第104話 期限ギリギリの帰国
ストラス山に戻って一週間。
期限まであと21日。
「そろそろ戻ろうかと思う」
セトはアメリアに切り出した。
「そうね。どうせアンタのことだから、新しい面倒事背負い込んだんでしょ?」
「うん。結構面倒なやつだと思う」
「帰ってこれるの?」
「まぁ、うん。帰っては来るけど、どれくらいかかるかはわからない」
「そっか」
アメリアはまた一人での生活になる。
ここは聖域の扱いになる。
ウォルカ村が壊滅して以降、麓に人は住んでいない。
陸の孤島と同じようなものだ。
「絶対帰って来なさいよ」
「わかってるよ」
少し寂しそうにアメリアはセトの頭を撫でた。
その二人の背丈は、いつの間にか同じくらいになっていた。
「姉さんさ、あの祭壇って観測とかもできるよね?」
「たぶんね」
「ちょっといじったら多分俺のこととか探せるんじゃない?」
「いじるってアンタ!そんなんして教会に何か言われたらどうすんのよ!」
「そんなん言われても知らないけどさ──」
「アンタが言い出したんでしょ!」
「だってほら、ハーレイの様子も見れたらさ──」
「余計なお世話!!」
飛んできたアメリアの拳をセトは避ける。
姉弟のじゃれ合いだ。
身体強化などはしていない。
「まぁ、気が向いたらやってみたら?」
「バカか!」
セトは岩窟院の入り口に立つ。
「じゃ、行ってきます」
「はいはい。いってらっしゃい」
セトとソルダは先にエスカレーターで降りた。
ハーレイは何やらアメリアと話をしている。
「置いていくんですか?」
「勝手に降りてくるだろ」
セトたちはニヤニヤしながら、馬車に向かった。
その後、ハーレイの到着を待って馬車は出発した。
馬車の中でもハーレイは揶揄われ続けた。
「もういい!寝る!」
拗ねたハーレイは御者の交代を守らず、ソルダに押し付けていた。
「子どもか!お前は!」
七日後、喧嘩をしながら賑やかに進んだ一行は、オルパドについた。
「馬車の揺れはいいのに、なんで船はダメなんだ……」
オルパドで一泊して船に乗り、へネス教国の聖都エスクアを目指す。
段々と遠ざかる陸地を名残惜しそうに眺めるセトは、既に気分悪そうに呟いた。
「天罰だ!天罰だ!」
そんなセトを指さしてハーレイが揶揄う。
「お前、いい年してよくそれだけ騒げるな」
ソルダはハーレイを見て呆れている。
「人のこと揶揄うからそうなるんだ!」
「お前もしてるだろう」
「俺はいいの!」
徐々に喋れなくなるセトは、ソルダに連れられて船室で横になる。
これから八日間の船旅の予定だ。
先は長い。
だが、悪天候もあって予定は延びた。
船は十日後にエスクアに到着する。
「ダメだ……もう一日休憩したい」
早めに戻ってきたのが功を奏した。
セトは一日余分に休憩し、削りに削られた体力を回復させる。
結局セトは休憩に三日を費やした。
「45日で戻ってこいって言われてたけど、一日早かったらいいよね?」
セトはもう一日ゆっくりしたかった。
「さぁ?船まで貸すくらいだから、もっと早いのを望んでるのでは?」
だが、それをソルダが打ち砕く。
「仕方ない………じゃ、明日行くか」
渋々、翌日には教会に向かうことを決意した。




