第十一章 VS 22
疲れ果てた早川たちはしばらくの間、その場に座り込んだまま呼吸を整えていた。周囲を見渡すと、これまでの崖が嘘のように色とりどりの植物が咲き乱れた平原が広がっていた。そして、そんな平原には似つかわしくない、石のような物質で作られた壁が正面に見えた。
それは、左右にかなりの長さ伸びており、ここからでははっきりとはわからなかったが、その先にある建物を囲うように両端は奥へと延びていた。
「あの建物は?」
教授がサジに向かって訪ねた。
「あれはかつて、高城教授の指示の元作られた要塞。ホルキンス人がこの星に訪れた頃は、まだ他の星の者に攻め込まれると思っていたようで、万が一に備え建てたものの一つじゃ。」
「一つ?まだ他にも存在するんですか?」
早川が疑問を投げかけた。
「さよう。この星にはこのような要塞が24存在する。しかし、その後の調査で地上での生活よりも地底での生活がホルキンス人には適しているという事がわかり、ほとんど利用されぬまま、現在に至る。24の要塞のうち、いくつかは建設途中のままのものもある。シーバに手配させて武器を探しに行ったホルキンス人が向かったのも砂漠の奥にある、このような要塞じゃ。そして、すべての要塞は元々は地底で繋がっておったんじゃが、その昔、大きな地殻変動があって、その際繋がっておった通路は塞がれてしまったのじゃ。」
「では、この要塞も地底とは繋がっていないんですか?」
「それが、わからんのじゃ。ワシも実際にここを訪れるのは初めてでな。地底にはコンピュータがあったじゃろ?あのコンピュータにこれまでの歴史が詰まっておって、知識としてはワシら各集落の長は知っておるんじゃが、何しろここ何千年も大きな争いも無ければ、侵略を受けたことも無いから、ずっと放置したままなんじゃよ。但し、高城教授の技術は素晴らしいもので、マドラスの光を逐電して自動でメンテナンスを行うシステムを構築してくれたお蔭で、廃集落でも見たと思うがちゃんと機能は維持されておるんじゃ。」
「たしかに、生活環は全くなかったのに、廃れている感じは無かったわね。」
「それに、要塞ではロボットとかいう装置が何体も徘徊して清掃作業や、作物を作ったりして、常に食料なども蓄えているとデータでは書いてあった。」
どうやら、サジはロボットというものを知らないようだった。ただ、数千年物間、ロボットが自動で徘徊して色々な作業をしているというのは早川たちにはとても信じられなかった。




