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異世界のパチンコ店は一味違うようです  作者: ふぃず
大陸出店編
19/40

第十九話 家スロとスロット番組

 王都エルランジ南に存在する炭鉱を越え、魔族しか使えない専用の転移門を使い、さらに馬車で十日の距離に禍々しい城は存在した。南大陸の魔族を平定する現魔王――ロゴスの城である。

 城の辺り一帯は濃い魔力の霧が毎日の様に噴出しており視界を確保するのが難しく、冒険者や勇者を城に辿り着かせないための天然の迷路になっている。

 また、地面の中にはゾンビやグールといったアンデットの魔物が埋まっており、生者が通ると自分たちの仲間に加えようと這いずり出てくる。


 そんなロゴスの城に迷わず、そして魔物に襲われず近づく馬車が一台。吸血鬼アクドが御者をし、ナイトメアが引く馬車は中に乗っている人物の重要性を窺わせる。

 馬車は城門前で止まると一人の男を降ろす。男が馬車を降りると同時に鈍い鉄の音と共に扉が開いていく。吸血鬼アクドにより案内され謁見の間に通される男――。

 玉座から男を見てニヤリと口の端を吊り上げる魔王はこう言うのだった。


「よく来たな岡崎清龍!! さぁ、我と回胴式魔導遊技機(スロット)をやろうじゃないか!」


 その言葉を聞き、アクドにより仕事帰りに拉致されいきなり魔王城へ連れて来られた清龍はいろいろな意味で困惑していた。回胴式魔導遊技機(スロット)をやるにしてもここはハデスではない。回胴式魔導遊技機(スロット)で遊べるのはあの店だけなのだから――。

 困惑している清龍を見てアクドが口を開く。


「清龍様、あちらを――」


 清龍が手で視線を促された先に捉えたのは筐体のオリハルコンが煌めく二台の回胴式魔導遊技機(スロット)――。

 一体何故こんな場所に……。


「ふはははは、この前のオークションで余が競り落としたのだ! 案外粘る人間がいて大変だったぞ。じゃあ、はじめようか!」


 清龍は促されるまま席に付き、魔王と二人で回胴式魔導遊技機(スロット)を打ち始めるのだった――。




 (どうしてこんなことに……)


 清龍は席に座ってからここに連れて来られるまでの事を思い出す。

 カジノ区画は王都の中でも貧民区に次ぐ治安の悪さである。よってサムやケン等の警備兵がいたるところを巡回しており、警備は万全だ。

 清龍は回胴式魔導遊技機(スロット)番組で少しずつ有名になっているため、時には絡まれるときもある。

 しかし元Aランク冒険者である清龍は強く、基本返り討ちにして警備兵に引き渡していた。最近ではゴロツキの間でも清龍は腕が立つという事が知れ渡ってきたため、絡まれることも少なくなってきている。

 そういった油断もあったのか清龍は暗闇に生じ上空から降りてきたアクドにあっさりと拉致されてしまったのである。いつもはアリスを追い掛け回している変態吸血鬼だが……魔王の側近は伊達じゃ無かったわけだ。

 アクドの方を睨む清龍、対するアクドは何を勘違いしたのか男には興味ないですと言わんばかりに手をバツの字に組み嫌そうな顔をしている。

 その後、いきなり顔を青ざめさせたと思ったら部屋から逃げるように出ていくアクド。

 隣の席で回胴式魔導遊技機(スロット)を打ち始めた魔王を見ると、引きつった表情でアクドの方を見ていた。


「アクドに念話で全て聞いた。無理やり拉致したみたいですまなかったな」


「いや、拉致された俺が弱かっただけだし」


 気を取り直して回胴式魔導遊技機(スロット)を打ちながら会話をする二人。ハデスと違って店内にかかる音楽も、煌びやかな光もない部屋は回胴式魔導遊技機(スロット)の音が良く聞こえ、目立つ。

 そしてなにより普通に会話も通る。普段は周りが煩くてなかなか聞き取れない為、清龍は新鮮な感覚だった。


「しかし、魔王様はなんで筐体を買ったんです? こうして遊技しているからにはオリハルコン目当てじゃなさそうですし、打ちたいならハデスに行けばいいのでは? 魔王様なら一瞬でハデスまで行けるでしょうし……」


 清龍の疑問はもっともだった。希少な金属であるオリハルコンが使われている筐体は台枠だけ取って加工したがる加治屋も多いと聞く。だからオークションにハデスの中古台が出ると人気があるのだが正直高価すぎる。なので、遊ぶ為に筐体を購入する人は今まで清龍は見たことが無かった。

 言わば家スロなんてものはロマンなのだ、誰にでも出来る事ではない。

 まぁ、ここは家スロじゃなく城スロなのだが……しかも魔王城。


「いや……その……な」


 魔王の威厳がまったく感じられないはっきりとしない言葉を言い淀む。


「何かあったんですか?」


 清龍がそう尋ねると魔王は悲しげな表情を浮かべ、ポツポツと語りだした。


「ほら……ハデスに良く居るお前は聞いていると思うが、前にハデスで勇者と一戦やらかしてな。その時、その……ノリというかなんというか……勇者が精霊の力を借りて運を上昇させたのでな」


「あー……」


 清龍もウィルからその話は聞いていた。ハデスで勇者と魔王の戦いがあったと。その最中、魔王がアルゼリオ店長に殴られて消滅し、世界に平和が訪れたとの誇張表現も含んだ話を吟遊詩人が酒場で詠っているのも聞いたことがあった。


