第十一章 VS 30
ウォーレンが画面を見たままサジに問いかける。
「こちらから何人かで偵察に出てみようかと思うが・・・我々は北側から要塞に入った。もし、侵入者だとして、距離や時間を考えても北側からの侵入の可能性が高い。もし、ノレッセだった場合、すぐに引き返せる距離までしか出なければ大丈夫だと思うのだが、どうだろう。」
「しかし、もし侵入者だったとすれば、カメラを潜り抜けるほどの警戒心を持った連中じゃ。それにこんなに早く追いつかれたという事は、何か他の移動手段を取った可能性も高い。とは言え、ワシたちが通ったルートは徒歩以外に無理じゃろう。もっとも文明の進んだ星であれば、そういった兵器なんかもあるのかもしれんが、今はまだ様子を見る方が賢明じゃと思うが、どうしてもというのであれば止めはせん。」
ウォーレンも再び考え込んでしまった。そうは言ったものの、たしかにサジの言う通り、様子を見た方が良いという考えもあった。ただ、このままじっとしているのも不安だった。そんなやり取りを見て、今度は順平がサジに訪ねた。
「この要塞は広くありません。それに対して入り口は四方に存在します。もし四方を囲まれれば逃げ場は無くなってしまいます。しかし、相手も四方を囲むという事は人数が分散されます。ならば、どこか一つの門の近くに集結して万が一に備えるのが得策かと思われますが、いかがでしょう?」
順平の提案には早川も賛成だった。あくまでも予測ではあるものの、同じくらいの人数に分散してくるだろう。
「たしかにおまえさんの言う通りじゃ。もし、囲まれでもすれば、いずれは門は破壊され、要塞へとなだれ込むじゃろう。そうなれば迎撃できる備えのないこの要塞では持ちこたえる事は不可能。」
サジもここを選んだ理由には、一番場所が近かったことと、そう簡単にはここを発見されることは無いと踏んでいたからで、まさか、これほど早く発見されるとは思ってもみなかったからである。まだ、侵入者がノレッセと決まったわけではないが、囲まれてからでは遅いのだ。
「順平君の意見には賛成だが、問題はどの方角に集結するかだ。北側の次に侵入の恐れのある門はどこだ?」
ウォーレンが再びサジに訪ねた。
「南門、及び、西門からの侵入も無いとは言い切れん。一番可能性の薄いのは東門じゃ。ここも絶対とは言い切れんが、他に比べ辿り着くのが困難じゃ。と言うのも、東門を出ると左右崖に挟まれた一本道となっており、要塞からでなければかなりの高さの、それも垂直な崖を降りなくてはならん。別ルートで来ることは可能じゃが、実は東門を出た先は入り組んだ地底の洞窟を経由しなければならず、地理を知り尽くしていなければ辿り着くことも困難じゃ。」
「それなら、初めから東門を抜けて進む方が安全なんじゃないのか?」
思わず安藤が口にする。
「残念ながら、ワシも東門の先は知らんのじゃ。その存在くらいは知っておるが。それに何度も言うが、元々、この星では争いごとも無ければ侵略された経験も無いんじゃ。そして、ワシもシーバもこの要塞の場所を知っていただけで来たのは初めて・・・。ここから先は手探り状態で進まねばならん。もちろん他の星の連中よりは位置関係などはある程度理解しておるがのぅ・・・。」
順平は少し考えてから、
「皆さん、ここでじっとしているのは危険だと思います。サジさんが仰ったように東門が必ずしも安全とは言い切れませんが、ここにいるよりは安全かと思われます。いかがでしょう?ここを出て東に向かうというのは。」
早川達に異論は無かった。全員が頷いた。しかし、早川はひとつだけ心配事があった。
「その案で異論はありませんが、順平さんの連れてきた兵士の方や、竹下さん達と連絡が取れていません。このまま要塞を出てしまえば、落ち合うのはますます困難になるのではありませんか?」
すると、サジが、
「兵士たちの事はわからんが、シーバなら大丈夫じゃ。ピウロにメッセージを送信することが出来る。我々の言葉でメッセージを送るから、ここを調べられても行先は特定できんじゃろ。」
今度は順平が、
「兵士の方も、多分大丈夫です。いざとなれば、彼らはキャンプ地に引き返すはずですし、今は繋がりませんが無線も所持しています。何かあれば連絡があると思います。」
「そうですか。では、ここを離れても問題は無いんですね。」
「ただ、さっきも言ったように東側へ足を踏み入れるのはワシも初めてじゃし、シーバもそうじゃ。合流出来るかは未知数。ただ、ここでやられてしまっては会えるものも会えん。とにかく、急いだ方が良さそうじゃ。ワシはピウロにメッセージを送る。」
サジは何やらコンピューターを操作し始めた。
「これでよしじゃ!では、出発じゃ。」
サジの一言で、早川達は急いで外へと向かった。




