第十二章 メルビス地底 3
これと言って変化のない洞窟内を、しばらくは真っ直ぐと歩き続けた。2kmくらい歩いただろうか。通路はほぼ垂直に左に折れ曲がっていた。
左に曲がると、今度は左に徐々に曲がっており、最終的には180度進路が変わった。そして、通路は徐々に広くなり、少し開けた場所に出た。
その広場のような空間の左側には豊富な地下水が湧き出しており、そこを始まりとするように洞窟の奥へと通路に並行する形で川となっていた。
「どうやら、これの音が聞こえてたみたいやな。結構な水量や。なんか泳いでるようにも見えますわ。」
佐々木が川の方へ近づいて目を凝らす。するとサジが、
「これはムーラとヘリと呼ばれる地球で言う所の魚の一種じゃ。どちらも食べる事が可能じゃ。」
「ムーラはアジみたいですな。ヘリっちゅうのは変わった魚や・・・。魚っちゅうよりただの球体みたいや。しかも半透明やからクラゲにも見えんことはない。」
佐々木が興味深そうに、何度もその動きを目で追いかけていた。
「要塞から携帯食をある程度持ってきたので、今は必要はなさそうだな。とりあえず先を急ごう。」
ウォーレンはそう言って、再び歩き始めた。早川たちも川に目をやりながらウォーレンの後に続いた。順平はここでも、何度か連絡を取ろうと無線端末を操作してみるが、反応から、やはり連絡はつかない状況のようだった。
道は、やがて最初と同じくらいの道幅に狭まった。左側に50cmくらいの幅の川が流れている分、歩ける部分は狭くなってしまった。だんだんと、青柳の歩く速度が遅くなる。
「大丈夫ですか?教授!」
早川が声をかけた。
「あ、ああ、大丈夫だ。急に足が重く感じてしまってな・・・。」
すると、ウォーレンが、
「どうやら少しずつではあるが上りになっているようだ。川の流れのせいで平地のように感じるが、間違いない。」
「たしかにさっきから少し違和感を感じたわ。やっぱり上から下に流れる地球の性質が当たり前と思ってしまっているから気づかなかったけど・・・。」
友香も違和感を感じていたらしい。
「先がどうなっているのかわからないってのも辛いもんだな。弱音を吐いている場合じゃないのはわかっているが、体力にも限界があることを考えると不安になっちまう・・・。」
安藤が不安を漏らす。この先がどうなっているかわからない以上、不安になるのも無理は無かった。さらには追手の恐怖もあった。どこか落ち着ける場所があるとは考えにくい。ノレッセをなんとかしない限りは・・・。
それでも気持ちを切り替えつつ、先に進むと、突然左側の川はそのまま真っ直ぐ奥へと続いているのに対して、道自体は右側に折れ曲がっており、今度は一転、下り坂となった。その後、一気に大きな空間に出た。
「よし、ここなら少し休めそうだ。まっすぐ奥まで進んだところで少し休憩をとることにしよう。」
ウォーレンは振り返り、そう伝えると、野球場くらいの広さは軽くありそうな広い空間の奥の壁際まで進んだところで、立ち止まった。ちょうど、その先に再び細い通路が奥へと延びていた。
「もし、何かあれば、この通路を一気に奥へ進む。その際は私が食い止めるので、体力の少ないものから奥へと逃げるようにしてくれ。」
通路は幅3メートルくらいだろうか。とにかく、早川達は、その場に座り込んだ。ウォーレンもここでは、腰を下ろし、体力を温存しているようだった。




