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生贄の英雄 セト・ウォルカの物語  作者: 下山四郎
Disc01:幼少期─王立魔法士官養成院─
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第48話 推定有罪



ガシャンッ!


カジノの奥。

薄暗い廊下の先の重い扉が開かれ、そこにセトたち三人は放り込まれた。

石造りの壁は冷たく、窓もない。

真っ暗だが、火を出すにもどれだけの密閉空間か不明だ。

不用意に火は使えない。


「ハーレイ、下手過ぎ」


セトはハーレイを責めた。


「坊っちゃんがあからさまにやり過ぎたんじゃないですかね」


ハーレイはセトのせいにする。


サファンはなにも言わずにじっとしていた。


しばらくして再び扉が開いた。

そこには三人の警備員のような男たちがいた。


「一人ずつ話を聞く」


三人はそれぞれ取り調べを受けた。

羽虫の飛ぶ、暗いジメジメとした部屋の中で、取り調べは一対一で進んだ。


「魔法じゃない」

「でも勝ちすぎている」

「明らかに何かやっている」

「説明を求めても、子どもが何か指示している」

「どう考えても不正以外にあり得ない」


それが取り調べの結果わかったことだった。


特にセトの取り調べは難航した。


「何をした?」

「数えました」

「何を?」

「カードを」

「それで勝てるのか?」

「勝てる可能性が上がります」

「だから何をしたんだと聞いている!」

「カードの枚数を数えていたんです」

「ここは王族の直轄だ!わかっているのか!?」

「はい」

「王家の利益を損なう目的で、意図的に勝率を上げたんだろう。それを不正と言わず何と言う?」

「不正なんですか?」


セトは不正をしたとは思っていない。

実際、現代社会では不正ではないが、店側に嫌われる行為だ。


「最初は負けていたんだろう?」

「はい」

「それが突然、大金を取り戻した」

「はい」

「つまり、途中から不正を始めたということだ」

「そうなんですか?」

「目的がどうであれ、結果だけ見れば不正だろう?」

「不正なんですか?」

「当たり前だ!」

「でも、カードを数えることは禁止されていませんでした」

「……」

「禁止されていないなら、何が問題なんですか?」

「勝つために細工をしたんだろう!」

「細工はしてません。見て、数えただけです」

「だから、それが不正なんだ!」


何を聞いても、はぐらかされているように警備員たちは思った。


「怪しいが、証拠は?」

「証拠などいるか?」

「いるだろう」

「だが、ここは王族直轄だぞ?不正をすればそれは王族の金に手を付けたことになる」

「そうだな。証拠より、その事実だけでいい」

「奴らを裁判にかける。それでわかる」

「確かにそうだ。王家の財産を不正に操作しようとした罪だ」


これがカジノ側の出した結論だった。


「しかし、この場合は……」

「そうだな。国王裁判だ」

「間違いない。王族の敷地内の事件だ」

「それであれば、もっと厳しくするべきではないか?」


国王裁判。

それは王宮で国王の目の前で行われる裁判。

裁判官もいるが、国王がそこに意見することもある。


「少なくとも、三人は共謀関係だ」

「三人で最初から計画していた可能性もある」

「子どもが指示を出していた。つまり、この子が主犯かもしれんな」

「護衛役の二人は共犯だ」

「教会から発行された身分証は?」

「どうせ偽造だ」

「王家の施設で偽造した身分証を使い、共謀して不正を働いた」

「王家の財産を狙った計画的犯行だ」

「ここは王家のお膝元だ。王家の威信に傷をつけた。これも罪だ」

「ああ。間違いない」

「負けを取り返すためとも言っていたぞ」

「やはり王家の金に手を出す目的だったのだな」


こうして罪状はどんどん膨れ上がる。


警備員たちの腕には、あのトライバル風の刺青が入っていた。 

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