第十三章 目指すべきモノ 5
まず最初にノレッセに襲いかかったのは葛西だった。葛西は腰の辺りから、折りたたみ式の警棒のようなものを取り出した。すると、それは蒼白いレーザーのような光を放ち、離れた場所からでもその光は眩しく感じられた。
それを見た早川は思わず声をあげた。
「映画で見たような武器だ!凄い!」
すると、順平が、
「僕はあなた方より新しい時代を長く過ごしました。あの武器は僕の知る限りライトセイバーと呼んでいました。いわゆるスタンガンを剣のようにした武器で、その光に触れると一瞬で気絶します。基本的には殺傷能力はありませんが、一度気絶すると、すぐには意識を回復出来ないので、相手を生け捕る時などに重宝しますよ。葛西さん達が使用しているのもその類だと思います。」
すると安藤が、
「あれだったら俺にも使えるんじゃねぇのか?余ってるんなら俺達にも貸してくれたら有難てぇんだが・・・。」
「簡単そうに見えますが、使い熟すにはかなりの訓練が必要なんですよ。というのも、スタンガンはボタンを押して相手に触れるというものですが、ライトセイバーは見ての通りレーザーが出続けます。あのレーザーに自分が触れてしまうと当然自分が気絶してしまいます。練習中だと、気を失っても問題はありませんが、実践では当然命を落とす事になります。また、こういった大勢の敵と味方が入り乱れての戦場では、味方に触れてしまう危険性もあるんですよ。」
「たしかに、そう言われると素人には危険な諸刃の剣でもあるんだな。」
順平の説明には早川も納得した。しかし、そんな危険でもある武器を葛西は上下左右に振りながら、次々とノレッセを倒してゆく。気付けば葛西の周りにいた六人はあっという間に地面に倒れ、そのまま隣の部隊の方へと駆け出した。
「ちょっと、私の出番が無いじゃないの!」
リンが文句を言いながら今度は葛西と反対側の部隊に向かった。
「遅えんだよ!この程度の相手なら三分だ!」
前方でのそんなやりとりを呆然と早川達は見つめていた。
「どうやらお前さん達の不安は取り越し苦労だったようじゃのぅ。」
サジが呟いた。たしかにこれ程までに葛西たちが凄いとは思ってもみなかったのだ。
「ホントに葛西さん達凄いわ。というより葛西さんがずば抜けて凄い・・・。たしかに私達は科学者の部類だし、あの人達は戦闘のプロだけど、ここまで凄いとはね。」
友香の言う事はもっともだった。こう言っては失礼だが、ウォーレンやロジャーもかなり凄いと早川は思っていたが、比べ物にならなかった。
事実、ウォーレンは戦闘に加わるタイミングを失い、立ち尽くしていた。一方の佐々木は最初から戦闘に加わる気が無いのか途中で走るのを止め傍観しているように見えた。
結局葛西の言葉通り三分程で片付けてしまった。
「まあ、こいつらも所詮は雇われの身。無線で連絡しておいてくれ!生け捕りにして然るべき機関に処分は委ねるとしよう。」
葛西の言葉に寺田が無線機を取り出しどこかに連絡をした。
葛西は振り返ると、いつものように大声で早川達に、
「もう大丈夫だ!さっさと先を急ぐぞ!」
と言い再び前進を始めた。寺田と北川は引き返して、元の持ち場についた。
「これならもう援軍は必要ねぇんじゃねぇか?アイツ、口だけかと思ってたけどやるじゃねぇか。」
すると、寺田が、
「油断は出来ませんよ!今回の相手にはライトセイバーが通用しましたが、絶縁スーツを着用されてはライトセイバーは使い物になりません。それに、言い方は悪いですが今回の相手は下っ端連中です。皆さんの位置からでは気付かなかったかもしれませんが、実はリーダー格の男のスーツは絶縁スーツだったんです。咄嗟の判断で指揮官は素手の攻撃を加えたんです。」
「あの一瞬でそんな出来事があったなんて・・・。」
早川は溜め息をついた。
「陸。さっきも言ったけど私達は兵士じゃないの!だから戦闘で役に立たないのは当然なのよ。ここは葛西さん達に甘える事にしましょう。」
「そうだね。とてもじゃないがあんなの見せられたら、足を引っ張るだけだしね。」
「我々に任せて下さい。こういう事にかけてはプロ中のプロですからね。逆にあなた方は科学のプロ。FTSのお陰で救われた命もあるんです。それは我々にとっても希望なんです。」
寺田が気の利いた事を言ってくれたお陰で、自分達が目指すべきものを改めて思い出した。そう、早川達は地球の未来を背負っているのだ。だからこそ、生き延びて調査を、研究を続けなければならないと・・・。




