第65話 選抜組の出発
選抜は教官たちに一任された。
ただ、基準は教官の好みではない。
あくまでも成績を基準にし、本人の性格なども考慮された。
戦争が始まってから一年。
セトたちは最終学年の第四学生に進級していた。
今回はその第四学生から選ぶことになる。
座学のみ優秀でもダメ。
実技のみでもダメ。
そして何よりビビリではダメ。
ビビリはある意味必要ではあるが、過ぎれば足手まといになる。
そして問題児の扱いにも困っていた。
「セト・ウォルカは加えるべきではないだろう」
「しかし、成績というなら加えるべきだ」
「二十七名という人数から察するにスリーマンセルを組むのだろうが……」
「誰と組ませてもどうにもならんぞ」
「訓練生のみで組ませるとは思えん。スリーマンセルに一人ずつ組み込むのでは?」
「それにしても、ウォルカの場合はどこに入れても馴染むとは思えん」
セトの成績は悪くはない。
講義中の態度は問題だが、成績そのものは上位だ。
しかし、実技には問題もある。
「カリム、制御はどうなってる?」
選考の座長としてガリオンが専属教官のカリムに水を向ける。
「ある程度は、としかお答え致しかねます。戦場に出すべきか悩ましいです」
「どういう意味だ?」
「実地試験………という考え方もできますが、それを命を失う可能性がある本物の戦場でやるべきではないかと」
「それは全員に当てはまることだ」
その会話に別の教官も口を挟む。
「すみません。貴族についてはいかがしましょう?」
貴族の子弟も訓練生にはいる。
「関係ないな。たとえ貴族であっても王命が下れば避けられない」
「しかし、軍務閥以外にも外務閥や領地貴族など、そのバランスによってはこちらの立場にも……」
「だからといって選考基準を曲げては示しがつかん」
結局、貴族も含めて成績の良い者のうち、二十七名が選抜された。
さらに従者として従う者が八名。
合計三十五名が戦地へと向かうことが決定した。
そこには、セトとハーレイも含まれていた。
セトは出陣の命令が下ったとき、アメリアに対して手紙を書いた。
戦地へ向かう──
それだけの短い言葉。
そしてその手紙の返事が届く前に、訓練生たちが出陣する日が訪れた。
「同期ってこんなにいたんだ」
出発前、養成院のホールに集められた訓練生たち。
そこに混ざって立つセトの感想はそれだった。
そこには第四学生のみが集められたが、セトの知らない顔ばかり。
これまでカリムによる専属教育により、セトは同期と同じ部屋に入ったのは数度しかない。
同期の数は総勢256名。
さらに同期は成績なども考慮して、数クラスに分けられていたことも知らない。
「諸君、未だ訓練生の身分で有りながら、戦場へ送り出すことになった。本当に申し訳ない」
総長のガリオンが登壇して話し始める。
それを真剣な表情で訓練生は見ている。
「後方支援という内容で聞いている。しかし何があるかわからない。よって、我らから一つ諸君に命令を下す」
ガリオンは一拍置く。
これから話す内容は、戦場に向かう者へ上官として言うべき内容か判断できなかった。
「生き残れ。危険と思えば逃げろ。とにかく生きて帰って来い。以上だ」
この訓示をもって三十五名は戦地に向かった。




