第十一章 VS 10
「よし、このままここでじっとしてても埒が開かねぇ!行くぞ!」
早川たちの返事を待たず、安藤が歩き出した。早川たちも慌ててそれに続く。どうやらロジャーが気づいたようで、こちらに向かって歩いてきた。
「どうやら、勘違いさせてしまったようで申し訳ない・・・他の連中は見当たらないようだが?」
周囲を見回しながらロジャーが早川たちに訪ねた。
「俺たちは四人で北へ逃げました。他の人たちがどの方向に逃げたのかは、混乱して確認できませんでした。ウォーレンが西側に走った事だけは安藤さんが見ていたようですが・・・」
「そうか。本当にすまなかった。向こうに着くとちょうどホルキンス人達が車の近くに居て、事情を説明すると、積めないバイクを一緒に運んでくれることになってな。ウォーレンと私は数々の戦場を潜り抜けてきたので、違和感を感じた時は確認よりまず逃げることを体で覚えている。咄嗟にそう判断したのは仕方のないこと。むしろ、そんな習性を知っていながら迂闊に近づいてしまった私に落ち度はある。しばらくここで待ってみることにしよう。」
ロジャーは申し訳なさそうにそう言うと、落ち着かない様子で周囲を見回していた。
「俺たちもちょっと見てきます。安藤さんと真由さんは南側をお願いします。俺と友香で北側を。ロジャーはこの場に居てください。誰かはここにいた方がいいと思います。」
「そうか。すまないがよろしく頼む。」
「じゃあ、俺と真由は向こうを見てくる。そっちは頼んだぞ。」
そう言い残すと、安藤と真由は小走りに南側へ向かった。早川と友香も同時に西へと歩き出す。
「他の四人は一緒にいるんだろうか?」
歩きながら早川が疑問を口にした。
「そうね。それはなんとも言えないけど・・・全員バラバラに逃げた可能性だって否定できないしね。」
「そうだな。問題はどの時点で気づいたかだ。もしかすると気づいていない可能性もあるし・・・」
「それだとやっかいね。もう随分と時間が経つから、ずっと逃げ続けていたらかなり遠くまで行っている事だってあるわ。」
ふと、早川は空を見上げた。もうはっきりと機体が確認できた。
「あまり時間は無さそうだね。さっきよりかなり近づいている。下手をすれな1時間もしないうちに着陸するかもしれない。」
「最悪、洞窟の事は皆知っているし、あっちに直接向かうことだって考えられるから、ある程度探して見つからなければ私たちも洞窟へ向かった方が良いかもしれないわ。とにかく、今は探しましょう!」
早川たちは速度を速めた。進みながらとにかく周囲を注意深く見回す。そんなこと10分ほど繰り返していると、突然早川が立ち止った。
「友香!あれ!」
早川が指さす方向に人影らしきものが見えた。友香もそれに気づいたらしく、
「二人見えるわね。とにかく行ってみましょう。」
「むやみに近づいて大丈夫か?」
「こっちが気づいたんだから向こうも気づいているわ。いざとなれば、戦うしかないかもしれないけど、考えている時間ももう限られているし、とにかく、行くわよ!」
友香は人影の方向へ歩き出す。仕方なく早川もそれについて行った。距離はどのくらいだろうか。遮蔽物は見当たらないので、友香の言うとおり、向こうからもこちらが見えているに違いない。




