第十三章 目指すべきモノ 2
疲労が取れた早川たちは、ペースを上げた葛西たちにも遅れを取ることなく歩き続けた。森の木々は密集している部分と点在している部分があり、時々綺麗な円形状に何も生えていない空間が現れた。
「なんだかテレビで見たミステリーサークルのようね。」
友香が不思議そうに見ながら話す。
「よく見ると、あそこだけ地面の色が違うね。植物なんかが育たない成分の土なのかな?」
早川が疑問を口にすると、サジが、
「この星に来て何度か体験したはずじゃと思うが、そう、たしか地球では夜と言うんじゃったかな?あの空間は暗くなった時だけ一気に植物が生え、マドラスが登ると、再び枯れてしまうんじゃ。その枯れた植物が種となり、次に暗くなるまでに地面から栄養を吸収しその時を待っておるんじゃ。」
「神秘的ね。地球にもそう言う植物はあるけれで、あんなに丸い部分にだけ咲くなんて、やっぱり不思議だわ。」
「ほんまにこの星は興味深い事だらけですわ!あの円の中に入りたい衝動を抑えるだけでも大変や。それにしても、その植物が生えてるとこ見たかった。」
佐々木が残念そうに円の淵まで歩み寄って、独り言のように呟く。
「気を付けるんじゃ!その植物は外敵から身を守るため強い毒性を帯びておる。その毒は枯れても健在なんじゃ。実際に植物が生えるのは円の中心のわずかな部分だけなんじゃ。それだけ毒性が強いから円は大きいという事。つまり、他の植物が育たず、大きな円となったわけじゃ。」
「ますます興味深いですな!どんな毒の成分なんか持ち帰って分析したとこやけど、残念ながら持ち帰れるような容器さえあらへん。やっぱり、もう一回この星には来なあかんみたいですわ。」
佐々木は一人円の淵で地面を眺めていた。やがて、最後尾にいた寺田に促され渋々列に戻った。それからしばらくは同じような景色が続き、突然葛西が足を止めて振り返ると、
「皆、聞いてくれ!今無線で連絡が入り、第五部隊と合流出来たそうだ。負傷している二人、竹下、牧野両名を運ぶため、二人は場所を確認後そちらへ向かわせた。残り二人は第五部隊をキャンプまで誘導するということだ。位置的にも同じくらいにキャンプに着くだろう。以上、念のために知らせておく!」
それだけ言うと、再び歩き出した。
「竹下さんと牧野さん迎えに行ってくれたみたいだね。これで、全員が無事合流出来そうだ。」
「良かったわね。ただ、まだまだ油断は出来ないわよ。それは向こうの部隊も同じだろうけど、ノレッセを倒したのは、手下みたいだし、わずかな数ということだから、セルゲスやジアーノは必ず襲ってくるわ。それに、まだこの星に向かっているノレッセがいるみたいだし、私たちの援軍が先に到着してくれればいいんだけど・・・。」
友香はやはり連絡の途絶えた他の部隊の事が気がかりのようだった。
「とにかく、あの薬のお蔭で息も上がらないし、このペースで行けばすぐに合流出来るよ。大丈夫、心配はいらない。」
「そうだといいんだけど・・・」
友香の勘は鋭い。根拠は無いのだが、魔物に襲われた時も、友香と真由はある程度危険を感じ取っていた。それだけに、友香の言葉は不安に感じられた。しかし、今回は葛西たち心強いメンバーもいる。きっと大丈夫だと早川は言い聞かせるように一歩、また一歩と葛西の後に続いた。




