88状況整理までおまかせを
しばしの休息。それは敵陣が引いたこの動力制御室で行われていた。レタとツヅミは椅子に腰をかけ、それぞれ思い思いにリラックスしていた。彼女は片足を組みながら腕を組み、良好となったインカムに耳を傾けている。一方のツヅミは本来の座り方とは逆向きに椅子へ座り、背もたれを抱き抱えるようにだらんと腰掛けていた。レタはここまでの経緯をテンジョウたちへ簡潔に説明していた。映画館の地下に広がる巨大な研究施設の存在。だがそこに居たのは人間である事。そして、人間は対“ギフト”用としてマナ圧縮装置を備えている事。あとは、彼女とツヅミがどのように合流したかまでを話した。言うまでもないが、彼女が縛り付けられていた件に関しては固く口止めされていたので、ツヅミはずっと口を閉じていた。一頻りの情報共有を得たテンジョウは、一拍の溜め息を吐いた。その受け答えから、鼻先に指を当てながら考え込む様が目に浮かんでいた。
〈成程・・・、まさか地下がそのような構造になっているとは・・・。正直、予想外ではありましたね。〉
〈あぁ、そのようだね社長さん。相手は悪魔だけに限らず、人間が相手とはね。それも妖怪や悪魔と合体させたキメラとは。〉
「加えて、さっきまでの通信障害という用意周到さよね。」
そう、今回の相手はあまりに異質だった。大抵は単体で起こる事件か組織的なものが働いたものかのいずれか。だがいずれも人間・悪魔・妖怪という間柄が混ざり合って動くというのは、そう多くはない。実際、そういった勢力は気薄である。例を挙げるなら、コマチ率いる便箋小町やレタが束ねる“ヤドリ”などがそうだ。ましてや、悪魔と人間が手を組んだだけではなく、“キメラ”と呼ばれる混ざり合った存在がここにはある。それがあまりに異質だった。最大の謎は、この施設の目的である。
〈しかし、改めて思いますと彼らの目的は何なのでしょうね。〉
「奴ら、やたらとサンプルを集めたがってた感じはあったわね。」
レタは頭の片隅に置いてあったものを思い出したかのように、そう告げた。
〈サンプル?〉
ジェニーは、その言葉に反応する。
「多分、あたしたちの事よ。ツヅミくんの時もそうだったらしいけど、捕らえてマナとかを欲しがってたみたい。」
〈マナ集め・・・ですか。この施設で良からぬ事をしようとしているのは、目に浮かびますが・・・。マナを集めて、一体何を・・・。〉
〈はは、まるで邪神でも復活させようとしてるカルト集団みたいだね。〉
〈ただの宗教団体なら、まだ可愛いもんですよ。“キメラ”なるものが現れた以上、軽視は出来ません。〉
「そうね。当然っちゃ当然だけど、敵城に侵入したのはあたしたちだから、好意ある歓迎もおもてなしもなかったわ。むしろ敵意剥き出しって感じ。友好的にってのは難しいかもしれないわね。」
ツヅミが単独で動いていた話も含めて、レタは総評してこの施設との友好性は取れないと踏んでいた。しかし、レタはどこか引っ掛かっていた。その違和感が判断を僅かに阻害させていく。それはまるで、部屋の奥から透明な霧が滲み出るような感覚だった。情報を整理する度に、そのモヤが視界の端にちらつく。ふむ、と呼吸を整えたテンジョウは話を切り替えようとした。
〈して・・・、敵の首尾としては如何でしたか?〉
「そっすねー!思ったより強くは無かったすよー‼︎」
「まぁ、中々予想外な点は多かったけどね。けど、ここが引っ掛かるのよね・・・。」
言うならばここだろうと、レタは直感した。この違和感を伏せておく方が、今後の戦況に影響が出るだろう。そう意を決した彼女は、緊張をほぐすように組んでいた腕を解き、そっと立ち上がった。
〈と、言いますと?〉