「そこで我も同等に勝負がしたかったので、凄くメダルを出していた男に強運吸収(ラックアブソーブ)を使って……。店長に殴られて死ぬかと思った。が、それ以上にハデスに行きづらくなって……でも回胴式魔導遊技機(スロット)で遊びたかったのだ」


 話を聞くと店長がまだ怒っていると魔王が勘違いしているみたいだ。店長はそういうことをやる客は日常茶飯事なのでその場だけで終わらせている。二度、三度とやると命はないかもしれないが……。

 しかし、買ってまで回胴式魔導遊技機(スロット)がやりたいとか魔王も相当な中毒者だ。魔王に状態異常は通じないんじゃなかったのか……。

 そんな話をしているうちに清龍は何となく魔王に親近感が湧いた。魔王にも庶民的な悩みはあるらしい。


「魔王様、店長はもう怒ってませんよ。それでも一人で行きづらいのでしたら『連れスロ!』にゲストで呼ぶので一緒にハデスに行きませんか?」


「本当か! 余はあの番組を欠かさず見ておるぞ! 本当に行っても大丈夫だろうな?」


 急に元気になる魔王。ハデスに行けること、番組に出れることがよっぽど嬉しいらしい。


「大丈夫ですよ、一度出禁にされた天使の羽を生やした女性も出禁解除されて毎日の様に来てるぐらいですしね……あ、魔王様その演出激熱ですよ」


「おぉ! 丁度勇者が出てきたか。あいつとも再戦しなければ……」


 その後二人は差枚対決をし、夜が更けるまで遊技するのだった。




 清龍と魔王が家スロ? を楽しんでから一週間後。魔王は久しぶりに開店前のハデスを訪れていた。今日は回胴式魔導遊技機(スロット)番組『龍とアリスの連れスロ!』のゲスト出演する日である。

 せっかく魔王がゲストで出るという事なので『インペリアルブレイカー』の機種説明、見どころ説明などを中心にやっていく予定ということだ。


「今日はよろしく頼むぞ清龍」


「こちらこそ、魔王様」


 清龍、アリス、魔王の三人の準備が整ったところで番組の収録が開始する――。




 王都にある宿屋の一室。男はベッドの上で寝そべって通信用の魔導具から流れる映像を眺めていた。そろそろ男が毎週欠かさず見ている『龍とアリスの連れスロ!』の時間である。深夜の時間帯に流れている為か男もお酒を飲みながら番組の始まる時間を待ち望んでいた。


『今日も見てくれてありがと~! 龍とアリスの連れスロ! はっじまるよ~』


 元気いっぱいなアリスの声で番組が始まるとさっそくゲストの紹介から始まった。時々この番組では有名人を呼んで一緒に遊技するといった事もやるのだ。

 前回はリオン王子がゲスト出演して清龍とアリスがガチガチに緊張していたのを男は覚えている。普段とは全然違う二人を見れて面白かったのだ。

 さて……今日はどんな人がゲストなのか……。


『どっか~ん! 今日のゲストはこの人! 何と~魔王様で~す!』


『ふはははは! 我が魔王ロゴスだ! 人間どもよ覚えておくがよい』


 ブフゥ――――――――――!!


 ゲストで出てきた人を見て思わず酒を吹き出す男。ゲホゲホと気管に入った酒に咽ながら男は叫ぶ。


「なんであいつがこの番組に出てるんだよ!」


 男――勇者クロスは吃驚した表情で映像を見ていた。自分との戦いに敗れて以降ハデスで見ることは無かったからだ。てっきりあの勝負の後、回胴式魔導遊技機(スロット)を辞めたものだと思っていた。


 今日の番組は『インペリアルブレイカー』の特集をしていた。魔王とアリスが並んで打ち、清龍が解説をしている。

 宿敵が自分もいつか呼ばれたいと思っていた番組に先に出ているのに、歯噛みしながら勇者は見ていると魔王が打つ『インペリアルブレイカー』に映像として勇者が登場する。


『を、出ましたねー勇者。勇者を倒せば熱いですよ~、さぁ魔王は勇者を倒すことが出来るのか!』


 解説する清龍。そして打つ魔王には熱気がこもっていた。絶対倒せると信じている表情をしている。

 そんな中で見ている勇者だけは外れろ――外れろ――! と念じていた。収録なので結果はもう決まっているのだが――。


 勇者を倒し勝利と表示された映像が流れる。その結果に勇者は落胆していた。そこで番組の中、魔王が口を開く。


『ふはははは、我にかかれば勇者なんてこんなものよ! 次に会った時、貴様が本当にこうなる番だ!』


 映像を記録する魔導具に向かい、首を掻っ切るポーズを決める魔王。


「ふっざけんなあああああああああ!! 次も返り討ちにしてやるよ!!」


 ベッドの上に立ち激昂する勇者。その時――。


 ――ドンッ!!


『うるせぇよ! 何時だと思ってんだ!!』


 隣の部屋から怒鳴り声が聞こえた。時刻は深夜を回っている、酒場も閉店している時間だ。


「すいませんすいませんすいません!」


 ベッドに座り、隣の部屋の人に対して謝る勇者だった。

 勇者と魔王、再戦の日は近い――。


ここ数年規制規制でパチンコ店も変わってきてますね。

最近新内規のスロットを打ちましたが通常時が結構だるいと感じました。

次の新内規で出る台はもっとだるくなりそうですね。

5号機が出て10年……そろそろ6号機の時代になるのでしょうか。


パチンコも爆裂機が新内規で制限されるみたいですね。

他には超確変機能が追加されたりするみたいなので今年は大きく変わりそうです。


規制緩和……されないかなぁ……。

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