78決行前までおまかせを
「如何でしたか、垂さん?」
そこで彼の語りは終わった。飛川コマチという人物の過去を、今まで触れる事の無かった彼女の真実の一つを。彼は語りだけでなく、僕でもわかりやすいようにと本人が見てきた視点映像付きで見せてくれたのだ。まるで映画を見ているかのように、時折彼の個人的な思念も混じっていた気もするけど・・・。だからこそ恐らくは、あくまで彼が知っている範囲、共に見てきたところまでの飛川コマチだろう。テンジョウが見てきた社長は、全くの別人のようだった。まぁ、年相応のところもあるけれど、少なくとも薄い外殻は違っていた。昔の社長、そんな感じだったのか。少し意外だった。その出来事が今から七百年も前に起こっていた事も。その軌跡の中で彼女は、今の彼女へと変わっていったのだろう。それにメルの出生もそんな出来事だったとは思わなかった。てっきりあいつはぽっと出のどこかで、ちょっとした趣味程度で彼女に着いてきただけだと思っていたけど。元から犬っぽい顔立ちだったけど、所謂前世が犬だったとは・・・。そして何よりも彼女の半妖の生い立ちだ。
「彼女に、そんな過去があったなんて・・・。」
「どれだけ口が裂けても、彼女本人から語る事のないエピソードでしょう?」
確かにこんな話、彼女が自分から話そうとはしないだろうな。話しても端的に短く、そして肝心なところは濁す。多分話してもそれくらいだ。対するテンジョウの話は、かなり有益ではある分、細かい情報だった。いや、逆に細か過ぎる。話があまりにも丁寧過ぎるんだ。これは僕が敏感になっているだけだろうか。先程まで見せていたのは、テンジョウの記憶を元に作られた映像だ。百パーセント、それが正であるという確証は無い。少し、カマをかけてみるか?
「これが、本当の話であれば、ですけど・・・。」
「おや、意外と疑い深いですねぇ。嫌いじゃないですよ、そういうの。」
ふむと彼は顎に手を添えながら、舐めるように僕を見た。まるで、僕のこの反応に喜んでいるかのようだった。あの映像はあくまでテンジョウの視点であり、彼自身の主張が強い。けど貴重な情報資源の一つでもある。例えそれが完全の真実で無くとも、何も無かった状態よりは遥かに基盤になるな。もしこの話のどこかに嘘があるならば。なら引きを与えつつ、少し揺らしてみるか。
「一応、云ってみただけです。これがブラフなら、炙れるかなと。」
「大丈夫、私は包み隠しませんよ。他の妖怪と違って、嘘は苦手なんですから。」
やっぱり簡単には炙れないか。彼はふわりと手を広げ、シュラグを振る舞った。自然に澄ました表情だ。あの映像に嘘は無い・・・と、そう云い聞かせるみたいだった。この人に頭脳戦で炙り出すには、こんな安っぽい一矢じゃ駄目か。うーん、しかしこれ以上の深追いは禁物か。かえって疑われてしまうかも知れない。ここは少し、話題を変えて一先ずの情報整理で切り出すか。僕はスゥーっと息を吐いた。傍らにあったティーカップは、いつの間にかカップの底を覗かせていた。それだけ夢中だったのだろうか。僅かにハーブティーの匂いが残っている。確かに心を落ち着かせる。お陰で今も冷静に判断出来ている。良し、それならまずはここから・・・。
「わかりました。それじゃあ、少し話題変えますけど・・・。彼女がオカルトやらに興味を持っていたり、その類の古本を集めているのも・・・。」
「恐らく、忌み子となってしまった自らの呪いを解く為でしょうね。」
「便箋小町という仕事を始めて、法外な請求を行なっているのも・・・。」
「その研究資材を集める為ですね。法外なのは、ちょっとやり過ぎかも知れませんけどね・・・。また依頼を受ければ、“ギフト”絡みとなりますから呪いのカルテにも役立てると括ったのでしょう。」
「そうだったのですか・・・、じゃあ僕を引き入れたのは。」
「あなたは特異点の一つですからね。呪いを解く鍵かも知れないと思ったのではないかと。」
彼はどれもスラスラと答えていた。どこにもつっかえる事無く。ん・・・?いやちょっと待て。僕が特異点の一つ?なんだ?特異点って・・・。確かに僕は人本来にある“気”というものが無い。それの事を云っているのか?もしそうだとしたら、彼は初めから僕の存在に気付いていたのか。となると、やはりあの社長も。だからあの時、僕に接近した。自分の呪いを解く鍵を見つける為に、自力で。つまりは、彼女の目的は元の人間に戻る事なのか。古本は情報集め、仕事は資金集め、そして僕は可能性・・・、というところだろうか。特異点の事は深掘りすべきか・・・。いや、今掘るのは得策じゃ無い気がする。ここで聞けば、話が逸れそうだ。やめておこう。