彼女が抱える違和感。誰もがその言葉の先を聞くために、声をひそめ耳を傾けていた。先程まで気にもしなかったジジジッと何かの機械音が、今ははっきりと環境音として耳に残る。静寂に極めて近い環境音の中で、彼女の呼吸音が一音だけ強く放たれた。
「映画館の地下に作られたこの施設に、外部との連絡を断つジャミング。用意が・・・、良過ぎるのよ。それに対して、敵の勢力があまりに脆過ぎるわ。なんだかどれも噛ませ犬程度っていうか、手応えに違和感を覚えるわね。」
〈つまり?〉
「ここはあくまで支部なんじゃないかって思うのよ。それだけ大きな組織が動いている、とかね。」
〈それ、レタの直感?〉
「いいえ、ただの女の勘よ。」
〈君を攫った時の悪魔といい、この施設との関係性は一体なんなんだ・・・。〉
〈レタさんのその勘は、捨て置けませんね。お話を聞く限り、確かな違和感はありますし。〉
そう、彼女が抱えていた違和感は、敵の脆さにあった。それはあまりに明白である。これだけの設備と装備がありながら、相手が脆過ぎる。人攫いというシステムを作っておきながら、肝心の根城が脆い。レタの推測は二つあった。一つはこの施設は、まだほんの一握りに過ぎない支部という事。他にもこういった施設があり、何かを実行する為に各地域でマナを集めているのではないかという推測だ。支部が散らばれば散らばるだけ、総力は自ずと分断される。ここはあくまで末端なところであり、比較的手薄なところではないか。そう推察していた。もう一つは、これまでに出会ったきた人間が主犯ではないという推測だった。ここにいる人間も悪魔も利用されているだけの存在であり、いわば雇われ社員のような扱い。実際のところは、闇夜のように深いところで根を張る存在こそが今回の件の糸を引いているのではと思っていた。それであれば、これまでの総力の非力さに納得が出来る。だがそれは同時に、この推測がそうあっては欲しくない。そんな願望も胸に押さえ込まれていた。
ザッザザザ・・・
すると耳元で新たな信号をインカムがキャッチしていた。砂を小刻みに混ぜるような音が彼らの耳に入る。
〈・・・む、無線が復帰したのか?〉
その声の主は、別行動になっていた伏黒の声だった。これもジェニーの功績。彼は会話という情報共有を受けながら、他のメンバーとの回線復帰作業をずっと続けていた。ほつれてしまった糸を接合するように、繊細な気を遣いながら一人一人の無線を回復させていっていたのだ。
〈爺~~ッ!無事だったのかい⁉︎〉
耳元からは、立ち上がった反動で倒れ込んでいった椅子の音まで拾っていた。先程までの冷静に分析を丁寧口調で続けていた同一人物とは思えない程、その声は少年のように甘えた声色だった。
〈えぇ、ご心配に及ばずこの爺。坊っちゃまの命に従い、手筈通り健在しております。〉
対する伏黒は波音が静かに聞こえるような穏やかな口調で、そう返答した。姿は見ずとも、声だけ彼が忠実なる主に対し、エレガントにお辞儀をする様が浮かんでいた。
〈あぁ、無事で何よりだよ爺!そっちの様子は?〉
〈勿体なきお言葉です。こちらは既にドラキュラと合流を果たし、敵からもいくつか情報を仕入れました。〉
「あら、ティミッドも捕まっていたのね。お気に入りの帽子は、大丈夫だったかしら?」
〈ひ、酷いですぞレタ殿~!吾輩、これでも必死だったのですぞ!帽子よりも吾輩の事を心配してくだされ!〉
「はいはい、まずは無事で良かったわ。」
インカムからは悲痛とも呼べるティミッドの声が鳴り響いた。レタはそんな彼に素っ気ないような言葉を返す。けれど、その言葉の裏では内心彼女はホッとしていた。無事で良かった。それが暖かく包み込む。ティミッド自身もその言葉だけで充分、彼女の内心を掴んでいたようだった。彼らも長い付き合いである。この短い言葉でも彼らにとっては、必要数の安堵になっていた。
「それで執事さん。その情報って?」
