↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】異世界転生うさぎ  作者: Usabean
第九章(最終章) 終わらない約束
PR
38/42

<終わらない未来>

それからも、めまぐるしい日々が続いていた。


教授の研究室をたびたび訪れ、この月世界のうさぎたちの医療について語り合う。


記者としての仕事では、自分なりの視点を大切にしながら取材に飛び回り、以前よりも編集部へ足を運ぶ機会も増えた。


ミアとは、友達以上、恋人未満。

そんな少しもどかしい距離感のまま、休日はほとんど一緒に過ごしている。


そして、心配をかけた「母さん」とも話をした。

この世界でぼくを受け入れ、支えてくれたことへの感謝は、これから少しずつ返していけばいい。


ようやく、ここが自分の居場所なのだと思えるようになっていた。




数日後。


ぼくは自分のワンルームにいた。

窓の外には、いつもの月世界が広がっている。


ドーム都市。

モノレール。

遠くを横切る小型飛行艇。


そして、黒い宇宙の中に浮かぶ地球。


サイドテーブルには、黒いポケベルが置かれている。

もう鳴ることはない。

役目を終えたのだ。


けれど、捨てる気にはなれなかった。


これは、過去のぼくから、今のぼくへ渡された手紙なのだから。


ぼくはタブレットを起動した。


新しい記事を書く。

画面は真っ白だった。


少し考えてから、キーボードに指を置く。


そして、一文字ずつ打ち込んでいく。


『――青き星の記憶と、月で交わした小指の誓いについて』


そこで、手を止めた。


窓を見る。

青い地球。

遠い星。


けれど。

今は、もう遠いとは感じなかった。


ぼくは小さく笑った。


「…さて」


椅子の背もたれに身体を預ける。


「次は、何を書こうかな」


そのとき。

端末に、新しい通知が届いた。


『ミア:今日、仕事が終わったらカフェに来る?』


思わず笑ってしまう。

ぼくは返信を打った。


『行くよ。待ってて』


送信。


窓の外を見る。

月の街は、今日も輝いている。


ここには、まだ知らないことがたくさんある。


不思議な植物。

謎に満ちた月面の塔。

古代から続く女神の伝承。


そして、まだ誰も知らない、この世界の物語。


記者として。

そして、この世界を生きる一羽のうさぎとして。


ぼくは、それらを追いかけていく。


今度は、一人じゃない。

隣には、ずっと待っていてくれた彼女がいる。


そして、この月世界で出会った、大切な仲間たちがいる。


ぼくはキーボードに指を置いた。


新しい記事の続きを書き始める。

軽快な電子音が、静かな部屋に響いていく。


過去は、もう失われたものではない。

未来へ進むための、大切な一部だ。


地球から月へ。

人間からうさぎへ。

そして、一度途切れたはずの命から、もう一度始まった人生へ。


すべては、一本の見えない糸で繋がっていた。

ぼくは最後に、窓の向こうの青い星へ向かって、小さく呟いた。


「…約束、守れたな」


すると。

端末に、短いメッセージが届いた。


そして画面には、短いメッセージ。


『うん。これからも、ずっと』


ぼくは笑った。

今度こそ。

この約束に終わりはない。


月の空に浮かぶ青い星を見つめながら、ぼくは新しい記事を書き続けた。

これは、終わりではない。


新しい人生の始まりだ。


そして――。

ぼくたちの物語は、これからも続いていく。

このストーリーのショート動画も作成しています。

https://youtube.com/shorts/kRZB49PqqaI?feature=share


これにて、本編は完結です。よかったら、リアクションを残していっていただけると幸いです。


なお、次回は、ミア側のスピンオフです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。