Feather kill and fly high3
10分も経たないうちに戦いは収束した。
私達は無傷で奴らを皆殺しにした。
大佐の作戦は簡単なものだった。
でも、簡単で効果的な作戦の方が役に立ったりするんだよな。
昨日から渋谷ベースは私達が逃げ出さないように、奴らに見張られていたのは間違いないだろう。
作戦は私と大佐が外から見える位置で見張りをする所から始まっていた。
私達が中にいることを意識的に奴らに見せて油断させたってわけだ。
そして、朝になった時に私は見張りを大佐に代わり、私が奥に引っ込んだように見せかけた。
大佐と交代した私は、そのまま渋谷ベースの地下にある大佐が作った地下通路を使って外に出た。
朝の方があいつらも準備ってものがあるだろうし、見張りも疲れてくる頃だしな。
私は高いビルの上から奴らがどこに何人配置されるのかこっそり見ていた。
特にスナイパーの動きには注意した。
ジェットブースターの天敵はスナイパーだ。
他の奴らは私を撃ち落とすことは難しいが、スナイパーならばそれは別だ。
それに遠くから狙われたら、さすがの大佐も頭が吹っ飛ぶ。
だから、まずスナイパーを全員殺した。
あいつらはかなり油断していた。
そして接近戦に弱い。
まさか私が来るなんて全く考えてなかったんだろうな。
圧倒的に有利だと勘違いしているからこうなる。
その後、大佐の作戦通りジェットブースターと手榴弾を使った空爆の始まりだ。
最初これを聞いた時、「大佐は人を殺す天才だな」と思った。
戦いが終わり私と大佐が周囲にまだ奴らがいないかどうかチェックしたあと、地下通路に隠しておいたインテリを出してやった。
多分、ここ数日で今まで見たこともないことがたくさんあったんだろうな。
怯えきって「助けてくれ、助けてくれ」と何度も繰り返していた。
「おい、インテリ。お前を買い取ってくれる奴らが全員死んじまった。好きなところに行きな。何かあっても大佐とフェザーの所から来たって言えば、だいたい奴が見逃してくれるぜ」
私はインテリの背中をポンと押すと、インテリがよろけたがその場に立ち止まった。
「お…おい、どっちに行けばいいんだ?」
インテリがうろたえたように私達に訴えてきた。
「好きな所にいけばいいんだよ。好きなところで医者でも何でもやればいい。生きたいように生きろ。さっさと行け。殺されたくないだろう?」
私がナイフを突きつけると、インテリは何か叫びながら自由な世界へ飛び出していった。
なんだか、派手に暴れてすっきりしたけど、何の得にもならなかったな。
渋谷ベースはいつも通りに戻っていった。
「大佐、聞きたいことがあんだけど?」
私はずっと考えていたことを大佐に聞いてみようと思った。
「何だ、フェザー?」
大佐はいつものソファーに座って銃の手入れをしながらそう返事をした。
「あいつらが最初来た時に戦っていたら、私達は殺されていたと思うか?」
私はカウンターで薬を炙りながらそう聞いた。
「ああ、多分な。フェザー覚えておけ。変に長生きしようとすると死んじまうんだ。いつ死んでも構わねえと考えてる方が生き残るんだ。神様っていうのはいつも欲しいものと逆なものをくれるんだよな」
大佐は銃をいじくりながらそう言った。
まだ、陽は高い。ジェットブースターの充電をしとかないとな。
全く体調は悪いが、なかなか死ねないもんだぜ。