ヴェネター
あの激闘から何時間経っただろうか。俺とギューリーはボロボロだったが、眠っていたお陰でHPも全て回復しきっている。フィーニスは何故か自動で修復されていた。流石死なない魔物アンデットと言うべきか。だが流石にずっと眠っていて腹が減った。
俺達は仕留めたワイバーン・キングに齧りつく。味はワイバーンと同じだが量がとてつもなく多い。こんだけあれば腹いっぱい食べれるだろう。まあ味に途中で飽きてしまうのは仕方ない。塩があれば結構食生活も充実すると思うんだけどな。
(スキル、竜魔法level1を入手しました)
ワイバーン・キングが使用していた強力な竜魔法を入手することが出来た。耐性等を無視してダメージを与えれる強力な魔法だ。これでかなり強くなることが出来ただろう。
俺とギューリーが、ワイバーン・キングを、食べ終わったくらいだった。遠くから歌と馬の蹄が鳴る音共に何者かが、接近して来ているのを気配察知で察知した。
「あ〜俺達はヴェネター狩人さぁ!金貨を貰い魔物や盗賊を狩る〜その金で酒と飯と女を楽しむのさ!死線を潜り抜けて数多の魔物を殺して名誉と金を掴むのが生き甲斐さぁ!」
音痴な歌と共に馬に乗って現れたのは茶髪の短髪の男だった。この世界で初めて見た人間だ。鎧の上からでも分かるガタイの良さ。そして腰に掛けている2本の曲刀に目を引かれる。
「ふむこいつ等が、噂の魔物2匹組かなかなか強そうだな」
初めての人間だ。どれだけの手練かも分からん。ステータスチェックしとくか。
種族人間
名前 ガイル・ブラウン
職業 ヴェネター 召喚士
level40/200
HP720
MP455
攻撃力340
防御力200
魔攻190
魔防180
素早さ80
スキル
曲刀王術level3 曲刀王技術level3 火魔法level3 水魔法level3 風魔法level3 土魔法level3 光魔法level3 闇魔法level3 時空魔法level1 鑑定level5 隠密level8 トラップ作りlevel5 調合学level5 薬学level5 見切りlevel6 思考加速level3 魔力操作level6 魔力感知level5 気配察知level5 危険察知level3 召喚魔法level3 二刀流level3 ゼリオロス流格闘術level5 HP自動回復level3 硬皮level3
豪腕level3
耐性
猛毒耐性level5 物理耐性level2 呪い耐性level3
固有スキル
狩人の目level3 詠唱短縮level5 配下強化level3
称号
Bランク冒険者 ゲネルサの英雄 魔物の殺戮者 竜殺し 深淵殺し 悪魔殺し 格上殺し
装備
闇喰みの曲刀 B+
鱗裂きのシミター B+
火精霊のメダリオン C
風竜の指輪 C
リトルウロボロスアーマー B+
雷電狐のズボン B
火竜の靴 C
武器や防具も見ただけで上等な物だと分かるな。こいつはかなりの手練だろうな。
『人間如きが俺達に敵うわけないだろう!』
「キシャァァァ!」
まあ2人とも油断するな。向こうはかなりの手練だ。魔物みたいに力でゴリ押しすることも難しいだろう。てかさっきから何か体がむず痒いな。
「ほうほう・・・確かに報告書通りのスキルだな。電気生成に死期活性まあ普通じゃないないよな。連れの2匹もステータスもかなり高いな」
え!?まさかステータス見られてるのか!?このむず痒い感覚は、鑑定されてステータスを覗き見されているってことか?なら俺が鑑定しているのもバレているのか。
「おっとお前も鑑定も使えるのか!かなり知能も高いんだな!こりゃ油断したら殺られるな」
『ごちゃごちゃとうるせぇな黙らすか』
ああ、相手は人間で少し気後れするが自分達の命優先だ。殺られるなら殺る。じゃなければ死ぬ。敵意を向けてくる奴は、誰だろうと殺す。
「ガァァラァァァ!」
「キシャァァァ!」
「ウラハァァァ!」
『ファイアランス!』