「正直、驚きました。半妖だとは聞いてましたけど、まさかそんな生い立ちがあったとは・・・。」
「本来、半妖というのは二種類に分類されます。至極単純で、先天的か後天的かの二種類。名前の通り先天的とは、妖怪と人間の混血として産まれた存在です。その為、彼女の場合は後天的に当たります。何らかの事象が原因で呪いを受け、妖怪の血が混ざり合った状態の半妖というのが今の彼女です。これが普通の妖怪が行った呪いならば、解呪するのも訳無い話なのですが。」
「話の途中で出てきた 九紋一族が関係しているのですか?」
「えぇ、十中八九そうでしょう。彼ら九紋一族は妖怪の中でも特に飛び抜けた力を持つ存在です。願わくば、触れるべからず見るべからず。明日は我が身と思うなら、これが最善であり鉄則です。」
九紋一族・・・。彼らの過去の話でも出てきたな。確か、二度目に起きた狐の嫁入りの時がそうだったか。テンジョウはその時だけ、僕から目を背けていた。触れるべからず、見るべからず・・・か。それだけ強大な相手だというのを表現しているようだった。そういえば、彼の父でさえ距離を置いていたな。まるで神にでも置き換えているかのようだった。けどその神は決して善人に笑みを浮かべるようなものではない。もっと残忍で、狡猾で、どこまでもドス黒い存在を比喩しているようだった。思わず僕は息を呑んだ。
「そ、そんなにヤバい組織なんですか・・・。」
「そうですね。例えるならば、今この場にいる我々が束になってその一族の一人に牙を向けるとしましょう。恐らく、ものの五分持たずして相手に傷を付ける事すら叶わず、全滅するでしょう。」
彼は一度チラリと自分の掌を見つめ、何かを確かめるようだった。この場に居る者って・・・。それを聞いた僕は思わず、息が冷え込んだ。“ヤドリ”のメンバーだけじゃなく、彼や伏黒も含めた状態でもって事か。そんなに圧倒的な戦力差なのか・・・、その組織は・・・。
「ものの五分で・・・、それは、彼女が居た場合でも・・・、ですか・・・?」
「わかりません・・・。それだけ九紋一族とは、強大な相手なのです。」
成程、まるで強大過ぎて逆に全然イメージが湧かないとは、まさにこの事を指すんだろうな。正直彼の発言を聞いても、信じようにも受け入れ難い意見だったからだ。九紋一族、純血の妖狐で構成された謎多き組織。その行動も、目的も、構成員の数すら全くの不明だ。しかもその直結であるその一族の一人にすら、束になっても叶わない。あの社長ですら、結果は未知数。
「だから、彼女は呪いを自力で解く方法を模索している・・・。」
「そうですね、いくら彼女でも純潔の妖狐である九紋一族に飛び掛かろうとはしないでしょう。呪いを解くセオリーとしては、術者を殺すか自力で解くかの二択ですから、後者の方が遥かに安全です。」
「確かに・・・、なんか少しずつわかってきた気がします。」
そうか、それなら彼女のこれまでの行動は何となく分かる気がする。あの絶対的な強さを誇る社長、それは今ここに居るメンバーの中を加えても別格だろう。そんな彼女でさえ、勝ちの保証は約束されない。テンジョウがそれを断言していないのが何よりの証拠だ。それでも彼女は戦っていたのか・・・。僕らの見えないところで、ひっそりと。内に秘めた人間だった頃の弱い自分を押し殺してまで、強く前を向いていたのか・・・。丁度良い節目を見つけたのか、テンジョウは胸に手を当てながら静かにお辞儀をした。
「お役に立てて、何よりです。けど、垂さん。これだけは約束して下さい。」
「はい。」
お辞儀の角度はそのままで、顔をだけをこちらに向けてきた。
「彼女にプロポーズするのは私です。そこは絶対譲りませんからね。」
「あ、はい。そこは好きにして下さい。」
「おや?手強いライバルになるかと思いましたが、それを聞いて少し安心しました。」
そっと身体を起こすと、またいつものニコッとした笑顔を見せびらかす。本当にこの人は食えない人だ。そういえばレタもそんな事を云っていたっけな。けど、充分な収穫はあった。今はじっくり考え、整理しておこう。本当の答え合わせをするのは、もう少しまとめ上げてからだ。
