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始まりの魔術

「おい、あったぞ!あそこだ!」


「ああ…コボルトの群れだな」


あれがコボルト…魔物を見るのは初めてだ。


魔物は、生き物に見えて本当は生き物じゃないらしい。


詳しくはわからないけど…魔力でできた生き物に似た何か…といってもよくわからないが。


それでもとにかく生き物のように生きようとする。


攻撃したら逃げるなり反撃するなりするし、腹が空いたら食う。


そして何よりたちが悪いのが…魔物は食料にできないということだ。


魔物は肉でできてない。


ただの魔力の塊だから食べようとしてもしょうがないし、死んだら…いや、そもそも生き物じゃないんだから死ぬって言ったらおかしいかも知れないが…その場で散って消えるとか。


食物連鎖に入っていないのに生態系を荒らす。


それに町を襲うことだってある。


だから俺たち冒険者が討伐しないといけないんだ。


「いいか?坊主。魔物討伐ってなあこうやるんだ。まあ、見てな」


「…はい!」


「ハーリー、頼んだ!」


「任せてくだせぇ!」


ハーリーさんは、一番近いコボルト一体にクロスボウを放ってはすぐにしげみに身を隠した。


クロスボウは一瞬にしてコボルトの腕に飛んで刺さった。


クロスボウって思ったより速いんだ…!


「流石にこれだけじゃ倒せねぇが…奴らは鹿と違って攻撃の元に向かってくる」


「やるぞ!」


「「おう!」」


「こっちだ!犬頭野郎!」


ヘイデンさんがコボルトの注意を寄せ、盾で攻撃を受ける。


その間に他の皆でコボルトに総攻撃を仕掛け、あっという間に倒してしまった。


「これが俺たちのやり方だ」


「…なるほど!」


「これなら矢も回収しやすいしね~」


「魔物の消えたあとに残るこの『魔石』が、討伐の証明になるからちゃんと持ってな、坊主」


「はい!」


ガルドさんたちは、着々とコボルトを討伐していった。


「まあ、このやり方でも回数を重ねれば流石に魔者共も異常さに気がつくがな…」


「「グルルル…」」


集まっていたコボルトの群れが俺たちの方に群がってきた。


コボルトたちはたまたま近くで発生しただけで、魔物には仲間とか集団行動の概念はないが…異常を察知すると自主的に判断して動くのか…!


「小さな群れならさっきのやり方でも終わるんだが…こうなると乱戦になる。坊主、ちゃんと隠れてな」


「はい!」


俺は、しげみに隠れてガルドさんたちの戦いを観察した。


流れるような連携…流石ベテランだ。


俺は特に、ガルドさんの動きに集中した。


これからも鈍器を使っていくことになるかもしれないし、参考にできると思ったからだ。


足の踏み方、腕の振り方…効果的な力の与え方を学んでいく。


…あれは!


「喰らえっ!!」


ガルドさんは、突然物凄い勢いで鈍器を振り、コボルトの頭を地面に打ち付けて倒してしまった。


「ひゅ~これで一件落着か」


「あの…ガルドさんは!」


「さっきの一撃…あれはまさか…!」


「…ああ、身体強化魔法だ」


「やっぱり…!」


「まあ…長年魔物狩ってると感で覚えるってもんよ!ハハハ!」


そうか…でも魔法適正が全部ゼロの俺には…


「り、リーダー!!」


「…!あれは…!」


そこには、明らかに大きさが違うコボルトが俺たちに向かって走ってきていた。


「兵長だ…!」


聞いたことがある…ハイコボルト…別名コボルト兵長(サージェント)だ…!


「おい、ガルド、どうする?!」


「想定外だが…逃げても追い付かれるだろう。やるしかねぇ…!」


「ああ…そうだな…!」


「坊主!視線を引くかも知れないから隠れて動くな!!」


「は、はい!!」


「か、かかってこい!!」


「カラララララ」


「くうっ…なんて力だ…!盾が持たねえ…!早く頼む!!」


「おう!!喰らえっ!!」


ガルドさんは、再び身体強化魔法を使ってサージェントに殴り掛かった。


「キエエエエエッ」


「よし…効いてるぞ…!」


「カアアアアアッ」


サージェントは勢いを増して暴れ出しては、ヘイデンさんを倒した。


「うああっ」


「ヘイデン!!」


「く、来るな!」


「後衛が危ない…!くそっ、おい、化け物!!こっちだ!!」


「キイ…」


「ガルド…!一人じゃ無理だ!」


そのとき、俺とサージェントの目が合った。


えっ?


なんで?


サージェントはすぐに俺の方に走ってきた。


「ハインくんを?!くそっ、なんでだ!!」


「クラララララ」


「くっ…!」


サージェントは、俺を押し倒して食いちぎる勢いで俺を押さえつけた。


…ここで死ぬのか?


まだ何もできてないのに…


ベックは…


そう、そういえば…ベックが手紙で教えてくれたな。魔法の使い方…


魔力を…体内の通路を通して身体の外に出す。


さっき見たガルドさんの身体強化…あれを真似できれば…!


「ああああああっ!」


俺は、サージェントを振り払って一発パンチをかました。


「ケエエエエエエ」


これは…魔法…?


そのとき、後ろから駆けつけたガルドさんがサージェントの後頭部に思いっきり鈍器を振った。


「はああああっ!!」


サージェントは頭と首がずれ、すぐに散っていった。


「はあ…はあ…坊主!!大丈夫か?!」


「俺にも使えたじゃねぇか…魔法…」


「坊主!!しっかりしろ!ハイン!!」


「…なんだったんだ、あの馬鹿力…」


「魔法…?いや、ハインくんは魔法が使えないはず…」


「お前…何者だ…?」

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