俺達は3匹で一斉に各々の得物をフル活用して襲いかかる。
「おっと危ねぇ!」
目の前が真っ白な煙に包まれる。俺は煙の中で感覚を頼りに爪を振るう。爪が煙ごと何かを引き裂いた。血飛沫が飛び散るが、それは人間ではなかった。あの男が乗っていた馬が、俺の爪により切り裂かれていた。
「鳳月!」
背後から曲刀で切り掛かって来たが、ギューリーが弾いた。その隙にフィーニスが横腹に食らいつこうとしたが、蹴りで顎を蹴られて避けられてしまった。
「万物を照らす光の球よ放たれよ!ホーリースフィア!」
白い球が高速で飛んでくる。俺は光属性に耐性がない。いや耐性がないどころか弱点だ。絶対に当たるわけにはいかない。俺は闇魔法のダークスフィアを放ち相殺する。
『ダブルスラッシュ!』
「デュアルスラッシュ!」
ギューリーと男の剣の2連撃がかち合い火花が散る。ギューリーが残っている腕で男を殴ろうとしたが空を切った。
「急角斬!」
瞬時に俺の後ろに現れて斬りかかってきた。なんとか腕で防いだが鱗を裂いて血が吹き出る。俺は即座に竜の尻尾で反撃したが、2本の曲刀で受け止められた。
「キシャァァ!」
「くっ!?風よ敵を吹き飛ばせ!ウィング!」
フィーニスのサマーソルトが奴の頬を掠り一線の傷がついた。だが掠っただけだ。奴も直ぐ様風魔法でフィーニスを吹き飛ばして反撃する。
「一対三だと流石の俺様でも厳しいな。大盤振る舞いだ持ってけ!サモン!ラヴァナイト!オルトロス!」
奴の背後から黄金の魔法陣が現れてそこから2匹の魔物が現れた。1体はまるで溶岩のような赤い鎧と剣と盾を持った騎士。もう1体は頭が2つある双頭のデカい狼だ。
「ラヴァナイトはドラゴンニュート!オルトロスはそこの骨を噛み砕いてやれ!」
「コォォォ!」
「「ワォォォン!」」
これで数的有利は無くなってしまった。だが質で見たらこっちの方がまだ有利だ。
雑魚共はお前達に任せる!お前はこいつを殺る!頼んだぞ!
『了解!』
「キシャラァ!」
2人の頼もしい咆哮を背に俺は走り出し目の前の人間に爪を振りかぶる。2本の曲刀でガードされて火花が散る。だかガードされるのは分かっていた。俺は尻尾を地面に擦り付ける様にスイングする。
「地斬り!」
「ウグァ!?」
片手で俺の爪を防ぎながらもう片方の曲刀で俺の尻尾を防いだ。人とは思えない程の怪力だ。それどころか尻尾の鱗が割れて肉が一部裂かれてしまった。
「はぁぁぁ!」
俺の爪を弾いて2本の曲刀が俺の首元に迫って来る。
『古き盾!』
アルファが古き盾を展開して防いだ。盾に曲刀が弾かれて隙ができた。俺は息を吸い込みブレスを吐く。バチバチと黒い稲妻のブレスがヒットした。そう思っていた。
「シミターダンシング!」
「ガァァア!?」
『なっ!?』
突如、横腹に痛みが走る。横腹辺りを見るとブレスを喰らったと思っていた奴が居たのだ。一体何が起きたか分からなかった。ワープでもしないと有り得ない話だ。
俺は距離を取って様子を伺う。勿論再生で傷を防ぎながらだ。再生の痛みも大分慣れたもんだ。それにしても一体何が起きたんだ?
「やっぱり再生持ちか。それも高レベルのだな?一撃で仕留め切るか持久戦に持ち込むか・・・いや自己再生持ちだし持久戦は俺の方が不利か」
『時空魔法じゃねぇな魔力を一切感じなかった』
魔法じゃねぇのか。ワープっぽいスキルもねぇし何のスキルなんだよ!
『全く分からねぇ!まあ背後はこのアルファ様に任せろよ』
畜生こんな相手初めてだ。俺が思っていたより人間はかなり手強いようだ。倒すのにはかなり苦労するだろう。範囲攻撃で回避できないほどの攻撃をするか?そしたら流石に当たるだろう。
「さて・・・そろそろ本気で行くとするか!」
奴も本気を出すと言うならこっちも全力で叩き潰してやるよ。来い!人間!全力で相手してやるよ!
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