「さて、そろそろミーティングのお時間です。・・・向かいましょう。」
彼はエスコートするように右手を差し出した。僕は軽くお辞儀し、彼の背中を追いかけた。
・・・。
・・・・・・。
一同が集められたのは、普段この大和コンツェルンで使われる小会議室だった。ただし、相変わらず無駄に広い。ここはどうだ?二十人くらい入っても、それなりに余裕があるスペースだ。どこが“小”なんだ?あの会社の応接室なんて四人が限度だったぞ?部屋全体の壁に添えるように長机が四方に並べられている。中央にはテンジョウが立ち、その後ろには大きなモニターを壁に構える。その対面に僕とセンが机に座っている。左にはレタ、ジェニー、ティミッドが、右側には伏黒とツヅミが席に着いている。というかツヅミに至っては既にご就寝だ。堂々と机にうつ伏せになりながら、呑気に寝息を立てている。大丈夫なのか、本当にこの人・・・。流石にテンジョウもそれに気付いていたし、何よりも伏黒がわなわなと沈黙の怒りを抑え込んでいた。ゴホンっと軽い咳払いで、彼は改めて仕切り直した。
「では、これからの事を煮詰めて行きましょうか。進行は僭越ながら、私が。」
彼は胸に手を添えながら、軽めのお辞儀で頭を下げた。
「まずその例の映画館は、N市の桐花町に構えたところにあります。」
と、彼の言葉に合わせるようにそのバックではモニターが点灯し、“例の映画館”というのが映し出された。あぁここか。名前は確かシネマ桐花座。昔からずっとある老舗の映画館だ。今となってはこじんまりとしている映画館。けれど、当時僕が小学生くらいの時でいえば、映画館といえばここというくらい代表的な場所だったのだ。築年数も経過している為、外観もだいぶ錆び付いてしまっているし、経営不振もあって老朽化の回復が追い付いていない。それはちゃんと理由がある。
「あら、てっきり中心地のあの大きい映画館かと思ったわ。」
想像とは違った、とでも云うようにレタは小首を傾げていた。
「あー、今年出来たばかりのところだよね。映画のラインナップを全て網羅してるし、流行りの3Dやら凄いんでしょ。リクライニングチェアに、VIPシートも完備。あと、そこのポップコーンとチェロスが絶品だとか・・・。どうせ映画に行くなら僕、そっちの方が良いな。」
「そうですね。そこの映画館が出来た事で、すっかりその映画館は客足も持って行かれてしまったようです。古き良きと云えば聞こえは良いですが、お世辞にも今流行りの映画館とは程遠い存在ですね。」
そう、この桐花座が廃れてしまった理由は、N市の中心街に真新しい映画館が出来た為だ。最新設備に客足を飽きさせない上映作品のラインナップ、映画のお供ともなるサイドメニューの豊富さ。そのどれをとっても桐花座が敵うところが無い。けど、なんだってまた廃れた方の映画館で失踪事件が?これは加害者にとって都合が良いからか?人が多かったり、最新設備だからだと足がつきやすいと踏んでいるのか。
「そこにチップくんたちが・・・。」
センは映像に映し出された外観を見つめながら、ボソリと呟いた。彼女の眉はすっかり垂れ下がっており、心配を案ずるように見つめていた。
「えぇ、そうです。それ以外にも沢山の行方不明者がこの映画館で起きています。」
そうだ。今回の事件は、チップたちの失踪だけでは無い。他にも犠牲者が出ている。それも一ヶ月前から現在に至るまでに。その被害は絶えない。テンジョウの部下たちも囚われている以上、彼らも当事者であり、無碍には出来ない。僕らはそんな彼らを助け出す為、この救出作戦を決行しようとしているのだ。ギィっとパイプ椅子の擦れる音を響かせたのはレタ。腕を組みながら背もたれによし掛かり、彼女は発言する。
「で、中の構造はどうなってるの?」
「派遣部隊の映像をご覧になったので大まかな構造は頭に入っていると思います。そして、これが館内の見取り図。」
すかさずテンジョウは、モニターに館内の簡易的な見取り図を映し出した。外に繋がる出入り口からの中央部がロビーと受付窓口、北・東・西には大きめの四角で囲われた部屋がある。あそこが映画を見るところかな?トイレは北口の通路の間にある。あとは従業員用の事務室と休憩室。うーわ、ロッカーの中まで筒抜けじゃん。テンジョウさん、この情報どこから手に入れたんだ?