伏黒はコホンっと息を整えた。普段であれば、皮肉混じりに応えもしないところだろう。だが状況は違う。今は、自分の主も状況を聞いているところだ。それでも半ば納得がいかない声色が聞こえる。
〈あぁ、貴様に話すのは癪だが、これも作戦の内だ。話に交える事を光栄に思うが良い。まず、この施設はマナを収集するために作られたもののようだ。スクリーンで姿を見せた悪魔を使役しているようだ。それも管理しているのは、科学を武器にした人間だったな。〉
「それも私たちのような妖怪や悪魔に特化した機械まで用意しているようだったけど・・・。」
〈そうですな、彼奴等はそれを“マナ圧縮装置”などと申してましたな。〉
〈マナ圧縮装置・・・。〉
テンジョウはその言葉を聞いて、口籠もる。
〈社長さん、何か知ってるのそれ?〉
〈いえ、残念ながら・・・。それで、我々に特化したとありましたが具体的には?〉
「文字通り、周囲のマナを圧縮させて私たちの力を封じるものよ。正直、驚いたわ。使われた時、全身の力が抜けると急に息苦しくなって、とても立っていられなかった・・・。」
〈ははー。やはりあれは吾輩たちにとって特効剤だった訳ですな。伏黒殿、使われたら一溜りもありませんでしたな。〉
〈あぁ。」
〈そんな物まで用意しているとは・・・。確かにそれは厄介ですね。〉
レタがその場で対峙した時に使われたのがマナ圧縮装置と呼ばれるもの。形状は片手で持てるペンライトのような形をしており、スイッチを押すと周囲のマナが一気に枯渇する。つまりマナを活力にしている妖怪や悪魔にとっては、目の前で突然酸素濃度を下げられたようなもの。力が出ないだけでなく、目眩や立ち眩みなどの症状が出てしまい、戦う事もままならない。
「あ、それボク平気でしたッスよー‼︎」
〈は?何それ、チートじゃん。〉
それを聞いて、ドン引きしていたのはジェニーだった。まるで他とは違う化け物でも見るかのような口調で、その後の言葉を失っていた。
〈ツヅミは小生の式神だからな。ひょっとしたら、妖怪と悪魔とは違う波長が故にたまたま効かなかったのだろう。〉
「まぁ・・・、大方そうなんじゃないかとは思ってたけど。」
確かにそれなら、とレタは妙に納得していた。ツヅミは妖怪や悪魔とも属さない相手のとって異例の存在。それが式神である。式神は本来、主人であるマナなどで生成し作り出される存在である為、その波長は特殊であった。あくまで妖怪や悪魔に合わせて作られたマナ圧縮装置。それこそがその機械の穴だった。実例の少ない式神となれば、データは少なくこの圧縮装置にその波長をインプットする事が出来なかったのだろう。一度はツヅミの言葉を突っぱねたジェニーだったが、式神と聞くと胡桃を鳴らしながら納得していた。
〈で、雪女。貴様の進捗は?〉
「こっちはご覧の通り、ツヅミと合流したわ。んで、ご都合主義みたいにこの施設の地図付きでね。だからあたしは救出を優先せずに、まずはこのジャミングを破壊する事にしたの。」
〈ふむ、まぁ上出来であるな。〉
「素直に褒めてくれたって良いのよー?」
〈まぁまぁ、お互いまずは無事である事に感謝しましょうよ。それで爺、その悪魔についてだけど何か掴めたかい?〉
また一戦が繰り広げられるのではないかと一瞬ヒヤヒヤしたテンジョウは、すぐに話題をすり替えた。レタと伏黒は、妙にウマが合うようで合わない。一見ハマりそうな歯車同士だが、いざ繋ぎ合わせようとすると微妙に噛み合わない。それに自分が前に出れば、伏黒もすぐに鞘に収める。そう知っていたからこそ、テンジョウはわざとらしくも話題を変えた。
〈その事であれば、吾輩から。〉
彼の問いに対し、真っ先に挙手をしたのは伏黒ではなく、ティミッドだった。
〈彼奴は十中八九、悪魔ラークでしょうな。〉
