直感が走る。

 嫌な予感がするぜ…

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