Butterfly love birds1
ヤバいものは降ってるだろうけど、今日も絶好の青空。
大佐は1人でどこかに出かけて行った。
まあ、一応私も女だ。
私に言いにくい用事もあるだろうしな。
そんなわけでジェットブースターのソーラーパネルに光を当てながら、私は暇を潰していた。
やることもねえし、だらだらと大佐のソファーに寝転んでいる。
この間の戦闘で、大佐と私の悪名がさらに広まったらしい。
全く悪い奴らがこの辺に現れねえ。
なんだけど、あちこちから仕事の依頼も増えたんで、食うに困ることはない感じだな。
そんなぼんやりとした時間が過ぎていく中、渋谷ベースの入り口扉がそっと開いた。
いけねえ、全く気配を感じなかった。
私はコンバットナイフを手に取りながら立ち上がったが、そこには小さな人影があるだけだった。
「フェザー、これあげる」
その小さな人影は私の所にかけ寄ってきて、花飾りを差し出してきた。
そこらに生えてる雑草みたいな花を、チマチマと丸く繋げたものだ。
なんだ、チカちゃんか。
この辺に住んでる子供だ。
幾つなんだろうな。
学校があれば小学校に入ったばかりか?
世の中、完全に崩壊したっていっても、来て良い場所と近づいたらいけない場所があるんだぜ…
「おい、チカちゃん。こんな所に来たら駄目だって言ってるだろ?お母さんにまた怒られるぞ」
私はチカちゃんに見つからないようにコンバットナイフを隠すと、チカちゃんの頭をなで花飾りを受け取った。
「だって、フェザーにあげようと思って作ったからすぐに来たの」
チカちゃんはそう言うと私をじっと見上げた。
そうだな、子供は悪くない。
何の見返りもないのに、親切で来てくれたんだしな。
こういう素直な子供にこそ、新しい東京を作って欲しい。
「そうか、ありがとうな。でも、私に花は似合わねえ。次はもっと女の子らしい人にあげな」
私がそう言うとチカちゃんは嬉しそうに笑った。
「えー、そんなんことないよ。フェザーはキレイだし優しいよ」
私のことを子供なりに気づかっているのか、チカちゃんはそう言った。
「そうかい。じゃあ、将来チカちゃんと結婚してもらおうかな」
なかなか嬉しい話じゃない。
滅多にないアプローチだ。
ありがたく受け取ろう。
「うん!私、フェザーのお嫁さんになる!」
チカちゃんは元気にそう言うと私の体に飛びついて来た。