ラーク。彼はそう応えた。誰よりも先にその実態を目にした彼だからこそ説得力があった。更にこの場で最も悪魔の事に関して精通しているティミッド、誰もその言葉に疑いは持たなかった。この失踪事件の件を聞き、事件映像を目にして覚えがあると云ったのも彼である。
「ラーク?あのタコみたいなのが?」
〈まぁ正確には、少し違いまする。吾輩たちには、そう見えただけですぞ。ラークは群にして個、個にして群でしてな。〉
「どういう事よ、それ。」
群にして個、個にして群。一見、その相反する矛盾のような言葉が妙にレタは引っ掛かっていた。ティミッドはわざとらしく、オホンっと咳払いをすると手元に教科書でも広げるかのように口を開いた。
〈ラークはヒドラやカツオノエボシのように、複数の個虫が群がって出来た悪魔なのですぞ。狩りを主として活動する群体ラークと、繁殖や養分を取り込む母体となるマザーラークが居るのです。吾輩やレタ殿を攫ったのは恐らく群体の方でありますな。〉
それが群にして個、個にして群という言葉の意味だった。彼らが目撃した映画館で現れた巨大なタコのような物も実際は、群体が連なってそう見えただけだった。実際は全くの別物だとティミッドは語る。彼が例に挙げたヒドラなども、部位それぞれの役割に当てられた身体をしている。それが複数集まって出来た存在は、生物だけに限らず悪魔もまた同じ。タコの脚を模倣したのは、恐らく標的を捉えるに当たってそれが最も効率的な構造だったからだろう。
「成程ね・・・。それなら母体を叩けば、この事件は解決出来そうね。」
そう考えれば話は単純。ブレインとなる母体を叩けば、事は解決する。言葉で表すのは至極、単純であった。だが現実は想定の範疇外であるのが必然。単純と一括りには、そう易々と出来なかった。何故なら、まだその全貌を把握できていないからだ。ラークという存在はわかっても、その規模は未知数。どれだけの群体があるのか、どれほどの大きさのブレインがこの地下施設に棲息しているか分からない。それが作戦行動への即決を足止めされていた。下手な行動は出来ない。ここは慎重に執り行う必要がある。
「でもお嬢、まずは救出が先じゃないっすかー?」
そんな中、両手で頬杖をつきながらくるくると椅子を回す青年ツヅミがボソッと口を開いた。ツヅミは聞いていないようで、作戦内容は聞いている。部屋の天井を眺めながらぼやいているが、そこに確かな核心はあった。ふと彼の言葉に驚いたレタだったが、同時に話を聞いているのなら事は早いと安堵の相槌を入れた。
「そうね。だからあたしたちは、ここに向かうわよ。」
すると彼女はデバイスをツヅミに差し出す。
「ここって・・・、マナ収容所?」
デバイスに表示されていたのは、この施設の地図。それを更にクローズアップさせた場所。それがマナ収容所だった。これはあくまでレタの直感。私たちが目的を得る為に向かうなら、ここだろうと。マナ収容所と目にした時に、彼女は直感していた。彼女が第一にそこへ向かわなかったのは、準備が必要だったからだ。戦力が分散された状態かつ無線という情報の遮断されたままでは、向かっても不利だと踏んだ為である。だから、彼女は最初にこの動力制御室を狙った。外部との回線復帰、そして現場の仲間との連携。これを最優先にしていた。それを成し得た事で、漸く次のステップを実行する事が出来る。レタはすぐにスマホでデバイスの画像データをジェニーへと送り、解析をお願いした。データを受け取ったジェニーは直ぐ様作業に取り掛かり、キーボードを走らせる。
〈今、こっちでも地図データを解析させて貰ったよ。確かに囚われた人や妖怪、悪魔たちはここだろうね。執事さん、君にも今データを送るよ。〉
〈ふむ、ならば小生らもそこに向かい、雪女と合流するのが合理的か。〉
