第十一章 VS 24
体力には自信があると言っていた順平でさえ、少し辛そうだ。それでも順平は時折ポケットから無線を取り出しては、何かを確認している。
「兵士達とは哀歌非ず連絡はつかないのか?」
安藤が無線を確認している順平に聞いた。
「ええ。基本的には彼らは任務にあたっている時は通信を傍受されたりするのを恐れ電源を切っています。ただ、何かあれば連絡は入るはずです。僕も移動中は電源はオフにしているので、時々こうやって確認しているのですが、なかなかタイミングが合わず、連絡がつきません。」
「ここまでくれば傍受されても問題無いんじゃないのか?いっそ、電源入れっぱなしにしておけば・・・」
「いえ、サジさんも言っていたように、ここではまだ危険です。一瞬なら問題ないと思いますが、さすがに入れっぱなしでは、ここにいると伝えているようなものです。」
「そんな簡単に傍受されるものなのか?」
「あなた方の生まれた時代とは違って、かなり電波には神経をとがらせないといけません。それに、僕自身も地球以外の事は全然わかっていなかったことをこの星に来て痛感しました。正直、現在の地球の技術力でも宇宙からすれば、到底足元にも及ばない次元ですし、そういう意味でももっともっと警戒心を持たなければと思っています。」
「俺には何がなんだかさっぱりわからねぇ・・・。今もまだ、悪い夢でも見てるんじゃねぇかって思ってるくらいだ。」
「たしかにあなた方は特にそう感じるかもしれませんね。ただ、要塞がどんなものかはわかりませんが、あそこまで辿り着けば、通信も出来るのでは?と、考えています。」
「まあ、俺たちとは鍛え方の違う連中だから、大丈夫だとは思うがな。」
「そう願います。」
それから一時間以上は歩き続けただろうか。歩き始めた頃は30分もあれば着くだろうと考えていたのだが、実際にはかなりの距離を歩いた。そして、ようやく今度ははっきりと目の前に見える入り口が徐々に近づいてくるのを実感できた。
「よし、着いたぞ。」
入り口は小さな扉だった。そして廃集落の時と同じようなセンサー部分にサジが手をかざすと、扉は上に開閉した。
早川たちは扉を潜り抜けると、その場に倒れこんだ。サジは全員が入るのを確認すると、内側のセンサーの画面を操作して扉を閉めた。
「ここまで来れば、確実は言えんがしばらくは大丈夫じゃろう。ワシもこの要塞は初めてじゃから、色々と確認してくる。おまえさん達はしばらくゆっくりしているとよかろう。大体の構造はどこも同じようなもんじゃから、司令室は多分あの真ん中に見える建物じゃと思う。一休みしたらあそこへ来てくれ。そこで、廃集落と同じように認証登録をせねばならんのでな。」
そう言ってサジが一人で歩いて行こうとすると、順平が、
「僕も一緒に行きます。」
と、言いサジを追いかけた。
「好きにするがよい。」
二人はそのまま司令室と思われる建物へと消えていった。
「ここもサジさんの言ったように廃集落とあまり変わらない作りね。」
友香は周囲を確認するように少し歩き回ってそう呟いた。立ち上がる元気のない早川は座ったまま周囲を見回してみた。
たしかに友香の言う通り、中央に黒い建物があり、それを中心に住居らしき建物が周囲に点在していた。廃集落との大きな違いは見当たらなかったが、司令室があると思われる中心の建物は1階建てで、全体が黒く、小さく見えた。
「あないに小さな建物に司令室があるんでっか?見た感じ周囲にある住居らしき建物の方が大きいですやん。」
佐々木はまだおぼつかない足取りでフラフラと黒い建物の方へ歩きながら呟いた。
「きっと、地下に続いているんじゃないかしら。この星ではそういう構造が多いみたいだしね。」
と、佐々木の呟きに答えるように友香が言う。佐々木はなるほどという仕草で頷き、そのままフラフラと歩いて行ってしまった。
「あ、あの人も好奇心旺盛ですね・・・フラフラしているのに、歩いて行っちゃったよ・・・俺にはもう歩く気力さえ無いって言うのに・・・」
佐々木以外の者は、その場で10分ほど座っていたが、
「とりあえずあの建物まで行ってみましょう。」
という友香の一言に、重い腰を上げ、ゆっくりと早川たちは歩き始めた。




