第三十二話 幕開け
王都エルランジの様々な屋台が並び人々が行き交うメインストリート、そこから一つ入り込んだ中にギルド区画というものが存在する。
冒険者を束ね、依頼を斡旋し、酒場等も併設されている冒険者ギルド。商人を束ね、物の売買を行い、王都の取引を円滑に回している商業ギルド。
その二つを二大巨頭とし、小さいギルドを含めればかなりの建物が並ぶギルド区画。
最近そこでは屈強ではあるが冒険者には見えない男達が多く行き交っていた。そんな男達の向かう先は一つ、ギルド区画の奥にある空き地である。
結構大きな土地ではあったが、誰も興味が無いのか話題にも上がらなかった土地だ。
その空き地に男達は資材を運び建物を建築し始めたのだ。
それが数日前の事――。
現在では外観がほぼ完成した建物がその土地に鎮座している。
その建物は非常に大きく、冒険者ギルドや商業ギルドにも引けを取らない。
一体何が出来るのかと今まで興味が無かった人達も見に来ては憶測を立てている。
そんな中ギルド区画の奥地に入り込む二人組がいた。
「うわぁ……警備の人出が足りないって言うから来たけど建物もでかいが見物客も凄いな普段は誰も来ないギルド区画の奥地で人が溢れてやがる……」
「でも、大きな混乱はないし今回の警備の仕事は思ったよりも楽そうだな」
目を大きく開け驚きながら建物や人混みを見るサム、そして仕事が楽そうだとホッとしているトムだ。二人は普段カジノ区画の警備をしているが、思った以上の人が建設中の建物の周りに集まったため問題が起きたとき対処できるようにと増援をかけられたのである。
「なぁ、この建物は何だと思う?」
気軽に聞いてくるサムだがその言葉にはこの建物が何なのか知っている様な違和感を感じられる。
「ギルド区画に建設されることから考えて何かのギルドなのは間違いないだろうね、でもそれが何なのか……魔導少女サヤちゃんの魅力を世に知らしめるための萌ギルド辺りが出来たらいいんじゃないかな! むしろそうであるべき!」
「ちょっとはそれから離れろよ……まぁでもほんの少しはあってるかもな」
「――え?」
少しあっていると言われ目を点にしてケンは真横を歩いているサムの方へ振り向く。
「ほら、あれを見ろよ」
そう言いつつサムが指で示したのはギルドのエンブレムだ。
大抵はそのエンブレムを見れば中のギルドがどんな所なのかわかる様になっている。
例えば冒険者ギルドなら大きく描かれた盾の前で二本の剣が斜めに交差しているエンブレムだし、商業ギルドなら袋にお金が描かれたエンブレムだ。
そして、新しく建設中の建物には二人の非常に見慣れた物――ドル箱に球が積まれ、その背景には『777』と描かれているエンブレム。
「――まさか!! このギルドはハデス関係なの!?」
「ようやくわかってきたようだな」
トムの反応に満足げに頷くサム。
「そう、ここはな――魔導遊技機ギルド。オールナイトイベントでトップになった龍が要望をだして作成された建物だ」
そんなサムの言葉にキョトンとするトム。
魔導遊技機ギルドを世界で唯一のプロ、岡崎清龍が要望をだして作った。この事実は理解できた。でも、このギルドが出来て何がどうなるのか全く理解出来ないのだ。
「へぇ~、建物が作られた経緯はわかったけど……このギルドが出来てどうなるの?」
「俺もまだ詳しい事はわからないけど――龍が言うにはギルド加入者には魔導遊技機製作の情報開示やハデスみたいに魔導遊技機専門店を出せるようになるらしいぜ」
「え!? じゃあハデスみたいな店が増えるってこと?」
「あぁ。それとお前が好きな魔導少女サヤみたいな台を作る奴が出るかもしれないって事だな」
「まさかの続編とか!? それはとっても素敵な事だなって……」
「まぁそんなこともあるかもしれないな」
二人はそんなことを話しながらどんどん形になっていく建物を見上げる。
これからどうなっていくのかはわからないが二人には悪いようにはならないと、そう思えたのだった。
お待たせしました。
次回から二章に入ります。
マジ○ロ5は神台!