そこからの決断は早かった。まずはレタ班と伏黒班の合流。それが先決であり、合理的だった。分断された戦力ならば、再び引き戻せば良い。合流するならば、今だと。地図と外部からのナビもあれば最短ルートで、安全に合流する事が出来る。するとツヅミは、くるくると回していた椅子を止め、何かを思い出したかのように口を開く。
「あれ?でも、ここって地下四階まであるんスよね⁉︎四階には何があるんスか⁉︎」
「バカね、さっき聞いてなかったの?多分だけど、その四階自体がマザーラークよ。すぐにでも叩きたいところだけど、今は拐われた人たちの方が心配だわ。」
「おー!じゃあ、これからボスと合流するんスねー‼︎楽しみッスーーッ‼︎」
そうしてツヅミは再び両腕を大きく広げながら、子供のように喜びの舞を始める。先程よりも速く椅子を回転させ、まるでベーゴマのように回りながら、その喜びを全身で表していた。レタが向ける軽蔑の眼差しがあるとは知りもせずに。
「ほんと、あんたの式神って楽観的で良いわね・・・。」
〈言うな・・・。〉
どうやらツヅミのはしゃぎっぷりが目に浮かんだのか、伏黒は言葉を失っていた。額に皺を寄せるような呆れ返りを言葉にし、すぐにでも身内の恥から通話を切りたいくらいだった。
〈しかし、それはそうと・・・。垂殿は、どうしておるのですかな?〉
ふと、ティミッドは思った。この場にまだ合流出来ていない者がいる。それはイサムとセン。この施設に潜入して以降もそうだが、通信が復帰した今となっても未だ連絡が付かない状況であった。
〈うーん、ちょっと前に君たちの居る施設に突入はしたんだけど、あれから連絡が取れないんだよねぇ・・・。〉
「ジャミングは解除出来ているんでしょ?」
〈はい、確かに今は妨害電波による影響はありません。となると・・・。〉
予想もない状況に、突如として不穏が立ち込めていた。流石に人間である彼にとって、この場はあまりにも不遇であり荷が重いところではある。ジェニーの言葉からセンと共に行動していると聞いて安心したいところではあるが・・・。
〈物理的に・・・、既に地下深くまで進んでいるって事か・・・。〉
ジェニーはボソッと呟く。それは最悪の想定にも成り得ていた。ここよりも更に地下という事は、既にマナ収容所へ向かっているか、最下層であるマザーラークまでか。いずれにしても、最小戦力となっているイサム側ではあまりに心許ない。
「まぁ、そっちにはセンが居るから大丈夫だとは思うけど。正直、心配ね・・・。」
そう、彼の側にはセンが居る。武術も戦術も“ヤドリ”の中では群を抜いている。それでも不安は拭い切れない。本来であれば、全員が合流し戦力を立て直したいところ。レタの脳裏はそう渦巻いていた。出来るならば、伏黒と合流するタイミングで連絡が取れれば、と。
〈けれど今は出来る事を実践していこう、レタ。君たちのルートはこちらでナビゲートする。執事さんの情報から敵さんの反応とかも把握できるようになったから、なるべく敵と遭遇しないルートを提供するよ。〉
会話の中でどうやらジェニーは仕事を着実に進めていたようだった。デバイスからの地図情報と、この施設内の敵反応を察知出来るようにマッピングを作り出していた。確実な最短ルート。目的を果たす為に、ここは少しでも体力を温存させておくのが吉。そうして各員に渡されたスマホにデータが送信される。データを開くとこの施設内のマップと現在位置。更には彼の宣言通り、赤く表示された丸印が至る所に点在される。謂わば、この赤丸が敵。それを上手く回避出来るように、常にナビルートがリアルタイムで変更されている。流石はジェニー、と口にはしなかったがレタはそれを見て口角を上げた。
「オーケーよジェニー。それじゃあ、行くわよ!地下三階へッ‼︎」
『了解ッ!』
向かうは三階、マナ収容所。彼らは再び集う為に、表示されたナビの矛先へと向かった。