「あら、ご丁寧にどーも。」
各部屋を事細かく映し出された情報は、プライバシーのクソも無かった。これが自分の家だったらと思うと、個人情報のオンパレードで赤面不可避では無いだろうか。流石のレタもその光景に少し引いていた。さらりと流れた冷や汗が、そのドン引き具合を演じている。
「出入り口は一つ。館内の中心部にチケット売り場となる受付があり、少し小じんまりとしたロビーが一つ。そこから東側、北側、西側とスクリーンが用意されています。ちなみに、お手洗いは北側にのみ一つ。東西のスクリーンの収容人数はおよそ百人、北側のみ倍の二百人入るスペースとなっているようですね。」
あ、意外とそれくらいの人数が入れる大きさだったのか。子供の頃はすごく広い所ってイメージだったけど。テンジョウの説明の後、隣に座っていたセンが徐に身を乗り出した。
「事件が多いのは、どこのスクリーンなの?」
センは緊張が走る会議室で手を挙げ、そう訊いた。確かに失踪が起きたのは、この映画館ではある。だが、この映画館はスクリーンがある場所が全部で三つある。潜入し調べようにもある程度の特定が必要ではあるのだが。
「それが完全にランダムなのです・・・。結果は、このモニターを見れば一目瞭然でしょう。」
スクリーンに映し出された見取り図に文字が追記される。それは各スクリーンの被害数が表されていた。比率はほぼ均等。どれも約三十三パーセントの割合であり、日に起こっている失踪データも実に特殊だった。そこには法則性が無いように見えたのだ。均等にしているだけならば、僅かに飛び出た数字に対し、均衡性を出す為の調整がある。つまり残った二部屋にも被害を出させ、均等にしようという考えが出る筈だ。しかし、どの日付も比率は三十三パーセント。小数点二桁単位まで綺麗に揃っている。つまり次にどこのスクリーンが襲われるかが分からない。この場合だと一点突破や集中型の行動は、相性が悪そうだな・・・。となると戦力を分散させて行動させないと。
「つまりその映画館全体が、首謀者のネグラってわけか・・・。随分と厄介じゃないか社長さん。」
ジェニーはそのデータを見て、悪態をつくような溜め息を吐き溢した。
「その通りです。ですから、その首謀者と接触するには、固まって動くのは得策ではありません。」
「と、なると三手に分かれる必要があるって事ね。誰かをソロにするって訳には行かないし。」
珍しくレタの考えが冷静で的確だった。いや、こういう手の考えは回る方なのかも知れない。それも彼女のミリタリー好きから来ているものなのかな。彼女の云う通り、この場合だとソロは悪手だ。ソロとなった者が襲われた際、フォローに回るまでにロスは不可避である。互いにフォローが行える最低でも二名体制が的確か。
「オーケー、とりあえず僕はいつも通りバックアップね。社長さんと共に君たちをサポートするよ。」
「じゃあ残りは、あたしを含めて六人かしら?単純に、二人一組の構成になるわね。」
まぁ、そうなるか。周りを見る限り、皆それに賛同していた。むしろ人員配置数は、これが最適解。問題は誰と誰がペアとなり、どこに配置させるか。それが重要だ。望ましいのは、信頼出来る者同士である事。初対面同士だと連携にやや遅れが生じる。それに目的は彼らの救出だが、その首謀者との戦闘もあるかも知れない。先頭においても戦力を上手くバランス良く分散させる必要があるだろう。さて、誰と誰が適任か・・・。するとテンジョウはどこから取り出したのか、右手に持った扇子をバサっと広げ頭上へと掲げる。
