第十一章 VS 21
それまでなだらかだった勾配は終わりを告げ、目の前には胸の高さほどの崖が段々に連なり、かなりの高さまでそびえ立っていた。
「まさか、これを登るのか!?」
安藤はそびえ立つ崖を見上げて叫んだ。
「そうじゃ。これでも一番楽なルートじゃ。他のルートは若い者たちでも辿り着けずに命を落とす者もいるくらい過酷だったり、平坦な道を進めば何日も時間がかかってしまう。とにかく急ぐのじゃ。ここで追いつかれると逃げ場も無くやっかいじゃ。」
早川たちは、代わる代わる教授をサポートしながら、気の遠くなるような高さの崖をひたすら登り続けた。さすがにここでは会話する元気もなく、皆、黙々と登り続けた。後ろを見るとその高さに足が竦む。幸いにも、足場はしっかりしているので、何段か登ると、少し休憩し、また登るという作業を繰り返した。
ただ、時々2メートルくらいの段差があり、そこでは身軽な者が先に登り、上から引っ張り上げる事もあった。
すでに時間の感覚は無かったが、数時間は登り続けただろうか。いつしか暗かった空は再び明るさを取り戻していた。そして、ようやく最後の一段に差し掛かった。
「これで最後か・・・もう歩けねぇ。一体何段登ったんだ・・・」
「こら、ほんまにキツいわ。もう、全身に力が入らへん・・・それに喉もカラカラで、意識飛びそうや・・・」
「若いころは柔道に明け暮れて過酷なトレーニングに明け暮れたが、あの頃を思い出した。さすがに年には勝てん。」
倉本は最後まで、一人で登り切った。青柳も皆に迷惑はかけられないと、半分以上自力で登っていたが、さすがに後半は立つこともおぼつかない様子で、すでに体力の限界を超えていた。
それでもなんとか全員が無事に頂上まで辿り着くと、サジ以外の者はその場にへたり込んでしまった。
「だらしがないのぅ。まあ、ここまでくれば安心じゃろぅ。しばらく休んで呼吸絵を整えるが良い。」
「サ、サジさんは平気なんですか?」
表情からは読み取れないサジを見上げて喋るのもやっとだった早川が訪ねた。
「どうやら地球人とは根本的に体の作りが違うのかもしれんが、普段はワシらは地下で生活をしておる。決して鍛えている訳でもなく、それほど日常的に動き回っている訳ではないが、ホルキンス人なたこの程度の崖は平地を歩くのと変わらん。但し、水の中はどうにもならん。泳ぐというのが苦手でほとんどのホルキンス人は泳げない。」
「泳ぎは苦手なんですね・・・」
この星ではホルキンス人は戦闘は不向きな種族だという事は聞いていたが、同じような道のりを歩いていても疲れているような仕草は一切見せず、それは単に表情に出さないだけだと思っていたが、これほど過酷に感じた崖を登り切っても息ひとつ上がっている様子も無く、正直、驚きを隠せないでいたが、苦手なものがあると聞いて、早川は少しホッとした。




