第33話 魔法適性
戦場模型の試験を終え、また別室に通される。
そこは白い部屋。
天窓から採光があるが、壁に窓はなく、ただ白塗りの壁に囲まれた広い部屋だった。
「ここでは魔法適性を確認します」
男はセトに基本となる火、水、風、土、雷の魔法を使うように言う。
火は火柱を作り出した。
水は噴水のように噴き上がった。
風は壁を抉り取り、土でその壁を埋めた。
雷は稲光を落とした。
(だいたい一つしかまともに使えないはずなんだが………)
男はセトの魔法を見て頭を掻いた。
「よろしい。それでは、こちらから課題を出します。その通りに魔法を使って下さい」
火を小さく、一定の温度に保ちつつ、5分間保持。
「燃焼……酸素の量……可燃物の状態」
保持するのに、可燃物の安定性が確保できない。
(火の規模が小さい。可燃物を保持できない……燃えるものが、なくなる)
「…………」
「どうしました?」
「燃え続けるものがない」
「火は魔法で出せるでしょう」
「出せます。でも、燃焼を維持するなら、酸素と燃えるものが必要です」
「……?」
セトは火を見ながら考える。
(小さな火ほど、熱が逃げる。燃料も少ない。空気を送り続ければ……)
セトは風をほんの少しだけ操った。
火が安定する。
「…………」
試験官が目を細める。
「今、風魔法を使いましたか?」
「はい」
「火の試験ですよ?」
「火だけじゃ、安定しないので」
男は黙った。
その後もセトは苦戦した。
水球を作り出す試験。
水の形状は安定せず、浮かしておくことができなかった。
風を二方向に流し、安定させる試験。
ぶつかった風は制御を外れ、乱気流のようにうねった。
土を決められた形にとどめる試験。
土の形状は安定せず、ボロボロと崩れた。
雷を指定の方向に落とす試験。
電位差を利用して落とそうとしたが、的から外れて雷は落ちた。
「……なるほど。一通り使える。しかし制御が問題ですね」
「はい」
「なぜそんなに平然としているんです?」
「失敗しただけなので」
「失敗しただけ?」
「どうすればできるかは分かりました。できなかったのは、僕の魔法の問題です」
男は黙った。
(魔法を組み合わせて安定させているのか?そんな魔法は聞いたことがない)
魔法とは、火なら火、風なら風、単一の魔法系統がある。
現象を目の前に作り出すのが魔法だ。
(現象を……再現している?組み合わせて?)
理解が追いつかない。
物理学は存在する。
しかし、それと魔法は別の学問だった。
(物理法則を応用しているのか?現象を物理法則で再現する魔法?)
「合格……ですか?」
「ん?ああ………いや、合格かどうかはここでは判断しない」
「そうなんですね」
「では、次です。身体強化を使ってください」
(いずれにしても、これでわかる)
セトが身体強化の魔法を使うと、筋肉は隆起した。
(……悪くない。しかし、特別というわけでもないな。やはり、物理法則の可能性が高いか……)
「では、次の試験に移ります」
そう言って次の扉が開かれた。