「では、こうしましょう。各方面へ向かうリーダーを決めれば、割と選定しやすいかもしれません。なのでここはわかりやすく、弊社から伏黒を、“ヤドリ”からはレタさんを、そして元便箋小町の垂さんを。これらを各方面の部隊長としましょう。」
「ま、こういうのはシンプルなのが良いか。良いわよ、それで。」
「テンジョウさん、謹慎中なんで僕まだ辞めた訳じゃないですよ!」
「おっと、これは失礼。そういえばそうでしたね。」
テンジョウは詫びるように口元を閉じた扇子で隠し、会釈で返した。だが彼の意見は最もらしく、シンプルで分かり易い。ん・・・?というか僕が部隊長なのか?良く見たらあの人、僕をニヤニヤと見ているし!あ、くそ。上手い事僕を試しているな。本当にこの人の性格と来たら・・・。
「あとは・・・、それぞれの戦闘スタイルと特徴に対して相性を合わせるなら・・・。」
ジェニーは顎を引き、周りを見渡した。再び緊張が走る会議室に、ごくりと生唾を飲み込む音が響く。既に彼の頭の中では、大和コンツェルンのメンバー以外は把握されている。それは僕も含めてだ。伏黒とツヅミの簡単なヒアリングを行い、そうして選定された配置、そしてそのメンバーはこうだ。
東側:レタ・ティミッド、西側:伏黒・ツヅミ、そして北側:垂・セン
北側は両極のスクリーンから近く設置されている。なので仮に北側で事件が発生した場合でも、残った両極がすぐにフォローに回る事が出来る。一方で僕自身の判断能力が彼に買われたのか、最も状況判断の視野の広さと俯瞰的に捉えられる僕が北側を任された。伏黒とツヅミのペアは絶対的であるとジェニーは主張する。式神の関係性もある事から柔軟に対応出来るだろうと。またレタの暴走にブレーキをかけるのは、この中ではティミッドしか居ない。女性同士にしなかったのは、後の配慮。万が一戦闘となった時にパワー不足を補う為だとジェニーは云った。確かに理には適っているし、一同も頷いていた。
「作戦決行は、現地夕方五時より始動。それまで各員は、戦闘準備を整えてください。必要なものは、こちらで・・・。」
バサッ・・・キュィイイイイ・・・ン
するとモニターがくるっとひっくり返ったかと思ったら、壁が観音開きのように開いた。中からはありとあらゆる武器がびっしりと並べられていた。剣に槍、小型の拳銃から長距離ライフル、ナイフや棍棒まで。多種多様に所狭しと武器庫が現れたのである。
「全て用意させて頂きます!」
テンジョウはこれでもかというレベルのドヤ顔をふふんと決めていた。それは見方によっては戦場へ赴く戦士たちへ鼓舞するように、拳を掲げて見せているのかも知れない。現に僕らの士気は実際に上がっている。
「はっはっはー、久々にこれは精が出ますなぁー!吾輩も張り切りますぞー!」
拳をブンブンと小振りに回すドラキュラのティミッド。
「ちょ⁉︎これ、実弾じゃない!一本くらい苦拗ねてもバレないかしら?折角なら銃もあっても良いわよね!」
真っ先に銃火器に飛び付き、実弾仕様の銃たちへ爛々と目を輝かせる雪女のレタ。
「ふぇ?あれーーーー⁉︎もう会議終わったんすかーーーー?ふーしぐろさーーーん!」
漸く目覚めたと云うのに、相変わらずのバグ声量な式神、ツヅミ。
「声を慎まんか馬鹿者が!お前には後でみっちり作戦内容を叩き込んでやる!」
その式神を冷静に制裁をお見舞いする犬神、伏黒。
「うん、イサムは私が守るから。」
静かな闘志を燃やし、一際ピリッとしたオーラを放つ青天狗のセン。
「あぁ、君が居れば安心だよ。」
そして、唯一の人間の僕。その後、詳細の作戦内容が決められた。あとは、そのレールに沿うだけ。
「良し・・・、行こう・・・劇場へッ‼︎」
僕らが目指す一点は定まった。それじゃあ赴こうか、カーテンアップの前に・・・。




