第十一章 VS 27
部屋にはもうひとつ扉があり、そこにはサジと青柳の姿があった。覗き込むと、そこには大きなモニターやレーダーのようなものが並んでおり、それに向かい合ってサジとシーバは何やら忙しなくキーボードを叩いていた。どうやら司令室のようだった。
早川たちが入ってきたのに気付くと、
「どうやら機能は無事働いておるようじゃ。簡単にチェックしてみたが、特に問題はなさそうじゃ。とは言っても扉の開閉の制御や、ロボットの制御くらいしかこの端末では出来んがのぅ。この要塞では攻撃出来る装備は無さそうじゃ。しかし、地球からの援軍が到着するまでは持ちこたえられると思っておる。」
青柳は感心した様子でコンピューターに触れていた。
「それにしても高城教授というのは、凄い人物だったようだ。古代にこんなものを発明していたなんて・・・」
「宇宙は広い。この程度の文明なんぞ、いくらでも存在する。もっとも、そんな文明に触れる機会など無いまま一生を終えるのが我々、命あるものの宿命。宇宙ギャングとて、広大な宇宙からすれば行動範囲などちっぽけなもの。上を見ても下を見てもキリが無いという事じゃ。おまえさんは自分の力でFTSを開発したんじゃ。高城教授の存在なんぞ、この星に来るまで知らんかったわけじゃからの。」
「それはそうだが・・・」
青柳は地球を離れ、地球の文明が宇宙規模ではまだまだ足元にも及ばないレベルだということを実感して、科学者として自信を無くしていた。
「ところでサジさん。シーバから連絡はありましたか?」
早川や、竹下と牧野の事が気になった。もしかすると、すでに手当を受けて回復しているかもしれない。
「残念じゃが、今のところ連絡はない。しかし、向こうは車を使っての移動じゃ。何かハプニングでもない限り心配せんでも大丈夫じゃろ。」
「そうですよね。信じて待つしかありませんね。」
サジは黙って頷くと、モニターを指さして、
「これだけは知っておいてくれ。見ての通り、モニターは全部で5つ。中央のモニターはこのコンピューターを操作するのに使用する。上の方にあるモニターはこの要塞の四方をそれぞれ映し出しておる。そして、この要塞のある一定の距離まで何者かが侵入すると、中央モニターにその旨を知らせてくれるんじゃ。それは小動物であっても反応する。とは言っても、この高地に生息する生き物はほとんど存在せん。つまりセンサーが感知してモニターに警告が出た時はノレッセかシーバ達、もしくは遅れている兵士達の可能性が高いじゃろう。この要塞のどこにいても、音で知らせてくれる仕組みになっておるから、もし音を聞いたら、まずここへ集合してくれ。他の者にはすでに伝えてある。」
「わかりました。」
「どこにいてもわかるんは、便利ですな。まあ、ノレッセじゃないことを祈りますわ!」
「では、何かあるまでは自由に行動してくれて構わん。ゆっくり休めるかはわからんが、奥の通路を左に行けば仮眠できる部屋がある。どれでも好きなのを使えば良かろう。右側は食料庫になっておる。保存食じゃから味は大したことはないが、各自、自由に食べてくれてかまわん。ワシはここにいるのでわからんことがあったら、聞きにくればよい。」
それだけ告げると、サジは再びモニターと睨み合いながら、何かを操作し始めた。
「教授、お疲れでしょう。少し休まれてはいかがですか?ここは今のところは安全のようですし、何かあればわかるはずですから。」
「そうだな。今は少しでも体力を回復させることが先決かもしれん。これ以上足を引っ張らんように、休むことにする。君たちも来たるべき時のために体力を温存しておくようにな。」
青柳は、倉本にも声をかけ、二人で部屋を出て行った。その後、安藤が真由と共に近づいてきた。
「これからどうする?とりあえず何か少しでも腹に入れておいた方がいいかもしれないな。と言うわけで、食料庫の方に行ってみようと思うが、早川たちも一緒にどうだ?」
「そうですね。佐々木さんも行きますか?」
「そやな。ちょっとでも食べとこか。お供するわ。」
「順平さんにウォーレンさんもどうですか?」
座ったまま何か考え事をしている順平と、腕を組んだまま目を閉じているウォーレンにも声をかけた。
「僕は、もう少し、兵士達と連絡を試みてみます。」
「俺は後で頂こう。先に君たちが行ってくるといい。サジと打ち合わせもしたいのでな。」
順平とウォーレンは各自で行くということなので、早川たち五人は食料庫に向かった。




