↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生贄の英雄 セト・ウォルカの物語  作者: 下山四郎
Disc02:少年期─魔族領─
104/140

第104話 期限ギリギリの帰国



ストラス山に戻って一週間。

期限まであと21日。


「そろそろ戻ろうかと思う」


セトはアメリアに切り出した。


「そうね。どうせアンタのことだから、新しい面倒事背負い込んだんでしょ?」

「うん。結構面倒なやつだと思う」

「帰ってこれるの?」

「まぁ、うん。帰っては来るけど、どれくらいかかるかはわからない」

「そっか」


アメリアはまた一人での生活になる。

ここは聖域の扱いになる。

ウォルカ村が壊滅して以降、麓に人は住んでいない。

陸の孤島と同じようなものだ。


「絶対帰って来なさいよ」

「わかってるよ」


少し寂しそうにアメリアはセトの頭を撫でた。

その二人の背丈は、いつの間にか同じくらいになっていた。


「姉さんさ、あの祭壇って観測とかもできるよね?」

「たぶんね」

「ちょっといじったら多分俺のこととか探せるんじゃない?」

「いじるってアンタ!そんなんして教会に何か言われたらどうすんのよ!」

「そんなん言われても知らないけどさ──」

「アンタが言い出したんでしょ!」

「だってほら、ハーレイの様子も見れたらさ──」

「余計なお世話!!」


飛んできたアメリアの拳をセトは避ける。

姉弟のじゃれ合いだ。

身体強化などはしていない。


「まぁ、気が向いたらやってみたら?」

「バカか!」


セトは岩窟院の入り口に立つ。


「じゃ、行ってきます」

「はいはい。いってらっしゃい」


セトとソルダは先にエスカレーターで降りた。

ハーレイは何やらアメリアと話をしている。


「置いていくんですか?」

「勝手に降りてくるだろ」


セトたちはニヤニヤしながら、馬車に向かった。


その後、ハーレイの到着を待って馬車は出発した。

馬車の中でもハーレイは揶揄われ続けた。


「もういい!寝る!」


拗ねたハーレイは御者の交代を守らず、ソルダに押し付けていた。


「子どもか!お前は!」


七日後、喧嘩をしながら賑やかに進んだ一行は、オルパドについた。


「馬車の揺れはいいのに、なんで船はダメなんだ……」


オルパドで一泊して船に乗り、へネス教国の聖都エスクアを目指す。

段々と遠ざかる陸地を名残惜しそうに眺めるセトは、既に気分悪そうに呟いた。


「天罰だ!天罰だ!」


そんなセトを指さしてハーレイが揶揄う。


「お前、いい年してよくそれだけ騒げるな」


ソルダはハーレイを見て呆れている。


「人のこと揶揄うからそうなるんだ!」

「お前もしてるだろう」

「俺はいいの!」


徐々に喋れなくなるセトは、ソルダに連れられて船室で横になる。

これから八日間の船旅の予定だ。

先は長い。


だが、悪天候もあって予定は延びた。

船は十日後にエスクアに到着する。


「ダメだ……もう一日休憩したい」


早めに戻ってきたのが功を奏した。

セトは一日余分に休憩し、削りに削られた体力を回復させる。


結局セトは休憩に三日を費やした。


「45日で戻ってこいって言われてたけど、一日早かったらいいよね?」


セトはもう一日ゆっくりしたかった。


「さぁ?船まで貸すくらいだから、もっと早いのを望んでるのでは?」


だが、それをソルダが打ち砕く。


「仕方ない………じゃ、明日行くか」


渋々、翌日には教会に向かうことを決意した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。